サッカーJ2の北海道コンサドーレ札幌は29日、大和ハウスプレミストドームであった愛媛FC戦に3―0で勝ち、今季の全日程…
サッカーJ2の北海道コンサドーレ札幌は29日、大和ハウスプレミストドームであった愛媛FC戦に3―0で勝ち、今季の全日程を終えた。最終成績は勝ち点53で12位。9年ぶりのJ2は苦しいシーズンとなった。
試合は前半25分にMF近藤友喜選手が先制点を決めると、後半にはコーナーキックにDF家泉怜依選手が頭で合わせて追加点。後半途中から出場したFWマリオ・セルジオ選手が決定的な3点目を左足で決め、快勝した。
今季での引退を表明したMF深井一希選手は、キャプテンマークをつけて先発出場。中盤での安定したパス回しで持ち味を発揮し、後半には豪快なミドルシュートも見せた。交代の場面では、両チームの選手が引退への花道をつくり、一人ひとりの選手とタッチを交わしてピッチを去った。
札幌出身で、ユース時代も含め札幌一筋で過ごした。13年間のプロ生活は、けがとの闘いだった。左右の前十字靱帯(じんたい)を断裂するなど、5度の大手術を繰り返した。何度も不死鳥のようにピッチに戻る姿から、サポーターの間では「不屈の漢」と呼ばれてきた。
今季は2―1で勝利したホーム藤枝戦に途中出場。当時の岩政大樹前監督はインタビューで「彼はすごいので。コンディション整えて、素晴らしかったので使うしかないなと思った」と、涙ながらに語った。
引退セレモニーで深井選手は「どんな苦しい時も仲間の存在が僕を救ってくれた。いつか必ずこのピッチに監督として戻ってくることを夢見て、ひたむきに努力します」と語りかけた。
ゴール裏を埋めたサポーター席には、こんなメッセージが掲げられた。「深井一希が切り拓いた道 誰にも重ねられないその足跡全てがコンサドーレの財産 次の一歩も全力で踏み込め」(大滝哲彰)
「1年でのJ1復帰」。そんな目標を掲げて臨んだ今季だった。「超攻撃的サッカー」を貫いた7年間のペトロビッチ監督体制に幕を閉じ、今季序盤は岩政大樹監督が指揮。主力が多く退団したなか、開幕戦から4連敗と厳しい試合が続いた。
シーズン中に開かれたカップ戦も含め、目立ったのは失点数の多さだ。総失点数は最下位の愛媛に次ぐ63。6月にはJ1名古屋のDF宮大樹選手らを迎え、DFラインを強化。札幌ユース出身の若手DF西野奨太選手も、対人の強さで存在感を見せたが、その後も複数失点で負ける試合が多かった。
8月、岩政監督に代わりU―18を指揮した柴田慎吾監督が就任した。「スペースを活用するフットボールを目指す」と掲げ、攻撃面のてこ入れを図ったが、攻撃の最適解を導き出せなかった。
キャプテンのMF高嶺朋樹選手は今季、ベルギー1部から古巣に戻った。当初は本職のボランチではなく、慣れない左SBや右SBなどを任されたが、チーム最多の10得点を記録。うち8得点はペナルティーエリア外からの強烈なシュートだった。名実ともにチームの柱となった。
柴田監督は「とても苦しく不甲斐ないシーズンだった」としつつ、「困難な局面にぶち当たった時こそ、本当の強さが問われている。顔を上げ、歯を食いしばりながら今年起こったことを分析し、J1昇格へクラブ一丸となって努力していく」と語った。
Jリーグはいまの「春秋制」から、来季は「秋春制」に移行する。その影響で、来年2月からは昇降格のない特例リーグ戦が開かれる。
札幌は、河合竜二氏が12月12日付でゼネラルマネジャーに就任し、来年4月にはクラブ創設30周年も迎える。攻守ともに大きな課題が残った今季の試合を分析し、根本的なチームの立て直しが求められる。(大瀧哲彰)