武田は新天地でもう一花咲かせるつもりだ(C)産経新聞社 ここ数年の武田翔太を語る上で、肘のトミー・ジョン手術とリハビリの…

武田は新天地でもう一花咲かせるつもりだ(C)産経新聞社
ここ数年の武田翔太を語る上で、肘のトミー・ジョン手術とリハビリの時間は欠かせない。手術後の2年間は1軍登板がなく、苦しい時期が続いた。
「トミー・ジョンは初めてだったので、『なぜそうなったのか』という原因の部分からかなり調べました。手術に至るまでの投げ方や身体の状態も含めて、一度ゼロから見直す期間だと捉えていました」
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復帰時期についても、自身の感覚にズレがあったという。
「自分のイメージでは、復帰まで1年6か月くらいかなと思っていたんですけど、実際は1年2か月くらいで試合に戻りました。正直『ちょっと早いな』という感覚はありましたね。投げている間もずっと痛みはありましたし、動きもおかしくなっていた。『今年はこういうものだ』と割り切って投げていました」
それでも、無理を重ねて再び壊すことだけは避けたかった。
「とにかくブレーキをかけながら投げていた印象です。『ここは我慢して抑えよう』と、自分にストップをかけ続けていました」
今のコンディションを尋ねると、表情は明るい。
「肘に関しては完全に問題ないです。全力で投げられますし、『ようやく野球ができるな』という感覚ですね」
言葉の端々から、自分を客観視してきた時間の長さがうかがえる。
「思いつきで動きたくないんです。復帰に関しても、『早く戻したい』という気持ちはありましたけど、結果的に長引いた部分もあったので、今は『もう少し待っても良かったかな』という反省もあります。ただ、その経験があったからこそ、今の自分の感覚があるとも思っています」
ソフトバンクを離れることになったとはいえ、それも自分が描いていたプロセスの延長線上にあると受け止めている。
「いろんな意味で、自分が思い描いていた段階を順調に踏めている感覚はあります。その流れの中で、チームが変わったという印象ですね」
新天地・SSGランダースでは、先発ローテーションの一角を託される見込みだ。
「第一前提として、年間通してローテを守ること。怪我なく、シーズンをしっかり回り切ることが一番大事だと思っています。そのうえで、チームに良い影響を与えられるような投球ができれば嬉しいですね。今回は僕が“外国人選手”の立場になるので、その点も理解しながらやっていきたいです」
技術面では、「もう一段階の進化」を目指している。
「チームを勝たせることは絶対条件ですけど、個人としては球速やコマンド、ピッチデザインといった細かい部分を、全体的にパワーアップさせたいです。韓国でも野球ノートはもちろん続けますよ。さすがに日本語で書きますけど(笑)」
最後に、日本のファンと、これから出会う韓国のファンに向けてメッセージをもらった。
「ホークスでの14年間、波はありましたけど、ずっと応援してくれた方々がいました。顔と名前が一致するファンの方も多いですし、本当にありがたいなと感じています。まだ野球を続けられますし、ここからもう一花咲かせて、一緒に喜べるように頑張りたい。これからも応援してもらえたら嬉しいです」
そして、SSGファンへ。
「まだどんな選手か分からないと思うので、それは球場で、自分の目で見て判断してほしいなと思います。チームの力になれるように、まずはロースターにしっかり入ること。そこから全力でやっていきます。僕の背中を押してもらえたらうれしいです」
来春、日本で行われるキャンプでは、古巣ホークスとの練習試合が組まれる可能性もあるという。
「もし対戦することになったら、全力で投げます」と笑った表情には、揺るぎない決意が見えた。
トミー・ジョン手術を乗り越え、「ようやく全力で投げられる」状態を取り戻した右腕が、今度は韓国のマウンドでどんな物語を紡いでいくのか。新たな挑戦は、すでに始まっている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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