【青森】悲願のJ2昇格を果たしたヴァンラーレ八戸だが、今度は「スタジアム問題」をクリアしなければならない。現在のホーム…
【青森】悲願のJ2昇格を果たしたヴァンラーレ八戸だが、今度は「スタジアム問題」をクリアしなければならない。現在のホームスタジアムはJ2の基準を満たしておらず、新設か大規模改修を迫られる。だが、巨額な費用が絡むため、他地域では「スタジアム問題」が首長選の大きな争点となるなど、一筋縄ではいかない問題だ。
J2への昇格には(1)リーグ戦で2位以内などの成績(2)J2クラブライセンス取得――の二つが必要だ。ヴァンラーレ八戸は今季のJ3で2位となり、(1)はクリアした。
(2)のクラブライセンス取得には、練習場、育成部門の整備など五つの審査基準があり、これらをクリア出来ないとライセンスは交付されない。この一つに、J2の基準を満たすスタジアムがある。
ヴァンラーレは過去、JFLからJ3への昇格を目指していた時に、ライセンス基準を満たすスタジアムが確保出来ないとして、3度J3ライセンスが不交付となった経験がある。特に2015年は年間順位2位と成績では昇格基準を満たしながら、スタジアム問題でJリーグ入りがならなかった。
ヴァンラーレなどは昇格を見越した11月上旬から、この問題解決を見据えてスタジアム整備を求める署名活動を開始している。下平賢吾社長は「スタジアム問題の解決には地域の力が必要だ。地域を変えるチャンスでもある」と話す。
集める署名数に目標などはないが、今年J1に初参入したファジアーノ岡山は50万筆超の署名を集めた。下平社長は「それに負けないように活動したい」と意気込む。(鵜沼照都、野田佑介)
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そもそもJリーグが定める「スタジアム基準」とは何か。J2では、入場可能数が1万人以上(芝生席は含めない)と定められている。その一方で、サッカー専用スタジアムであるなどいくつかの要件を満たせば、ホームタウンの人口などを勘案した上で、全席個席で5千人以上であれば「基準を満たす」という例外措置もある。
ヴァンラーレの現在のホームスタジアム・プライフーズスタジアム(八戸市多賀多目的運動場)は、収容人数がメインスタンド1160席、芝生席が約4千人なので、例外措置であってもJ2の要件は満たしていない。
新設か大規模改修か、基準を満たすスタジアムについて「3年以内の建設計画の提出」や「昇格後、5年以内の着工、完成・供用開始」といった時間的な制約も設定されている。
Jリーグ広報によるとJ1(20クラブ)、J2(同)、J3(同)の60クラブのうち、ホームスタジアムをクラブが所有しているのは、柏と今治の2クラブだけだ。クラブの親会社が所有しているのは、栃木シティと磐田、長崎の3クラブ。それ以外は自治体所有となっている。また、味の素スタジアム(東京都調布市)のように、FC東京と東京ヴェルディが共有しているケースもあるという。
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秋田では、J2ブラウブリッツ秋田の本拠地となる新スタジアムの計画が二転三転したことで、今春にあった秋田市長選の大きな争点に。結果、新顔候補が5選を狙った現職を破った。
スタジアムを自前で調達できる恵まれたクラブは少なく、少子高齢化で自治体の財政はどこも厳しい。八戸市の熊谷雄一市長は「八戸市だけで進めるのでなく、周辺市町村や県との協議が必要だ」としている。