<明治安田J2:山形2-1藤枝>◇29日◇最終節◇NDスタプレーオフ(PO)圏内6位で最終戦を迎えたJ2ベガルタ仙台が、…

<明治安田J2:山形2-1藤枝>◇29日◇最終節◇NDスタ

プレーオフ(PO)圏内6位で最終戦を迎えたJ2ベガルタ仙台が、いわきFCに0-1で敗れ、7位に転落し2年連続のPO進出を逃した。

森山佳郎監督(58)は悔しさをにじませながらも、サポーターへの感謝を言葉にした。勝利したいわきは9位で、藤枝MYFCに勝ったモンテディオ山形は10位でシーズンを終えた。

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後半25分、山形が交代カードを切った。それは、MF南秀仁(しゅうと、32)が約15年のプロ生活に幕を下ろした瞬間だった。「サッカー人生、本当に楽しかった」。1万7261人が詰めかけたスタジアムに、南の応援歌が響き渡った。引き留めるかのような大声援に応えながら、南は静かにピッチをあとにした。

昨年までは主将としてチームをけん引。だが、今季は出番に恵まれなかった。この日は前節に続いてのスタメン出場。今季から主将を務めるMF土居聖真(33)の希望もあり、南がキャプテンマークを巻いて出場した。「全力で楽しもう」。前線へのいいパスも複数あり、攻撃を展開した。交代を告げられたあとは左腕のキャプテンマークを外し、土居へと渡した。そして、仲間と抱き合った。「さみしさもあって」と、思わず涙があふれた。

1点リードで交代した直後、同点に追いつかれたが、サポーターも含めたスタジアムは「南のために」と結束していた。迎えた同38分、土居から今日だけは絶対に譲れない“魂のゴール″が飛び出して勝ち越し。「ここにいるみなさんの思いが乗ったゴールでした」と感謝。そして「今日の決勝点は(南)秀仁に決めさせてもらったようなものでした。きつくても『秀仁のために止まっちゃいけない』と思えました。秀仁のおかげです」と言葉をかみしめた。

南は山形で9シーズンを過ごし、何度もチームを勝利に導いてきた。「現役最後を勝ちで終わることができて、これ以上ないです」。全員でつかみとった勝利での花道。愛された男にふさわしい幕切れだった。【木村有優】