■仙台が勝ってもおかしくない試合だったが【J2リーグ第38節 11月29日 14時04分キックオフ 仙台 0ー1 いわき…

■仙台が勝ってもおかしくない試合だったが…

【J2リーグ第38節 11月29日 14時04分キックオフ 仙台 0ー1 いわき ユアテックスタジアム仙台】

 戦国J2の結末は、やはり予想ができないものだった。

 J2リーグ第38節(最終節)が11月29日に一斉開催され、6位のベガルタ仙台は9位のいわきFCと対戦した。仙台はJ1昇格プレーオフ圏の6位以内を確保するために、確実に勝利をつかみたいところだ。しかし、前半から得点機を生かすことができない。0対0のまま推移した82分に先制され、がけっぷちに立たされてしまう。

 いわきは3-1-4-2を基本とし、守備時は4-4-2に可変してきたが、1点をリードしてからは5-3-2で対応してきた。仙台はCB菅田真啓を最前線へ上げ、MF鎌田大夢を下げてクロッサーのDF石井隼太を入れる。パワープレーに活路を見出そうとしたが、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。

 仙台は0対1で敗れ、磐田は2対1で勝利した。サガン鳥栖とのアウェイゲームに挑んだ磐田は、88分に同点に追いつかれたものの、直後の90分に2点目を決めて2対1で逃げ切った。

 この結果、仙台は7位に転落してしまった。昨シーズンは最終節でJ1昇格プレーオフ圏へ滑り込んだが、今シーズンは対照的な結末となってしまった。

 試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督は「決定力だけが、得点力だけが足りなかった。勝ち切れる試合を勝てなかった、これに尽きる」と話した。

 指揮官が話したとおり、勝ってもおかしくない試合だった。しかし、勝ってもおかしくない試合で勝点3を取り逃したのは、最終節のいわき戦だけではない。今シーズンの仙台は引分けが「14」で、これはリーグで2番目に多い。J3降格となったレノファ山口FC愛媛FCと引分けたり、16位の大分トリニータとスコアレスドローを演じたりした。J2残留争いを演じたカターレ富山に、ホームで敗れたこともあった。そうしたとりこぼしが、最終的にチームを苦しめたのは否定できない。

■J1昇格に届かなかった根本的な原因とは

 仙台は、なぜ「勝ってもおかしくない試合で勝ちきれない」のか。理由は複数あるのだろうが、絶対的なストライカーの不在はそのひとつにあげられるだろう。

 今シーズンを迎えるにあたって、22年途中から3シーズン期限付き移籍でプレーした中島元彦がチームを離れた。24年にチームトップの13得点を記録した彼の代わりとなる得点源を、しっかりと確保できるのか。中島がいても届かなかったJ1の扉を開くためには、彼と同等かそれ以上の数字が期待できるストライカーがほしいはずである。

 チームは即戦力としてFW宮崎鴻、FWグスタボを獲得した。宮崎はキャリアハイの8ゴールを記録したが、グスタボはわずか4試合の出場で1得点も記録していない。加入2年目のエロンは、3ゴールに終わった。

 夏の移籍市場では、J3の高知ユナイテッドFCで得点を量産していたFW小林心を獲得した。それが悪いとは言わない。ただ、15試合出場で3ゴールという成績は、得点力アップに直結するものではなかった。Xファクターとは成り得なかった。

 J2リーグ優勝でJ1昇格を決めた水戸ホーリーホックは、渡邉新太が得点ランク4位の13ゴールを記録した。2位でJ1昇格を決めたV・ファーレン長崎では、MFマテウス・ジェズスが19ゴールを叩き出して得点王となった。

 3位のジェフユナイテッド千葉では、FW石川大地とFWカルリーニョス・ジュニオが、ともに10ゴールをマークした。4位の徳島ヴォルティスでは、ルーカス・バルセロスがランク3位の14得点を叩き出している。

 仙台では郷家友太が、チームトップの10得点を記録した。彼はストライカーではない。得点力に優れたMFである。2トップの一角でもプレーできるものの、2列目からゴール前へ飛び込んでいく形こそが、彼の得点能力をもっとも引き出せる起用法だ。

 森山監督のもとで戦ってきた2シーズンで、守備は整備されてきた。今シーズンの失点「36」は、リーグ最少4位だ。

 J1昇格のために必要なのは、2ケタ得点を取れるストライカーである。

 そのために、既存の戦力の底上げをレベルアップを促すのか、新たな戦力の獲得に動くのか。過去2シーズンの戦いを見れば、答えは出ている。

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