本人も自信を口にする会心の走りを見せた角田(C)Getty Images好対照だった角田とフェルスタッペン 崖っぷち、も…

本人も自信を口にする会心の走りを見せた角田(C)Getty Images
好対照だった角田とフェルスタッペン
崖っぷち、もはや何かしらの答えが出ているかもしれない。そうした状況でも角田裕毅(レッドブル)は“最善”を尽くそうと奔走した。
現地時間11月28日、ドーハ郊外のルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたカタールGPのスプリント予選で、角田は3回目(SQ3)へ進出して5番グリッドを獲得。1分20秒519を叩き出した最終アタックで、0秒009差の6番手だった“エース”マックス・フェルスタッペンを上回る好走を見せた。
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前日に英衛星放送『Sky Sports』をはじめとする複数メディアに対して、「(レッド部陣営と)特に話し合いはしていないし、何かを知っていたとしても話せることもない。でも、正直に言えば、メディアや多く人と同じ理解だ」と公言。注目され続けている来季去就について明言こそ避けたが、どこか諦めたかのような発言をしていた角田。そうした中でドーハを快走しての快挙は、インパクト十分だった。
最終的にフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とジョージ・ラッセル(メルセデス)に抜かれたものの、角田は一時的に3番手にまで食い込んだ。ちなみにフェルスタッペンがチームメイトに上回られるのは、昨年9月のアゼルバイジャンGP以来の出来事だった。
絶対的エースを凌駕した角田は、F1公式サイトのフラッシュインタビューで「ここまではクリーンな週末って感じだね。すごくスムーズに来てると思う。フリー走行から大きなトラブルもないし、より自信を持って臨むことができた。ここまで順調に進んでいるのは良いことだね」とコメント。会心の走りに手ごたえを口にした。
「残り3セッションは、特にチームとマックスにとって重要だ。ガレージの両チームとも非常に集中しているし、全員が全力を尽くしている。今のマシン(の状態)には満足しているけど、明日に向けてコンマ数秒のタイムを縮めるためにまだやるべき作業はある。とにかくワクワクしているよ」
時折、笑みを浮かべながら語った角田。その表情は、「今日は僕らにとって良い日ではなかったね。いくつか調整を試みたが、まったく効果がないし、速く走れるとは思えない。とても難しい状況だった」と振り返ったフェルスタッペンとは好対照なものだった。
最終決定を前に高まる声価
近走での角田は苦戦を“強いられてきた”。
というのも、公式予選、そして決勝でクルーが初歩的なミスを連発していたからだ。前戦のラスベガスGPでは予選で陣営スタッツがタイヤの空気圧調整を誤るという初歩的な失態を犯し、「基本中の基本のことで全く的外れだった。ちっぽけなことを言っているわけでもないよ。あれで戦えるチャンスが大幅に減った」と嘆くしかない事態となっていた。
自分がコントロールできる範囲外で起き続けたトラブルに結果を左右され、大きな後退を余儀なくされた。ゆえに「とにかくワクワクしている」との言葉には、理想的な滑り出しを切れた現状に対する晴れやかな想いが滲み出たと言えよう。
センセーショナルな走りを見せた角田。今季限りで満了を迎える契約を巡っては、最終的決定時期が、今回のカタールGP直後へと変更となった。すでに首脳陣の間では、「既定路線」と伝えられる新人アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)の昇格など、何らかの「答え」が下されているのは想像に難くない。しかし、ドーハでの継続的なパフォーマンス次第では、何らかの影響が出る可能性も捨てきれない。
実際、首脳陣から奔走する角田を評価する声も上がっている。レッドブルのチームアドバイザーを務める“重鎮”ヘルムート・マルコ氏は、米モータースポーツ専門メディア『専門メディア『Motorsport.com』において「カタールで急に速くなったというわけではないだろう。ラスベガスでもユウキはマックスに迫る競争力があった」と力説。そして、こう続けている。
「カタールでは我々のクルーがタイヤの空気圧を誤って設定したために、レースのウイークエンドを台無しにしてしまったんだ。ただ、そうしたトラブルの最中でも、ユウキはあらゆるチャレンジを積極的にし、技術面を含めてパフォーマンスレベルが着実に上がっていた。最近の走りはマシンに慣れつつある証拠だ」
また、マルコ氏は、フェルスタッペンが今予選中にフロントグリップの改良を求めたのに対し、角田が“逆”のリアエンドの改良を求めたと証言。「詳細な理由は探る必要があるが、ユウキが求めていたアプローチの方が正しかったし、効果的だった」とコメントした。
時に「ツノダはあまりにもポイントを取れなさすぎる」とシビアな意見を寄せ、角田自身も「何が悪かったかをズバッと言ってくる」と表現する冷徹さを持つマルコ氏。そんな重鎮からの賛辞は、あくまで現段階においてはポジティブに捉えていいだろう。
追い詰められながらももがく角田は、来季去就の最終的決定を前にどこまで爪痕を残せるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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