エンゼルスはレンドンとの契約をバイアウトすることで、補強費に余裕を生もうとしているのか(C)Getty Images稼働…

エンゼルスはレンドンとの契約をバイアウトすることで、補強費に余裕を生もうとしているのか(C)Getty Images
稼働率20%の元打点王
元打点王の去就が球界を賑わせた。現地時間11月26日、米スポーツ専門局『ESPN』は、エンゼルスのアンソニー・レンドンが球団とのバイアウト協議を進めていると報じた。
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ここ数年は野球に対するモチベーションが低下していたのかもしれない。現在35歳のレンドンはナショナルズ時代に球界屈指の三塁手として活躍。2019年には打率.319、44二塁打、126打点をマーク、ナ・リーグ打点王にも輝いた。
チームのワールドシリーズ制覇を置き土産に、19年オフにFAとなったレンドンは、ンゼルスと7年総額2億4500万ドル(約383億円)の大型契約を締結。マイク・トラウト、大谷翔平と並ぶ強力打線の確立が期待されたが、1年目から毎年のように故障欠場を繰り返し、稼働率は極端に低下。契約後6年間でチームが810試合を消化した間の出場パーセンテージはなんと20%となっていた。
25年シーズンも股関節手術の影響で全休していたレンドン。時にメディアの前で「あまり野球が好きじゃない」と漏らし、「自分にとって野球は最優先事項ではない。これはあくまで仕事。生計を立てるためにやっている。もし野球を優先しなければならないなら辞める」とも断言していた35歳だけに、契約満了まで1年となった段階でのバイアウト協議は必然だったのかもしれない。
もっとも、エンゼルス側にとってのメリットは多分にある。依然として3800万ドル(約59億円)の契約を残すが、球界内で「史上最悪」と揶揄される契約を買い取れれば、チームの総年俸に余裕も生まれる。『ESPN』によれば、球団側は金額の一部を後払いにして、今オフの補強に向けた資金にあてこもうと模索しているという。
来季から球団OBでもあったカート・スズキ新監督を迎えて再建を目指すエンゼルス。レンドンの退団によって上がり目が生まれる期待は高まっている。米専門サイト『Halo Hangout』は「過去5年間、エンゼルスはレンドンの後継者として、今と将来を任せられるフルタイムの三塁手を必死に探してきた」と指摘。その上で今オフにヤクルトからポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を目指している村上宗隆が「まさに求めていた選手だ」と強調した。
球団にとっての「賢明な道は…」
無論、“競争”は必至だ。すでに30球団との契約可能選手として公示されている村上を巡っては、ヤンキース、メッツ、ドジャース、レッドソックスなどの獲得が囁かれ、実際に水面下での交渉はし烈を極めると見られている。
近年は下位に沈んでいるエンゼルスが、強豪球団との争奪戦を制するためには、相当なオファーをかける必要がある。しかし、レンドンのバイアウト契約が成立すれば、「FA市場に回せる資金がほぼ倍増する可能性がある」と論じる『Halo Hangout』は、こう続けている。
「おそらく球団にとって最も賢明な道は我慢。レンドンとの契約が終わり、多くの高年俸選手がFAとなる来オフまで耐えることだ。しかし、仮にレンドンのバイアウトによって3000万ドル以上の資金を追加できるなら、エンゼルスはスーパースター獲得の有力候補として注目される数少ないチームの一つとなる。今年の移籍市場には、若くて、高額な選手が数多く存在する」
「ただ、近年のエンゼルスは、将来有望な左打ちの強打者を切実に必要としている。そうなると、ムラカミの将来性やポテンシャルは球団に合致する。レンドンの後継者としてはムラカミこそが理想的と言える」
もはや“不良債権”と化していたレンドンとの関係性を解消し、チーム予算を清算しようと動くエンゼルス。大物獲得を画策するチームの行く末に注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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