WRC最終戦ラリーサウジアラビア(グラベル)は11月27日、本格的な競技走行となるSS2〜SS8の走行が行われ、トヨタは…
WRC最終戦ラリーサウジアラビア(グラベル)は11月27日、本格的な競技走行となるSS2〜SS8の走行が行われ、トヨタは前戦ジャパンで自身初のポディウムフィニッシュを飾っているサミ・パヤリが2番手につけた。勝田貴元は6番手、タイトルを争う3人は、セバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンスが7番手、8番手、9番手で続いている。
(以下、チームリリース)
WRC 第14戦ラリー・サウジアラビア デイ2
TGR-WRT2の新鋭パヤリがトップ争いに加わり
首位と6秒差の総合2位につける
11月27日(木)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第14戦「ラリー・サウジアラビア」の競技2日目デイ2が、ジッダのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のTGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(GR YARIS Rally1 5号車)が総合2位に、TGR-WRTの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合6位に、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合7位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合8位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) が総合9位につけました。

ラリー・サウジアラビアのデイ2は、ジッダのサービスパークの北側エリアで3本のグラベル(未舗装路)ステージを各2回走り、一日の終わりには、デイ1でSSS1として行なわれたターマック(舗装路)ステージを、SSS8として再走。7本のステージの合計距離は106.84kmでした。デイ2も一日を通して天気はとても良く、日中の最高気温は32度前後と暑い一日に。路面は終日ドライコンディションが保たれました。
デイ1のSS1で2番手タイムを記録して総合2位につけたオジエは、デイ2オープニングのSS2で2番手タイムのパヤリに次ぐ3番手タイムを記録。オジエは総合2位を守り、パヤリは総合3位に順位を上げました。続く、溶岩地帯の中の道を走行するSS3「ムーン・ステージ」は路面にルースグラベルが多く、出走順が早いドライバーたちにとって非常に不利なコンディションに。そのため出走順2番手のオジエは10番手タイムで総合7位に後退し、出走順8番手のパヤリは4番手タイムで総合3位の座を守りました。午前中最後のSS4は、険しい山岳地帯の非常にラフな道を走行。このステージではパヤリがベストタイムを記録し、首位マールティンシュ・セスクス(Mスポーツ・フォード)との差を1.7秒に縮めて総合3位をキープ。勝田が総合6位、オジエが総合7位、ジャンクションをオーバーシュートしてタイムを失ったエバンスが総合8位につけました。また、ロバンペラはSS4でタイヤにダメージを負って40秒程度タイムを失い、総合10位に後退しました。

ジッダでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージでは、SS5でパヤリが2番手タイムを記録し、総合2位にポジションアップ。さらに、SS6でベストタイムを刻むと首位に立ちました。しかし、SS7ではタイヤにダメージを負い10秒程度を失ったことにより、フォルモーに首位を明け渡し5.3秒差の総合2位に後退。デイ2最終のSSS8では9番手タイムとなり、フォルモーと6秒差の総合2位で一日を締めくくりました。
デイ1で総合9位につけた勝田は、SS3で総合5位にポジションアップ。SS4では総合6位に後退しましたが、午後2本目のSS6でタイヤにダメージを負いながらも2番手タイムを記録。しかし順位は変わらず、最終的には総合5位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と8秒差の総合6位でデイ2を終えました。その勝田と21.3秒差の総合7位は、デイ2最終のSS8でセスクスとベストタイムを分け合ったオジエ。オジエと37秒差の総合8位はロバンペラ、ロバンペラと4.1秒差の総合9位はエバンスと、ドライバーズタイトルを争うTGR-WRTの3選手が並びました。デイ2での彼らはいずれも早い出走順により路面のルースグラベルを掃き飛ばしながらの走行を強いられ、一日を通して少なくないハンデを負っての戦いとなりました。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
ステージごとに状況が大きく変化する、とても見応えのある一日でした。レッキを終えたドライバーたちからは、路面が非常に荒れていると聞いていたので、ある意味、大きなドラマが起きなかったのは意外とも言えます。選手権を争う我々のドライバーたちは出走順トップ3でステージに臨み、路面のクリーニングにかなり苦労していました。彼らは世界最高のドライバーですので、後続の選手たちがフォローできる良いラインを提供する結果となりました。それでも彼らの順位は接近していますし、明日はスタート順が少し変わるので、興味深い展開になるでしょう。一方、サミは非常に調子が良く、首位に迫っています。明日はより長く厳しい一日となるため、さらなるドラマが生まれる可能性は十分にあると思います。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
タフな一日でした。午前中の最初のステージでは慎重になりすぎてしまい、多くのタイムを失ったので少しがっかりしました。その後の2本のステージでは、路面のクリーニング効果がより顕著になりましたが、すぐ後ろを走行したセブと比べると、私のペースはそれほど悪くなかったように思います。再走ステージでは、クリーニング効果がより不利に働いた場所もあったと思います。路面コンディションが急速に変化していく中で、自分がどれくらい良いドライビングをできていたのか判断するのは簡単ではありません。しかし、私たちの戦いはまだ続いていますし、明日はより長いステージのループが待っています。トラブルを避け続けることは非常に難しいのではないかと思いますが、私はただ自分のドライビングに集中し続けるつもりです。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
とても厳しい一日でしたが、それは誰にとっても同じことです。残念ながら、午前中最後のステージでタイヤにダメージを負ってしまいました。ステージの途中でタイヤ交換を行なわないという判断は正しかったと思いますが、それでもかなりのタイムを失い、明日の出走順も早まってしまったのは良いことではありません。今日見られたように、路面のクリーニング効果は予想以上に大きいので、明日も厳しい一日になるでしょう。とはいえまだ長い道のりが残っているので、自分たちができることをするのみです。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
予想通り厳しい一日でした。特にループの2本目と3本目のステージの非常にツイスティな区間では、かなりクリーニング効果が大きかったように思います。しかしループの最初のステージはスムースだったので、そこでプッシュしてタイムを稼ごうと試みました。総合順位には表れていないかもしれませんが、今日は自分でも本当に良い仕事をしたと思います。我々の出走順で、これ以上のことはできなかったと思います。メインターゲットはエルフィンとカッレの前にいることですが、差はまだ小さいので明日も頑張って走り、できればいくつか順位を上げたいと思っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
予想通り、今日のフルデイ初日はタフでした。かなり暑かったのですが、快適に走れるようにチームが本当に良いサポートをしてくれました。ループの最初の砂漠のステージは超高速で、大きなジャンプもいくつかあったので楽しむことができました。しかし、それ以外のステージではミスをしないように走り、特に午後はパンクのリスクが高かったので回避することに集中しました。総合6位よりも上の順位を目指したいと思っていますが、まだ長い道のりが残っているので、この調子で走り続け明日の展開を見守りたいと思います。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)

非常にポジティブな一日でした。2本のステージでベストタイムを記録し、コンスタントにトップタイムに迫り、ラリーを一時リードすることもできたので本当に良かったです。最後のグラベルステージでタイヤに問題が起こってしまったのは残念でした。そこで少しタイムを失いましたが、それでもトップとの差はわずか数秒です。この状況をコントロールするのは容易ではありませんが、今日は安全であると感じた区間ではプッシュし、トリッキーな場所では賢く走ろうと心がけました。明日はさらに長い一日ですが、この調子で戦い続けることができたらハッピーです。
ラリー・サウジアラビア デイ2の結果
1 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) 1h18m45.3s
2 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +6.0s
3 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +6.9s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +13.7s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +14.9s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +22.9s
7 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +44.2s
8 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m21.2s
9 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m25.3s
10 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +2m10.9s
(現地時間11月27日21時20分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技3日目となる28日(金)のデイ3は、サービスパークの東側エリアが戦いの舞台となり、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走ります。そのうちSS10/13は全長30.58kmと、今大会2番目に長いステージ。SS11/14は当初の予定よりもフィニッシュ地点がかなり手前に移され、全長24.90kmに短縮されました。それでも6本のステージの合計距離は134.34kmと長く、4日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は422.98kmとなります。
