WRC第14戦サウジアラビア(グラベル)の競技3日目となる11月28日、ラリー最長の134.3kmの戦いを迎え、前日まで…

WRC第14戦サウジアラビア(グラベル)の競技3日目となる11月28日、ラリー最長の134.3kmの戦いを迎え、前日まで総合2番手につけていたサミ・パヤリがパンクで大きくタイムロスをしてしまい、7番手まで総合順位を落としてしまう一方で、タイヤのダメージを労って走行した勝田貴元が3番手まで順位を上げた。

(以下、発表リリース)


[以下リリースをコピペ]
WRC 第14戦ラリー・サウジアラビア デイ3
荒れた路面のステージで大きく順位が変動
勝田が総合3位、ロバンペラが総合5位に順位を上げる

11月28日(金)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第14戦「ラリー・サウジアラビア」の競技3日目デイ3が、ジッダのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(GR YARIS Rally1 18号車)が総合3位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合5位に、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合6位にポジションアップ。また、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合7位に後退し、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) は総合8位に順位を上げました。

ラリー・サウジアラビアのデイ3は、ジッダのサービスパークの東側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行、その合計距離は134.34kmと4日間で最長の一日でした。デイ3も引き続き天気は良く、日中の最高気温は33度前後まで上昇。路面は一日を通してドライコンディションが保たれました。デイ3のステージは非常に荒れた路面が多く、とくに再走ステージでは地面に埋まっていた鋭い石が掻き出され、クルマとタイヤにとって非常に厳しいコンディションになりました。

デイ2で首位と6秒差の総合2位につけたパヤリは、砂漠地帯を走行するデイ3オープニングのSS9で2番手タイムを記録。SS10では3番手タイムでしたが、順位をひとつ落とし総合3位に後退しました。続くSS11でもパヤリは3番手タイムを記録し、首位アドリアン・フォルモー(ヒョンデ)と4.5秒差の総合3位という好位置につけて午前中のループを終えました。





ところが、ジッダでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ループの2本目、SS13でパヤリはタイヤにダメージを負い、交換作業により2分程度をロス。その結果、総合8位に後退しました。このSS13では、午前中のSS12でオーバーシュートを喫し、タイヤにもダメージを負っていた勝田が3番手タイムを記録し、総合4位にポジションアップ。総合7位につけていたオジエは総合6位に、総合8位につけていたロバンペラは総合7位に順位を上げました。また、午前中最後のSS11でタイヤにダメージを負い、交換作業により1分40秒程度のタイムを失い総合10位に後退していたエバンスも、総合9位に順位を回復しました。

そして、デイ3最終のSS14ではロバンペラがベストタイムを記録。3番手タイムを刻み総合4位の座を守った勝田と31.1秒差の総合5位に順位を上げました。その後、トップに立っていたドライバーがタイムコントロール早着により1分のペナルティタイムを課せられたことにより、勝田は総合3位にポジションを上げました。一方、総合6位のオジエはSS14でタイヤの空気圧が低下する問題に遭遇。その結果ロバンペラには抜かれましたが、タイムロスを最小限に抑え0.2秒差の総合6位と順位を堅持。パヤリはオジエと22秒差の総合7位に、エバンスはパヤリと2分17.8秒差の総合8位に順位を上げてデイ3を終えました。





デイ3終了時点の位置関係によるポイントでは、ドライバー選手権2番手につけるオジエが、選手権リーダーのエバンスを1ポイントリードしている状況です。しかし最終日も厳しいステージが設定されており、最大10ポイントのボーナスポイントを獲得することも可能なため、勝負は最後の最後まで続くことが予想されます。

なお、GR Yaris Rally2で出場の、2025年WRC2王者オリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラストップ、総合でも10位につけています。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
ドラマチックな一日でした。特に最後のステージは多くの出来事が起こりすぎて、年老いた私の心臓には少々負担が大きすぎました。ともあれ、少なくとも私たちのクルマは全て無事です。サミは良い走りを見せていただけに、タイヤ交換によって首位争いから脱落したのは残念です。しかし、その代わりに貴元が表彰台圏内に浮上したのは喜ばしいことです。タイトルを争う我々の3人のドライバーは昨日大きく遅れを取り、今日も路面のクリーニングの影響で挽回するチャンスはありませんでした。それでも彼らの間では接戦が続いているので、明日誰が頂点に立つのか、きっとエキサイティングな一日になるでしょう。





エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
今朝の出来事は、理想的とは言えないものでした。ループの 3 本目のステージのかなり早い段階でタイヤの空気圧のアラームが鳴り、まだ長い距離が残っていたため、そのまま走り続けるよりも、停止してタイヤを交換する決断を下さなければなりませんでした。幸いにも、午後には他のドライバーもトラブルに見舞われたため、順位を少し上げることができました。まだ勝負はオープンな状態にあり、明日すべてが決まります。できる限りベストを尽くして戦い、その結果を待つだけなので、ある意味非常にシンプルです。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
長く、トリッキーな一日でした。速く走りながらもトラブルを避けようと努めました。ループの最初の走行時から既にコンディションは非常に厳しく、自分の前に4台しか走っていない状況でも予期せぬ事がいろいろ起こり、多くの浮き石が転がっていました。ループの最後のステージは特に路面が荒れていて、そこで他のドライバーたちがトラブルに見舞われ始めたことにより、自分たちは順位を上げることができました。依然として状況は不利ですが、少なくとも戦いには加わっているので、明日は自分たちにとっての最後の日を楽しみむことに努め、全力で走ります。





セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
厳しい一日でした。エルフィンが午前中最後のステージでストップしたことを知っていたので、そのステージは慎重に走りましたが、チャンピオンシップの状況はほとんど変わりませんでしたし、カッレの前にいる必要がありました。今日の最後のステージはこの週末最も荒れたコンディションになるだろうと予想していたので、慎重なペースを心がけたのですが、終盤タイヤの空気圧が低下してしまいました。それでも、少なくとも運命は依然私たちの手の中にあるので、明日はトラブルを避けつつ、全力で挑むつもりです。





勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
今夜、総合3位に上がることができて良かったです。午後はタイヤに少し問題を抱えましたが、ステージの途中で止まることなく切り抜けられたことが、順位を上げる上で大きな助けになりました。首位との差は42秒と大きく開いていますが、ステージはまだ3本残っています。とくに、このラリーがここまで非常にタフだったことを考えれば、最後まで何が起こるか分かりません。明日はこの調子で走り続け、トラブルを避けつつ、どのような順位でラリーを終えることになるのか様子を見たいと思います。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日もかなりの接戦でした。タイム差が開き始めると思っていたのですが、全員が激しくプッシュした結果、僅差の状態が続きました。クルマとタイヤを傷めるリスクがある場所ではクレバーに走り、他のセクションでは全力で走ったつもりでした。しかし、残念ながらSS13でタイヤを交換するためにストップせざるを得ませんでした。初優勝を目指して真剣に戦っていた最中の出来事でしたが、同様のトラブルは自分たち以外の選手にも起こりました。ペースは良かっただけに非常に残念ですが、もちろん明日の最終日に向けてはポジティブな姿勢で臨む必要があります。

ラリー・サウジアラビア デイ3の結果
1 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) 2h43m20.1s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3.4s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +41.5s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +57.6s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m12.6s
6 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m12.8s
7 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m34.8s
8 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m52.6s
9 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +6m13.4s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m26.7s
(現地時間11月28日19時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

明日のステージ情報
ラリー最終日となる29日(土)のデイ4は、サービスパークの北側エリアで3本のステージを走行。そのうち、全長33.28kmのSS16は今大会のステージとなります。また、SS15の再走ステージとなる最終のSS17は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。3本のステージの合計距離は65.86km。リエゾンも含めた総走行距離は225.90kmが予定されています。