ドラフトで中日から2位指名を受けた櫻井頼之介投手(聖カタリナ-東北福祉大)は、今年の大学選手権優勝に貢献し、大学日本代表…
ドラフトで中日から2位指名を受けた櫻井頼之介投手(聖カタリナ-東北福祉大)は、今年の大学選手権優勝に貢献し、大学日本代表にも選出された。春のリーグ戦は防御率1.45、秋のリーグ戦は防御率2.93と少し悪化したが、それでも1年通して安定した投球を続けた。
175センチ68キロと細身の体型ながら、常時140キロ台後半の速球、カットボール、スライダー、カーブを正確無比にコントロールするピッチングで打者を翻弄してきた。その投球術は今年の大学生投手でもピカイチで、早くも即戦力として期待がかかる。
どの試合を見ていても、櫻井のピッチングの幅は広い。速球を両サイドに投げ分け、鋭く切れるカットボール、ブレーキが効いたカーブは低めに決まる。ここぞという場面では三振を狙える。
直球は平均が速いだけではなく、回転数、回転効率も高そうな球質の良さがあり、カットボールも手元で鋭く切れて高確率で空振りを奪うことができる。
ピッチング、ボールの精度については申し分ない。ただ気になるのは、体全体を使って投げる投手なので、体のキレを失うと、あまり威力がないボールになる傾向が見られることだ。
大学生レベルではなんとか凌げた部分はあるものの、キレで勝負する投手は被本塁打が多くなりやすい。プロ入り後は被本塁打が多くなることも考えられる。そういった欠点があっても、十分にプロの世界で勝負できるスキルは備わっている。
ピッチング、体型から思い起こされるのは、オリックスの山岡泰輔投手(瀬戸内)だ。
山岡は172センチ68キロとかなり細身。体重を増やし、球速アップを狙ったが、思い通りにコントロールできず、68キロがベスト体重になったという経緯がある。体重アップは投手のスケールを大きくする要素になるが、それが当てはまらない投手もいる。櫻井は山岡と同じく、急激な体重アップを目指すのではなく、自分のベスト体重を見つけながら、ピッチングのクオリティを落とさない調整法、自己管理が一軍で活躍する鍵になるのではないか。
1年目は一軍でも成績を残す可能性はある。ただ初めての143試合で、1年通しての活躍は厳しそうだ。まずはベストな体調管理、調整法を見出す1年になるのではないか。先発起用ならば、一軍で、投球回50回ほど、3〜5勝は期待できるだろう。
1年目、2年目を乗り越えれば3年目から先発ローテーションとして、規定投球回を狙える実力は秘めており、一歩ずつ未来のエースとしての階段を登っていきたい。