【明治安田J2リーグ 第38節 水戸ホーリーホックvs大分トリニータ 2025年11月29日(土)14:03キックオフ …

【明治安田J2リーグ 第38節 水戸ホーリーホックvs大分トリニータ 2025年11月29日(土)14:03キックオフ ケーズデンキスタジアム水戸】撮影/原壮史(Sony α-1使用)

■本拠地に史上最多10743人が集結

 クラブ新記録の15試合負けなし、8連勝を記録するなど快進撃を続けてきた水戸ホーリーホック。3試合を残してクラブ史上初のJ1昇格に王手をかけたが、昇格争いを繰り広げるRB大宮アルディージャV・ファーレン長崎に連敗。2位に転落して最終節を迎えることになった。

 首位・長崎と勝点2差かつ3位のジェフユナイテッド千葉と勝点1差。しかも、長崎戦で正GKの西川幸之介が退場になり、最終節は出場停止となっていた。勝てば自力で昇格を確定できる立場とはいえ、凄まじい重圧がのしかかる状況だった。

 だが、この日の本拠地ケーズデンキスタジアム水戸には、選手を後押しし、歴史の証人となるべく、史上最多となる10743人が集結。今シーズン初先発となるGK春名竜聖をはじめ、試合前から選手たちに大声援が送られた。

 期待と不安が入り混じった前半は、両チームともにロストを嫌うプレーで動きが硬く、スコアレスで終了した。その間、他会場では長崎が先制点を奪われ、千葉は2点をリード。仮にこのまま試合が終われば、1位・千葉、2位・長崎、3位・水戸…。だが、他会場のスコアがそのままなら、水戸は目の前の試合に勝利すればJ2優勝という状況となっていた。

■ついに迎えた歓喜の瞬間

 とにかく早いうちに1点が欲しい状態で迎えた後半、水戸は早々の1分に多田圭佑がゴールを決めた。先制点で硬さが一気にほぐれたのか、前から積極的に追うプレーを続けて主導権を握ることに成功。後半20分には、山本隼大が豪快な一撃でゴールネットを揺らし、点差を2点に広げた。

 そして終了のホイッスルとともに歓喜の瞬間が訪れた。

 自分たちの勝利でJ1昇格を確定させた選手たちは喜びを爆発。その後、長崎が引き分けたことでJ2優勝も手にした。2000年のJリーグ参入から26年に渡ってJ2で戦い続けてきた「J2の番人」が、ついに悲願成就の時を迎えた。

 財政難による存続危機もあった水戸は、様々な困難を乗り越えながらJリーグのクラブとして生き抜いてきた。田中マルクス闘莉王、前田大然小川航基伊藤涼太郎ら、期限付き移籍でやってきた若い選手たちが出場機会を得て羽ばたいていったが、クラブはJ2から抜け出せなかった。

 チームを指揮した森直樹監督は、2005年に選手として水戸で引退すると、翌年にはユースチームのコーチに就任し、2024年の監督昇格まで指導者としてキャリアを積み重ねてきた。今季も決して予算に余裕があるわけではなかったが、見事な「戦いぶり」で、これまで手にしたことのない「結果」を手にした。

 歓喜に沸くスタジアムの中で、指揮官、選手たち、さらにクラブの歴史を象徴するレジェンド・本間幸司(現クラブ・リレーション・オーガナイザー)もシャーレを掲げた。サポーターは涙を流しながら、堂々と胸を張る。クラブが長い時間をかけて積み重ねてきたものが、ついに結実した。


■試合結果

水戸ホーリーホック 2-0 大分トリニータ

■得点者

46分 多田圭佑(水戸)
75分 山本隼大(水戸)

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