WRC第14戦サウジアラビア(グラベル)の最終日となる土曜日を終え、トヨタ勢はセバスチャン・オジエの3位が最上位。パワー…
WRC第14戦サウジアラビア(グラベル)の最終日となる土曜日を終え、トヨタ勢はセバスチャン・オジエの3位が最上位。パワーステージ2位、スーパーサンデー1位の得点とあわせて24ポイントを加算しシリーズポイントを293として自身9度目のチャンピオンを獲得、コ・ドライバーのバンサン・ランデにとっては初のタイトルとなった。最後までタイトルを争ったチームメイトのエルフィン・エバンスはパワーステージでベストをマークしたが、スーパーサンデー2位、総合6位となった結果289ポイントと、タイトルにあと一歩及ばなかった。
(以下、発表リリース)
WRC 第14戦ラリー・サウジアラビア デイ4
激戦を戦い抜いたオジエが総合3位でフィニッシュし
最多タイ記録となる9回目のドライバーズタイトルを獲得
11月29日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第14戦「ラリー・サウジアラビア」の最終日デイ4が、ジッダのサービスパークを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合3位でフィニッシュ。通算9回目となるドライバーズタイトルを獲得しました。また、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合4位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合5位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) は総合6位で、今回がWRCラストランとなるカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合7位でフィニッシュしました。
ラリー・サウジアラビアの最終日デイ4は、ジッダのサービスパークの北側エリアで3本のステージを走行。その合計距離は65.86kmでした。最終日も天気に恵まれ、ステージの最高気温は日中33度前後まで上昇。ステージはドライコンディションが保たれました。
前日のデイ3で総合3位に順位を上げた勝田は、デイ4オープニングのSS15で7番手タイムを記録し順位を守りました。しかし、今大会最長となる33.28kmのSS16の高速コーナーでコースアウトを喫し、ロールオーバー。クルマに大きなダメージを負った状態でステージをフィニッシュし、総合5位に順位を下げてしまいました。このSS16では総合5位につけていたロバンペラもタイヤにダメージを負い、タイヤ交換のために大きくタイムを失い総合7位に後退。さらに、総合2位につけていたマールティンシュ・セスクス(Mスポーツ・フォード)もダメージを負ったタイヤの交換作業で大きく後退した結果、総合6位につけていたオジエがベストタイムで一気に総合3位にポジションアップ。パヤリは総合4位に、エバンスは総合6位に順位を上げました。
そして迎えた最終のパワーステージ、SS17をオジエは2番手タイムで走り切り、総合3位でフィニッシュ。オジエは、通常の「スーパーサンデー」とは異なり、土曜日のタイムだけで競われる「スーパーサタデー」でも1位となり、パワーステージと併せて9ポイントのボーナスを加算。その結果、年間の選手権ポイントは293となりました。一方、エバンスはパワーステージで2番手のオジエに7.2秒差をつける圧巻の最速タイムを刻み、総合6位でフィニッシュ。パワーステージと、スーパーサタデー2位により選手権ポイントは289に。また、ロバンペラは総合7位、パワーステージ4番手タイムにより選手権ポイントは256に。その結果、3戦を欠場しながらも出場した11戦で6勝を含む10回の表彰台フィニッシュを果たし、ドライバーズランキングでトップに立ったオジエが、2021年以来となる通算9回目のドライバーズタイトルを獲得しました。この9回というレコードは、2004年から2012年にかけて9年連続で王座を獲得した、セバスチャン・ローブに並ぶWRC最多記録であり、TGR-WRTのドライバーとして参戦したシーズンでは3回目の戴冠となります。

TGR-WRTのドライバーは過去7年間で6回タイトルを獲得。また、既に第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーで5年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得していたことから、5年間で4回、3つの獲得可能なタイトルを手にしてきました。また、トヨタとしては今回が10回目のドライバーズタイトル獲得となり、ランチアと並ぶことになりました。
惜しくもタイトル獲得はなりませんでしたが、エバンスは年間2勝を含む8回の表彰台を獲得。そして全14戦でトップ6に入り、WRCキャリア5回目となるシリーズ2位を獲得するなど、2025年も非常に高い競争力を安定して発揮しシーズンを戦い抜きました。
今シーズンをもってWRCを引退し、来季はTGRのサポートによりフォーミュラカーでサーキットレースに転向するロバンペラは、3度目のタイトル獲得こそ実現しませんでしたが、最後までフルスピードでのアタックを続け、未舗装路での戦いに別れを告げました。
デイ2で2本のベストタイムを記録し一時首位に立つなど優勝争いに加わったパヤリは、デイ3の途中までポディウム圏内につけていましたが、タイヤにダメージを負い交換作業により総合7位に後退。しかし、最終日は安定感のある走りで3本のステージを走破。総合4位に順位を上げ、Rally1フル参戦初シーズンの最終戦を戦い抜きました。また、勝田はフロントウインドウを失うなど満身創痍のクルマでパワーステージに臨み、5番手タイムを記録。総合5位で完走しました。
GR Yaris Rally2で出場した、2025年のWRC2王者オリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラストップ、総合10位でフィニッシュしました。今年は第8戦ラリー・エストニアで初めてGR YARIS Rally1をドライブし、WRC初優勝を達成。また、総合の年間ドライバーズランキングでも9位に入るなど素晴らしい結果を残しました。そのソルベルグは2026年、TGR-WRTの一員として、トップカテゴリーのRally1車両でシーズンを通した戦いに挑みます。
ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
セブとエルフィンの戦いは、シーズン最後のラリーの最終ステージまで続く、信じられないような接戦でした。セブは現時点で世界最高のドライバーであり、おそらく史上最高のドライバーであることを証明したと思います。9回目のタイトル獲得で最多記録に並び、しかもそれを3つの異なるマニュファクチャラーで成し遂げたのです。私もかつて3つのチームで優勝しましたが、タイトルは4回しか獲得できませんでした!エルフィンもまた、素晴らしい仕事を成し遂げました。ミスを一切犯さず、シーズンの大部分で一番手スタートを担いながらも、驚異的な安定感を発揮しました。来年も彼と共に再び頂点を目指すことができるのは、素晴らしいことです。カッレも今回は結果を出すことはできませんでしたが、最善を尽くしました。彼がいなくなるのは寂しいですが、新たな挑戦を見守るのは楽しみです。そして、サミやオリバーといった若手の台頭もあり、2026年もまた力強い戦いができると確信しています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
この週末、私たちにできることは全てやったと思います。金曜日のタイヤ交換はプラスになりませんでしたが、それは今週の戦いの要素のひとつであり、誰もが公平に問題を抱えていました。今日2本目のステージではあまり良い走りができず、今週末は砂の多いセクションで少し苦労しました。そして他の多くのドライバーも問題を抱えていた状況で、セブは上位に躍り出ました。私たちにとっては残念な結果ですが、セブとヴァンサンは年間を通して素晴らしい戦いをしてきたので、タイトルを獲得するに相応しいと思います。私はコンペティターとして常に上を目指していますが、素晴らしいチームに支えられ、最後まで後押ししてもらえたことで、良いシーズンを過ごすことができたと思います。素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆に感謝します。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
セブとヴァンサンのタイトル獲得を祝福します。彼らは今年素晴らしい戦いを続けてきたので、間違いなくチャンピオンに相応しいと思います。自分たちが望んでいたような、最後のラリーにはなりませんでしたが、タフな戦いになることは最初から分かっていました。それでも今は、良い気分です。もちろん、人生の大きな部分を占めてきたこのスポーツと仲間たちから離れるのは悲しいですが、それと同時に自分たちが成し遂げたことに誇りを感じています。本当に素晴らしい経験でした。感謝すべき人は多数いますが、何よりもまず、素晴らしい時間を共に過ごし、輝かしい結果を残し、多くの楽しい瞬間を共有してきたヨンネに感謝します。そして、この素晴らしい年月を共に過ごしてきたトヨタと、チームの皆にも感謝します。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
エルフィンとスコットとの戦いは本当に壮絶でした。偉大なチャンピオンには偉大な対戦相手が必要ですし、彼らは最後まで非常に強く、我々は今年最後のステージまで追い詰められました。彼らふたり、カッレとヨンネ、そしてチーム全員におめでとうと言いたいです。とても成功したシーズンでしたし、このファミリーの一員であることを誇りに思い、幸せを感じています。家族と過ごす時間を増やすためラリーへの取り組みかたを変えると決めた後、9度目のタイトル獲得という瞬間が訪れるとは夢にも思いませんでした。この素晴らしいチームと共に仕事ができる機会に恵まれたこと、そして私の横で驚くべき仕事ぶりを見せ、私を鼓舞し、若返らせてくれた若いコ・ドライバーに出会えたことに感謝します。共に素晴らしい仕事を成し遂げてきたので、今日はヴァンサンの勝利を喜ぶ気持ちの方が強いですが、もちろん自分にもおめでとうと言いたいです。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
このラリーを完走することができたのは良かったですが、今日はより良い結果を得られたはずです。最終ステージの1本前で、少し楽観的なペースノートが原因でコースアウトするまでは表彰台を争っていました。コースを外れて戻ろうとした時、非常に柔らかい砂に足をとられ、それが転倒の原因となりました。週末を通して注意深く走っていただけに、こんな小さなミスを犯してしまったのは本当に残念ですが、これもラリーです。チームには申し訳ない気持ちですが、今年自分が受けた素晴らしいサポートに感謝していますし、より強くなって戻ってくるために一生懸命努力します。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
初優勝を目標に掲げてこのラリーに臨みましたが、大半は順調でした。昨日の午後に起きた出来事は残念でしたし、それが原因でより良い結果を得ることができなくなりましたが、初開催の難しいラリーで今週自分たちが発揮したパフォーマンスにはとても満足しています。ラリージャパンでの表彰台を経て、この最初のシーズンを非常に良いフィーリングで終えることができました。自分たちがより速く、強くなるために素晴らしい仕事で支えてくれたチームに心から感謝します。来年に向けて期待が高まっていますし、とても楽しみです。

ラリー・サウジアラビアの結果
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) 3h21m17.3s
2 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +54.7s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m03.3s
4 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m51.7s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m59.9s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m43.9s
7 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +5m31.5s
8 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +7m07.2s
9 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +8m30.5s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m00.6s
(現地時間11月29日14時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
2025年WRCドライバー選手権順位
1 セバスチャン・オジエ 293ポイント
2 エルフィン・エバンス 289ポイント
3 カッレ・ロバンペラ 256ポイント
4 オィット・タナック 216ポイント
5 ティエリー・ヌービル 194ポイント
6 勝田 貴元 122ポイント
7 アドリアン・フォルモー 115ポイント
8 サミ・パヤリ 107ポイント
9 オリバー・ソルベルグ 71ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 40ポイント
2025年WRCマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 735ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 511ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 205ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 158ポイント