レッドブルのリザーブに回った角田(C)Getty Images環境はガラリと変わる 掲げていた“目標”は果たせなかった。…

レッドブルのリザーブに回った角田(C)Getty Images

環境はガラリと変わる

 掲げていた“目標”は果たせなかった。現地時間12月2日、F1の名門レッドブルは、姉妹チームであるレーシングブルズを含めた来季のドライバーラインアップを正式決定。注目された角田裕毅は、両チームのシートから外され、テスト兼リザーブドライバーに回る形となった。

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 若き才能たちが相次いで選ばれた。レッドブルは、すでに契約更新に至っていた“絶対的エース”であるマックス・フェルスタッペンの同僚として、レーシングブルズの“新人”アイザック・ハジャーを抜擢。レーシングブルズには、リアム・ローソンが継続してシートに座り、その相方には今季のF2王者となった“超新星”アービッド・リンドブラッドを起用した。

 正式発表後に「2026年にレースシートがなくなると知った時は本当に辛かった」とSNSで発信した角田。当然ながら、これまでとは環境はガラリと変わる。リザーブドライバーは、F1の第一線からは離れ、基本的にはマシン開発や改良をテストする役割がメイン。ゆえに当人の悔しさは想像に難くない。

 もっとも、レッドブルのお膝元である英メディア内では、角田のシート外しに異論も飛んでいる。専門サイト『The Race』のスコット・ミッチェル=マラム記者は「ツノダは失敗をしたかもしれないが、レッドブルにも責任がある」と追及。ドライバーやマシン管理の面で脆さが目立ったチームを糾弾した。

「一部のレッドブル関係者が嘆く評価ほどツノダは悪くなく、時にはもっと評価されるべき走りもしていた。確かに全体的には十分ではなかった。しかし、その原因の半分は陣営側にある。ツノダがもっと良い結果やチャンスを逃した場面の中には、他でもないレッドブル側のミスによるものもあった。さらに大きな失敗は、本来は昨年末に起用すべきであったのに、シーズン途中、それも序盤にマシンに乗せたこと。そのせいでツノダはチームと適切にコミュニケーションを図るべきプレシーズンを失い、最大限に成功をつかむチャンスを逸した。チームは、その代償を払い続けている」

 今季の第3戦に当たる日本GPの直前に、ローソンとの電撃的交代を行っていた角田。そこからレッドブルの仕様マシンであり、「じゃじゃ馬」とも揶揄される『RB21』に乗り込んだが、適応に苦心。「どうしたらいいのか」と漏らす日もあるほど悩み抜いた。

 万全の準備が出来た中での抜擢ではなかった。ゆえに角田のみに責任を追及するのは間違っているというわけだ。

F1は結果が全てだが…

 今回のドライバー陣容を伝えた『The Race』のジャック・コーゼンズ記者も、25歳の日本人の立場を慮る一人だ。「残念ながら十分な証拠を示すことができなかった」としつつも、「ツノダには同情する部分がある」と持論を展開した。

「ツノダがプレシーズンを経験できなかったハンデについてこれまで何度も語ってきた。メキシコGP期間中に本人は『その経験があれば、自分はやりたいことを何でもして、(準備万端で)シーズンに臨める』とも語っていたが、実際のツノダはシーズン途中にチームへと放り込まれ、毎回のように状態がまるで変わってしまうクルマで、新しいサーキットに行く羽目になった。

 本来、これだけ多くの週末をこなしていれば、上昇傾向が見えてくる。ゆえにそうした主張の一部は説得力に欠ける。それは間違いない。だが、昇格初戦となった日本GPで、過去2戦と同様にQ3進出をしていたら、シーズン全体の軌道自体が違っていた可能性もあった。ツノダはもはや断れない状況で、誰かがやらなければならなかった役割を引き受けたのだ」

 無論、F1の世界は結果が全て。コーゼンズ記者もその点についてはシビアな見解を示している。

「ツノダは徐々に良くなっていたかもしれない。しかし、ローソンと比較して格段に良いというレベルにはほど遠かった。陳腐な言い方になるが、F1は結果がすべて。ツノダが結果を出せなかったのは明らかであり、それが厳しい現実なのだ」

 F1の過酷さを痛感させられる形となった角田。SNSで「最高のF1ドライバーになる夢はまだ諦めていません。これまで以上に努力してチームに貢献し、グリッドに立つ資格があることを証明したい」記した彼がいかなる形で貢献し、どう這い上がるかは興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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