後藤健生は前回の「放浪記」で、サッカーと川の「深~い」関係について語った。今回は、川や海と関係の深いスタジアム、そして…

 後藤健生は前回の「放浪記」で、サッカーと川の「深~い」関係について語った。今回は、川や海と関係の深いスタジアム、そして日本代表が戦った「2度」の川中島の戦いについて筆をとる。

■「元GK兼FW」が設計したスタジアム

 前回の「蹴球放浪記」では、ヨーロッパの川の風景の話から川沿いにあるスタジアムの話題になりました。

 もう一つ、川沿いのスタジアムとして忘れてはならないスタジアムがありました。アトレティコ・マドリードの昔のスタジアム、ビセンテ・カルデロンです。

 1966年にマドリード市内を流れるマンサナーレス川に面したガス工場跡地に建設されたスタジアムです。

 特徴はメインスタンドの下を川沿いの自動車専用道路「M30」が走っていたこと。このユニークな設計をしたのは同クラブの元GK(兼FW)で、その後監督を務め、クラブの会長やスペイン・サッカー協会会長なども歴任したハビエル・バローソでした。実はバローソは有名な建築家だったのです。

 ご承知の通り、このスタジアムは2017年に取り壊されて、アトレティコはエスタディオ・メトロポリターノに移りましたが、「川沿いのスタジアム」として真っ先に思い浮かんだのはビセンテ・カルデロンでした。高速道路上のメインスタンドはかなりの急傾斜で、もちろん専用スタジアムでしたから、とても試合が見やすかったのを覚えています。

■クリアボールが「海」に飛び込む?

 海沿いにもスタジアムはありますね。

 アメリカのメジャーリーグ・ベースボール(MLB)のサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地オラクル・パーク右翼後方は、サンフランシスコ湾の入り江になっているため、右翼への場外ホームランが飛び出すとボールは海に落ちるので「スプラッシュ・ヒット」と呼ばれており、カヌーでこのボールを待ち構えている人たちもいます。

 日本でボールが海に飛び込む可能性が最も大きいのはJ3リーグ、ギラヴァンツ北九州のホーム、ミクニワールドスタジアム北九州でしょう。

 バックスタンド後方はすぐに海に面しており、しかも、バックスタンドが小さいので、タッチラインに大きく蹴り出したりすればボールは海に落ちることになります。デットマール・クラマー・コーチだったら、「本州までクリアしろ」と言ったかもしれません(年配の人にしか分からないギャグですね)。

 いまどき、そんなクリアをするDFはそれほど多くないと思われますが、このスタジアムはラグビーにも使われるので、ラグビーでタッチキックを蹴るときは気を付けないといけないでしょう。

日本代表も戦った「中州」の決戦場

 そんなことを考えているうちに、川の中にもスタジアムがあることに気が付きました。

「川の中」と言っても、別に水中で試合をするわけではありません(遊水地の中に建設された「日産スタジアム」は洪水時には地下駐車場が水浸しになりますが……)。

 つまり、川の中の島(中州)に造られたスタジアムのことです。

 日本人にとってなじみの深いのがフランス・トゥールーズにあるスタジアム・ド・トゥールーズでしょう。

 トゥールーズ市内中心部を流れるガロンヌ川に浮かぶラミエ島に、1937年に建設されたスタジアム。リーグアン、トゥールーズFCの本拠地であり、1938年と98年のワールドカップや2007年ラグビー・ワールドカップでも使用されました。

 そう、1998年のフランス大会で日本代表がアルゼンチンと対戦したスタジアムです(当時の名称はスタジアム・ミュニシパル)。

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