自信を深めるレースで、ポイント奪取に成功した角田(C)Getty Images難しいレースで「全力を尽くした」 ドーハで…

自信を深めるレースで、ポイント奪取に成功した角田(C)Getty Images

難しいレースで「全力を尽くした」

 ドーハで意地のポイント奪取だ。現地時間11月30日に行われたカタール・グランプリ(GP)決勝で、レッドブルの角田裕毅は、15番手からスタートして10位にまで浮上。見事に入賞を果たした。

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 予選はQ1で16番手に沈み、Q2進出も逃す事態となり、「理由が分からない」と嘆いた角田。チームが来季構想を決断する最後のレースで大きな試練と直面したが、決勝で執念を見せた。

 出走とともに安定したペースで着実に順位を上げていった角田は、入賞圏内まであと一つとなる11番手で最終盤を迎える。そして、残り2周となったところで“運”も彼に味方をする。残り2周を過ぎたタイミングで、上位を走っていたアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がマシントラブルに見舞われて急失速。この好機を見逃さなかった25歳は、グッとスピードを上げて10位に滑り込んだ。

 最後の最後まで懸命に走り抜いた執念が実る形でのポイント獲得。しかし、当人は至って冷静だ。レース終了直後の無線で「タイヤがめちゃくちゃオーバーヒートする。この状態だとオーバーテイクは簡単じゃないよ」とクレバーに自己分析を口にした角田は、F1公式のフラッシュインタビューで、「ポイント圏内に入るべく全力を尽くし、最終的に達成できた」と持論を展開した。

「今夜は本当に難しいレースだった。マシンの感触は良かったし、ペースもまずまずだったけど、サーキットの特性と2ストップルールが状況を難しくしたんだ。ここは高速コーナーが多いうえに、DRSゾーンが1箇所しかない。そうなるとオーバーテイクはほぼ不可能で、全ドライバーが苦戦していた。そしてセーフティカーが導入されると、順位を上げるのがさらに困難になった」

 環境面でも難しいレースで「全力を尽くした」。だからこその結果なわけだが、角田はチームにも感謝を口にする。

「ここ数戦、チームは自分に強力なマシンを提供してくれている。だから、マックスに可能な限り接近し続けることができている。次戦も同様の戦い方を心がけたい」

フェルスタッペンを好アシストし、結果も掴んだが…

 同僚のマックス・フェルスタッペンは今GPを制し、ドライバーズランキングトップのランド・ノリス(マクラーレン)に12ポイント差と肉薄。優勝の行方を最終戦にまで持ち込んだ。レッドブルとしては、ここからの1週間はエースの5連覇に注力をする状況となる。

 ただ、エースの上位浮上もアシストした上で、求められた“結果”も手にした角田への評価が軽んじられているわけではない。決勝後に「この結果には本当に満足している。今夜はマクラーレン勢と互角に戦えるまで、どちらのマシンのペースも着実に向上していた」と語ったローラン・メキース代表は、土壇場で意地を見せた日本人ドライバーを称えた。

「アブダビに向けては、ユウキが100%の状態であることが非常に重要になる。今週末の彼は、我々とともに強い週末を過ごした。金曜のFPだって強かったし、スプリントでも力強い走りを見せてくれた。確かにQ1で脱落したが、マックスからたったの0.3秒差だ。予選でマックスから0.3秒差なら満足するドライバーはたくさんいる。だからアブダビでもまた素晴らしい週末を求めたい」

 もっとも、現地時間12月5日から行われるアブダビGPに向けては、何らかのテコ入れがされる可能性もゼロではない。英メディア『The Race』によれば、レッドブル首脳陣は現地時間12月2日に、先延ばしにしてきた来季陣容の最終判断を下すと認めている。メキース代表も「アブダビの注目を乱すものではない」としつつも、「我々は計画を忠実に守る」と公言している。

 となれば、このカタールGPでポイント獲得に至ったのは、十分な評価を与えるにふさわしいのではないか。『The Race』は「ツノダが残留するのかは依然として不透明だ。彼は2026年を前に解雇される可能性がある」と指摘した上で、当人のポジティブな言葉を伝えている。

「今は自分の能力を発揮できていると思う。自分がいるシート(レッドブルのセカンドシート)の中で……、まぁここ数年を振り返ってみても、シーズン中盤で今のレベルに到達できたドライバーはほとんどいないと思う。今は次のレースでマックスを助けることに集中するだけ。ペースは問題なく出ている。このチームのセカンドシートでこれ以上にできることはほとんどない」

 果たして、角田はレッドブル、ひいてはF1生き残りを果たせるのか。まずは来季ラインナップの公表を待ちたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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