痩せたいと悩む人がいる一方で、「太りたいのに太れない」と感じる人も少なくありません。十分に食べているつもりでも体重が増え…
痩せたいと悩む人がいる一方で、「太りたいのに太れない」と感じる人も少なくありません。十分に食べているつもりでも体重が増えず、原因が分からず不安になることも。
「なぜ太れないのか?」ダイエット外来を担当する、糖尿病専門医・押切 佳代先生に聞きました。
太りたいのに太れない、なぜ?
「太れない原因は、摂取カロリー不足、胃腸の吸収低下、食が細いこと、睡眠やストレスの影響などが重なるためです。
ご飯とたんぱく質を軸に1日5〜6回食べ、軽い運動で食欲と筋肉量を整えることが有効です。ただし、急な体重減少や食欲不振、下痢や腹痛が続く場合は病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず医療機関へ相談してください」
太りたいのに太れない…考えられる「5つの原因」
太りたいと感じながら体重が増えない背景には、複数の要因が重なっている場合があります。食事や体質だけでなく、胃腸や生活習慣が影響することもあります。
原因1:摂取カロリー不足「食べているつもり」でも、消費カロリーを下回ると体重は増えません。活動量が多い人ほど必要エネルギーも増えやすく、思っている以上に不足しているケースが多いです。
摂取と消費の差を把握するために、数日間の食事記録をつけると傾向が見えます。必要な量を知ることが増量のスタートラインになります。
原因2:食が細い/食事リズムが不安定少量しか食べられない、食事時間がバラバラという状態では、1日の総摂取エネルギーが不足しがちです。忙しさで抜食が続く場合も、増量が難しくなります。
1回の量が食べられない場合は、回数で補う方法が適しています。こまめな食事は消化の負担も軽くなり、胃腸の働きも整いやすくなります。
原因3:胃腸の消化吸収力が弱い胃もたれや軟便が続く場合、胃腸の働きが低下している可能性があります。食べても吸収が追いつかず、体に栄養として蓄えられにくくなります。
冷たい飲み物や早食いは胃腸の負担になるため避けたほうが安心です。消化に優しい食材や温かい料理を選ぶことで吸収の効率が上がります。
原因4:睡眠不足・ストレスによる食欲低下ストレスが高い状態では、胃腸の働きが低下しやすくなります。自律神経の乱れは食欲の低下にも繋がり、太りたいのに太れない原因になります。
睡眠不足もホルモンバランスを乱し、筋肉の合成を妨げる場合があります。食事だけでなく、生活リズムの見直しも重要な要素になります。
原因5:遺伝的に太りにくい体質(褐色脂肪など)生まれつき基礎代謝が高い体質の人は、同じ量を食べても体重が増えにくい傾向があります。家族に痩せ型が多い場合、同じ傾向が遺伝することがあります。
そのような体質でも増量は可能ですが、食事量や運動の工夫が必要です。自分の特徴を理解して、無理のない範囲で習慣を整えます。
「食べても太れない」たった2つの理由。健康的に体重を増やす方法とは
太りたい時は「食事7割」で取り組むのが成功のカギ
増量を成功させるためには、「食事 70%、生活習慣 15%、運動 15%」のバランスが取り組みやすく、最も効果が出やすくなります。食事が土台となり、生活リズムと軽い運動が食欲や吸収力を高めます。
食事は体をつくる中心のエネルギー源食事が増量の中心を占める理由は、筋肉や脂肪をつくる材料になるためです。特に痩せ型の体には、量と頻度を調整した食事が欠かせません。
必要な栄養が整うと、体がエネルギーを蓄えやすい状態になり、体重が増えやすくなります。食事の組み立てが増量の土台をつくります。
生活習慣と運動は食事の効果を高める要素睡眠とストレス管理は、胃腸の働きを整えて食べたものを吸収しやすい状態に導きます。生活リズムが安定すると食欲も自然に整いやすくなります。
軽い運動は血流を高めて食欲を引き出し、筋肉を刺激して増量をサポートします。負荷の強さより継続しやすさを重視すると、食事の効果が体に反映されやすくなります。
次:健康的に太るための食事方法
食べても太れない男性へ|痩せ型の原因と健康的に体重を増やす具体的な方法
健康的に太るための食事ルール
食べる量を増やすだけでは、健康的な増量につながりません。栄養バランスを意識しながら無理なくカロリーを上げる方法が大切です。
毎日+300〜500kcalで無理なく増量急激に食事量を増やすより、小さな上乗せを続けるほうが胃腸の負担が少なく効果が出やすいです。1日300〜500kcalの追加で、1か月に約1kgの増量が期待できます。
牛乳1杯と卵、バナナ1本、おにぎり1個など小さな積み重ねでカロリーを補えます。生活に合わせた取り入れやすい組み合わせで続けることが大切です。
主食とたんぱく質を中心に組み立てる体重を増やしやすい食事は、主食でエネルギーを確保し、たんぱく質で筋肉の材料を補う形が理想的です。毎食に主食とたんぱく質を取り入れることで、栄養の偏りを防げます。
たんぱく質は体重に合わせて量を調整すると増量が進みやすくなります。
一度に食べられない場合は回数で補う食事量が安定しない場合は、1日5〜6回の分食にすると食べやすくなります。こまめにエネルギーを補うことで胃腸の負担が軽くなり、総摂取量を確保しやすくなります。
10時や15時の補食を習慣にすると量が増えやすくなります。
胃腸に優しい食べ方を意識する消化が進みやすい環境を整えると、体がエネルギーを吸収しやすくなります。温かい料理を選び、よく噛んで食べることで胃腸が働きやすくなります。
冷たい飲み物を食前に多く飲むと胃液が薄まるため、食事中や食後の水分補給に切り替える方法が向いています。
太りたい人におすすめの食品
効率よくエネルギーと栄養を補給するには、食材選びが重要になります。消化の負担が少なく、食べやすく、栄養が豊富な食品を取り入れます。
白米は増量の中心になるエネルギー源白米は消化が良く、量を増やしやすいため増量の基本になります。茶碗1杯だけでもエネルギーが確保しやすく、食べやすさが魅力です。
小分けにして間食に取り入れる方法も有効です。炊き込みご飯や雑穀米で風味を変えると飽きにくくなります。
肉・魚・卵・大豆製品のたんぱく質で筋肉づくりたんぱく質は筋肉の材料になるため、増量に欠かせない栄養素です。赤身肉、鶏肉、卵、豆腐、納豆など、消化に優しいものを選びます。
青魚は良質な脂質も含み、健康的な増量をサポートします。料理の種類を増やすと飽きずに続けやすくなります。
牛乳・ヨーグルトで手軽にカロリーアップ乳製品はカロリーが高く、たんぱく質とカルシウムも補給できます。食事の量を食べにくい場合でも、飲む・食べるだけで栄養補給できます。
お腹が緩くなる場合は豆乳に替えると取り入れやすくなります。
ナッツとアボカドは高エネルギーで続けやすいナッツは少量で高エネルギーが確保でき、間食に適しています。ビタミンや食物繊維が豊富で、健康面でもメリットがあります。
アボカドはやわらかく食べやすい食品で、良質な脂質を摂れます。料理に加えると自然にカロリーが上がります。
オリーブオイルやごま油で手軽にカロリー追加油は大さじ1杯で100kcal以上あり、少量でも効率的に増量できます。スープや納豆に加えるだけでエネルギーが上げられます。
植物油は体に良い脂質が含まれ、健康面にもメリットがあります。
太りたい人の食事メニュー例
増量を目指す食事は、主食とたんぱく質を中心に組み立てると栄養が安定します。食べやすさを意識しながら、消化の負担を少なくしてエネルギーを確保できるメニューに整えることが大切です。
朝食:朝は消化の良い主食とたんぱく質をそろえる朝食は体のエネルギーを満たす最初のタイミングです。白米やパンなどの主食を中心に、卵や乳製品を組み合わせると栄養が整います。
■朝食メニュー例・ご飯
・卵焼きや目玉焼き
・ヨーグルト
・バナナ
消化しやすい食品を中心にそろえると朝でも食べやすく、1日のエネルギーが安定します。
昼食:昼は主食とメインでしっかりエネルギー補給活動量が増える時間帯は、エネルギーを多く確保したいタイミングです。パスタやうどんなどの主食に、鶏肉や魚のメインを合わせると無理なく量を確保できます。
■昼食メニュー例・パスタ
・鶏肉か魚のメイン料理
・スープ
調理法をシンプルにすると食べやすく、胃腸への負担も抑えられます。
夕食:夜はバランス重視で食べすぎを避ける夕食は翌日のエネルギー補給にもつながるため、主食とたんぱく質を中心に整えます。消化の負担を考えて、揚げ物より焼き物や煮物のほうが取り入れやすくなります。
■夕食メニュー例・ご飯
・肉か魚の主菜
・野菜炒め
・味噌汁
寝る前に胃が重くならない献立にすると、睡眠の質も保ちやすくなります。
間食で不足しやすいエネルギーを補う1日の総摂取エネルギーを増やすためには、間食が役立ちます。消化が軽く、毎日続けやすい食品を取り入れると安定します。
■間食例・おにぎり
・バナナ
・ナッツ
・ヨーグルト
・どら焼きなどの和菓子
量を一度に食べるより、回数で補うほうが胃腸に負担がかかりにくくなります。
次:太るための運動と筋トレの考え方
腕太りたい人のための「太る食べ物」ランキング!健康的に体重を増やすぞ~!
太るための運動と筋トレの考え方
太りたい人にとって運動は、食欲や吸収力を高める大切な要素になります。負荷の強さを調整し、体力や食事量に合わせて運動の取り入れ方を整えることで、体重が増えやすい体に近づきます。
軽い運動で食欲を高める軽いウォーキングやストレッチは、全身の血流を高めて食欲を引き出す働きがあります。強い負荷をかけなくても、体の巡りが整うことで、食事量を自然に増やしやすくなります。
呼吸が乱れない程度の軽い運動から始めると負担が少なく続けやすくなります。消化が落ちやすい体質の人にも取り入れやすい方法です。
軽めの筋トレで筋肉づくり痩せ型が健康的に太るためには筋肉の量を増やすことが欠かせません。ただし、いきなり重い負荷をかけると消費エネルギーが増えて体重が減る場合があります。
腕立て伏せやスクワットなど、負荷を抑えた自重トレーニングは取り入れやすく、筋肉の刺激として十分です。週2回から3回のペースで継続すると、筋肉がつきやすい状態を保てます。
■ハードすぎる筋トレは逆効果重い重量を扱うトレーニングは消費エネルギーが増え、増量を妨げる原因になります。体脂肪が少ない段階ではエネルギー不足に陥りやすく、筋肉の合成も進みにくくなります。
まずは体重を増やし、食事量と活動量のバランスを整えてから負荷を上げると効果が出やすくなります。段階的に運動強度を調整することで、無理なく体重を増やせます。
太りたいときに避けたいNG行動
増量を目指すときは、食べ方や生活リズムと同じくらい「やらないほうがいい行動」を理解することが大切です。間違った方法は体調を崩したり食欲を落としたりして、増量の妨げになる場合があります。
高カロリーのお菓子に頼りすぎる高カロリーのお菓子はエネルギーを増やせますが、脂質や糖分が多いため、胃腸に負担がかかります。満腹感が強く、次の食事量が減ってしまうことも考えられます。
栄養が偏りやすく、健康的な増量から離れてしまうため、食事と間食は栄養のある食品を中心に組み立てることが安心です。
夜遅くに大量に食べる食習慣夜遅い時間は消化機能が落ちやすく、暴飲暴食は胃腸の負担になります。翌日の食欲が落ちる原因にもなり、総摂取カロリーが安定しません。
体重を増やすなら、夕食は適量を早めの時間に済ませるほうが続けやすく、消化吸収も整いやすくなります。
プロテインを飲みすぎて食事が減るプロテインは手軽な栄養源ですが、多く飲むほど良いわけではありません。満腹感が強くなり、食事量が減って結果的にカロリー不足になる場合があります。
体重を増やす目的で使うときは、食事を基本にしながら補助として取り入れることが大切です。
痩せたまま強すぎる筋トレを続ける重い重量を扱う筋トレは消費カロリーが増え、体重が減る原因になります。エネルギー不足の状態では、筋肉が思うように増えず負担ばかりが大きくなります。
体脂肪と食事量を確保してから負荷を上げることで、筋トレが増量にプラスに働きます。無理なく続けられる負荷から調整することが増量成功の近道です。
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体重が増えないときは医師に相談を
増量に取り組んでも体重が増えない場合は、食事や生活習慣だけでは改善できない要因が隠れている場合があります。体の不調が続くときは、早めの受診で原因を明確にすることが安心に繋がります。
急な体重減少や食欲低下は受診のサイン短期間で体重が落ち続ける場合や、食欲の低下が長引く場合は、体の中で何らかの異変が起きている可能性があります。甲状腺機能の異常や消化器のトラブルなど、専門的な治療が必要なケースもあります。
疲れやすさや動悸、強いだるさを伴うときは、内科や消化器内科での相談が適しています。早めに相談することで、必要な治療や改善策を見つけやすくなります。
胃腸の不調が続く場合は原因の特定が必要下痢や軟便が続く、腹痛が頻繁に起きるなどの症状は、胃腸の吸収機能が低下しているサインです。食べても体に吸収されない状態では、努力が増量に繋がりません。
胃腸の問題は生活習慣だけでは改善しにくいため、専門医の診察で原因を特定することが大切です。適切な治療で吸収が安定すると、体重が増えやすい状態になります。
対策を続けても増えないときは専門家のサポートが有効食事量を整え、運動や生活習慣を改善しても体重が増えない場合は、栄養や代謝のバランスに個別の要因がある場合があります。自己判断で無理に食事量を増やすと、体調を崩すこともあります。
管理栄養士や医師による評価を受けることで、自分に合う食事量や栄養の組み合わせが見つかります。専門家のサポートを取り入れることで、増量がスムーズに進む場合があります。
Q&A:太りたい人のよくある疑問
増量に取り組む際には、食事や運動、体質に関する疑問が多く生まれます。悩みやすいポイントを整理しておくと、自分に合う方法が見つかりやすくなります。
Q:ガリガリから太るにはどうすればいいですか?主食とたんぱく質を中心にした食事を1日5〜6回取り、エネルギー量を安定させることが増量の基本です。軽い運動や十分な睡眠で胃腸の働きが整うと体に栄養が蓄えられやすくなります。急な体重減少がある場合は受診が安心です。
Q:太れない人の主な原因は何ですか?摂取エネルギーが足りていない状態が最も多く、食事量が安定しない、胃腸が弱い、睡眠不足やストレスの影響が重なると体重が増えにくくなります。生活リズムと食事内容を整えることで改善しやすくなります。
Q:一番太りやすい食べ物はありますか?白米は消化が良く量を増やしやすいため、増量したい人に向いています。アボカド、ナッツ、卵、牛乳もエネルギーが多く、食事や間食で取り入れやすい食品です。脂質の多い菓子類は胃腸に負担がかかるため控えめが安心です。
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監修者プロフィール
押切 佳代(おしきり かよ)神戸市西区の沢岻(たくし)美奈子女性クリニック院長。糖尿病専門医。女性医療を専門とするクリニックで糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を中心に、女性のライフステージに寄り添った診療を心がけています。健康と美容の両立をめざしたダイエット外来も担当しています。
クリニックHP:takushiminako.com
<Edit:MELOS編集部>