トヨタが圧勝したWRCの先行きも注目されている(C)Getty Images 世界ラリー選手権(WRC)最終戦ラリー・サ…

トヨタが圧勝したWRCの先行きも注目されている(C)Getty Images

 世界ラリー選手権(WRC)最終戦ラリー・サウジアラビアが現地時間11月29日に最終日を終え、トヨタガズーレーシングのセバスチャン・オジエ(フランス)が3位に入り、WRC最多記録に並ぶ9度目のドライバーズチャンピオンに輝いた。自身のタイトルは2021年以来、4年ぶり。41歳となった今季はフル参戦しないパートタイム契約で14戦中11戦に出場し、計6勝をマークした。

【動画】見せた「ドーハの快走」 角田裕毅がフェルスタッペンを超えたレースをチェック

 トヨタ自動車会長でもある豊田章男チーム会長は「すごい! やっぱり強い! セブ(オジエ)を見ていると、そんな感想しか出てこない……9回目のチャンピオンおめでとう!」と祝福した。

 同じフランス人ドライバーのセバスチャン・ローブが2021年から9連覇を成し遂げ、これがWRC最多記録だった。来季もパートタイムで参戦の予定だが、前人未到の10度目のタイトルの期待も膨らむ。

 一方、チームメートでもある勝田貴元は5位に終わり、1992年アイボリーコーストラリーの篠塚建次郎以来となる日本人WRC優勝はかなわなかった。それでも今季はスウェーデン、フィンランドと北欧の非舗装路のラリーで2位表彰台を獲得しており、同チームからフル参戦で臨む来季こそは表彰台のてっぺんに立ちたいところだ。

 勝田は「最終ステージの1本前で、コースを外れて戻ろうとした時、非常に軟らかい砂に足をとられ、それが転倒の原因となりました。週末を通して注意深く走っていただけに、こんな小さなミスを犯してしまったのは本当に残念ですが、これもラリーです」などとコメントした。

 来季のトヨタは勝田、オジエのほか通算11勝のエルフィン・エバンス(イギリス)、トヨタのトップチームで初のレギュラードライバーとなるオリバー・ソルベルグ(スウェーデン)、サミ・パヤリ(フィンランド)の体制となる。元王者のカッレ・ロバンペラはWRCを引退し、フォーミュラレースへと転向。来季は日本のスーパーフォーミュラに参戦する。

 トップカテゴリーのWRC1ではトヨタのほか、韓国のヒョンデ、欧州フォードのMスポーツの3チームが戦っているが、最終的にトヨタが12勝と他を圧倒した。それが逆にしらけムードを呼んでいるという。

 2027年には新たな車両規定に切り替わるが、今季2勝どまりだったヒョンデは来季で撤退の可能性もあり、ゼロ勝だったMスポーツも戦闘力不足に悩んでいるためヒョンデに同調してもおかしくない。イタリアメーカーの名門ランチアがWRCへの復帰を表明しているが参戦するのは下部カテゴリーの「WRC2」。トップカテゴリーの選手権が成立するか不透明なところはある。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】WRC界のプリンスが“異例の転身” ラリー引退→スーパーフォーミュラ参戦 F1への道を模索へ

【関連記事】なぜ陣営の“不可解ミス”は繰り返されるのか 角田裕毅の「不遇」を英記者が糾弾「本当に疑問だ。ドライバーの問題ではない!」

【関連記事】生き残るのは角田裕毅か、ローソンか 混迷深めるレッドブルの来季構想に元F1戦士が持論「すべてにおいてリアムの方が正しい」