失望のラスベガスから、地球の裏側へ。2025年シーズンはカタールのドーハで、フィナーレに向けて最後の中東連戦を迎える。…
失望のラスベガスから、地球の裏側へ。2025年シーズンはカタールのドーハで、フィナーレに向けて最後の中東連戦を迎える。
角田裕毅(レッドブル)にとっては、この第23戦カタールGPが来年の命運を決することになる。

角田裕毅にとって大事なカタールGPが始まった
photo by BOOZY
当初は10月末、第20戦メキシコシティGPまでに決するとされていたレッドブルのセカンドシートだが、角田を残留させるとも降格させるとも決しがたい状況だけに、1カ月の猶予が与えられた。逆に言えば、クビと断じるだけの理由もなく、残留させるための理由を待っている状況だった。
しかしこの1カ月間、ブラジル・サンパウロでもアメリカ・ラスベガスでも、チーム首脳陣を納得させるだけの結果は出せなかった。光る速さは随所で見せてきたものの、結果にはつながっていない。角田自身のミスもあれば、チームのミスもあった。
「こういう(自分が結果を示さなければならないという)状況はずっとわかっていたことですので、今になってフラストレーションを感じることはありません。特にここ数戦は上り調子ですし、ラスベガスでは予選で自分にどうにもできないことでチャンスが逃げてしまうまで、今まででベストな週末でした。自分のやっていることをやり続けるしかなく、あとは結果にまとめ上げるだけです」
過去2年、このカタールではレッドブルが速さを見せている。昨年あれだけ苦戦したシーズン後半戦のなかでも、このカタールでは予選でマックス・フェルスタッペンがトップタイムを記録し、ペナルティで2番グリッドからのスタートとなっても勝利をつかみ取った。
フラットかつハイグリップなルサイル・インターナショナル・サーキットの路面は、RB21のメカニカル面の難しさを隠し、優れた高速空力性能を引き出す。
そして昨年の摩耗量から設けられたタイヤ周回数制限により、実質的に2ストップ作戦が義務づけられ、決勝はタイヤマネジメントなしのフルプッシュのレースになる可能性が高い。これもレッドブルにとっては有利な条件だ。
「去年レッドブルはここでかなりよかったですので、今年もマシンパッケージ的にもセットアップ的にもいいはず。スプリント週末なので即座に反応していけるようにすることが重要です。いいパフォーマンスを発揮できるとは思います」
【角田の未来がかかった週末】
角田自身が好結果を残すこともさることながら、チームにとってはもっと価値のあることが目の前にある。
チームメイトのフェルスタッペンが、マクラーレンのふたりと24点差でドライバーズタイトル争いをしている。フェルスタッペンが勝つだけでなく、角田がマクラーレンのふたりを抑えて彼らのポイントを奪うことができれば、これ以上にない絶好のアシストとなる。
今の角田に求められているのは、そのアシストができる場所にいることだ。
「マックスがタイトル争いをしているので、僕もその上位争いに加わってマックスをアシストできるようにしなければなりません。まずは予選がどうなるかですね。
マックスのうしろにいれば当然そういったことをすることになるでしょうし、そうはなってほしくはありませんけど、マックスからあまりに離れているようだとアシストのしようがありません。僕が彼のすぐうしろにいて、マクラーレン勢をさらにうしろに抑え込めるのが理想ですからね。自分がやるべきことはわかっていますし、それが目指すべきことだと思います」
スプリント週末ゆえにフリー走行は1回しかないが、スプリント予選とスプリントレースをうまく使えば、土曜夜の予選でしっかりと上位に食い込める。そこが今週末の最大のキーポイントになるはずだ。
「決定はまだ下されていませんし、どうなるかは僕次第です。マックスをしっかりとサポートすることができれば、それは僕にとってもポジティブな結果につながる。そこを目指して全力を尽くし、あとはチームの決定を待つだけです」
何も特別なことは必要ない。
角田自身がミスなく自分の仕事をこなし、チームもミスなく自分たちの仕事をこなす。その結果としてどこにいられるのかは、もうとっくに見えている。それを結果につなげるだけだ。
「今週はできればクリーンな週末が送れればと思います。過去4〜5戦はずっとそれができないでいますから」
ただただ、真摯にレースと向き合い、一片の悔いなく自分の実力をすべて引き出してもらいたい。
角田の来季、いや角田の未来がかかったレース週末が始まる。