カーリング女子の26年ミラノ・コルティナ五輪最終予選が12月5日(日本時間6日)、カナダ・ケロウナで開幕する。9月の代表…

カーリング女子の26年ミラノ・コルティナ五輪最終予選が12月5日(日本時間6日)、カナダ・ケロウナで開幕する。9月の代表決定戦(稚内)を勝ち抜いたフォルティウスが日本代表として出場。8チームのうち上位3チームがプレーオフ(PO)に進み、残り2枠を争う。元日本代表サードの市川美余氏(36)は日本、米国、ノルウェー、トルコの4チームの争いになると予想。ライバルの特徴と突破のカギを分析した。【取材・構成=飯岡大暉】

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日本女子は実力通りなら80~90%で五輪2枠に入れる。ただ、ライバル3チームは実力が高く油断はできない。初戦でいきなり最大の敵、米国と対戦する。狙った位置に石を止めるドロー系が強いので、相手の展開に持ち込ませないことが重要。初戦は氷の状態が分からない難しさがあるが、ここで勝てば予選突破に近づく。5戦目のトルコも侮れない。米国と反対で、相手の石をはじき出すテイク系が得意。日本はトルコと相性がよくないため、先に仕掛けられるかが大事になる。実力的に米国は五分五分、トルコには主導権を握れば勝てる。3チームが進むPOには2敗が目安。無敗なら最高だが、トルコ戦までに最低でも1敗にとどめたい。最終戦のノルウェーにはプレッシャーをかけて投げさせれば、2位以内のPO進出が見えてくる。

フォルティウスは2つの課題を克服した。1つ目は作戦の駆け引き。シチュエーションに応じて戦い方を変えられるようになった。相手の石をはじき出す戦略が得意だったが、単純な攻守だけでなく、よりプレッシャーをかける場面を作り出せるようになった。2つ目はメンタル面。開幕2連敗から3連勝で日本代表となった9月の代表決定戦では成長を感じた。カーリングは精神面が勝敗を左右するスポーツ。いかに平常心で臨めるかが大事。3月の世界選手権(韓国)では4勝8敗の9位で五輪を逃したが、1点差の敗戦が4試合もあった。スキルがあるからこそ接戦に持ち込めていたが、そこで勝利を引き寄せる強さを手にした。

五輪経験者が2人いるのも心強い。リード近江谷杏菜選手が10年バンクーバー、サード小野寺佳歩選手が14年ソチに出場している。特に小野寺選手は最終予選を突破した経験を生かせるはずだ。スキップ吉村紗也香選手も頼もしくなった。今季は表情から覚悟が伝わる。司令塔としては控えめなタイプだったが、今年は自分で判断してチームを引っ張る姿勢が見られる。

吉村選手は同級生のロコ・ソラーレ藤沢五月という壁を乗り越えた。ただ、悲願の五輪まではもう1つ超えなければならない。日本女子は98年長野から7大会連続で出場中。しっかり枠を取って欲しいと切実に願う。(元日本代表サード)

◆26年ミラノ・コルティナ五輪への道 男女、混合ダブルスは各10カ国が出場。開催国イタリアを含む8枠が決定しており、残り2枠を最終予選で争う。12月5日(日本時間6日)に開幕する男女は8チームで総当たりの予選を行い、上位3チームがプレーオフに進出。予選1位と2位が対決し、勝者は五輪へ。敗者は予選3位と戦い、勝てば五輪に進む。13日(同14日)から行われる混合ダブルスは16チームが8チームずつ2組に分かれて予選を行い、各2位までがPO進出。1位同士の決定戦で勝てば五輪進出。敗者は、2位同士の勝者との決定戦に周り、勝者が五輪へ進む。

◆市川美余(いちかわ・みよ)1989年(平元)6月28日、長野県北佐久郡軽井沢町生まれ。98年長野五輪を見て8歳で競技を始める。中部電力で11年から日本選手権4連覇。日本代表で出場した13年世界選手権で7位。パワフルなテイクアウトが得意なサードで、14年春に現役引退した。