V・ファーレン長崎は23日にピーススタジアム(ピースタ、長崎市幸町)であった明治安田J2リーグ37節、水戸ホーリーホッ…

 V・ファーレン長崎は23日にピーススタジアム(ピースタ、長崎市幸町)であった明治安田J2リーグ37節、水戸ホーリーホックに2―1で競り勝ち、残り1試合で首位に返り咲いた。今季のホーム最終戦で、ピースタ開業以来最多の2万4人が集まった。ピッチを取り囲むようにスタンドを埋めた長崎サポーターの大歓声が、8年ぶりのJ1昇格とリーグ優勝をめざすクラブを後押しした。

 この日の試合開始直前には、四方のスタンドに青とオレンジをベースにしたコレオグラフィー(人文字)が浮かび上がった。クラブの呼びかけに応じたボランティアらが、席ごとに定められた色の厚紙を事前にひとつひとつ置いておいた。観客がタイミングを合わせて掲げると、日差しでキラキラ輝いて見えた。

 水戸にとっては、勝てば初優勝と初のJ1昇格が決まる試合。駆けつけた水戸サポーターも声を張り上げ、チャント(応援歌)を響かせた。

 長崎は前半6分、ゴール前の混戦からDF新井一耀がボレーシュートを決めて先取点。同34分に追いつかれたが、後半20分にDF米田隼也がゴール前に果敢に攻め込んだことが相手のファウルを誘ってPKを獲得し、MFマテウスが落ち着いて蹴り込み決勝点を挙げた。

 試合後のホーム最終戦セレモニーで、クラブの田河毅宜社長は「きょうの試合で延べ来場者数30万人を達成しました」と報告した。

 今季はホーム19試合で計30万1665人、1試合平均では1万5877人が来場した。前本拠地、トランスコスモススタジアム長崎(諫早市)のころに比べて2倍近くに増えたことから、慣れない人にもとっつきやすい応援方法を模索し続け、試合を追うごとに会場の一体感は高まった。

 今季ホームでの敗戦は2度のみ。高木琢也監督に交代した後半戦は一度も負けなかった。

 J1クラブから加入し、プレーでも精神面でもチームの支柱になったMF山口蛍は、「このスタジアムで1年間プレーして、長崎に来るという挑戦をして、今すごくよかったなと思っている」とあいさつした。

 残り1試合になっても昇格クラブが決まっていない大混戦。勝ち点は長崎が69、2位水戸が67、3位ジェフユナイテッド千葉が66。長崎は29日、徳島県鳴門市である徳島ヴォルティス戦が引き分け以上なら昇格を決めることができ、勝てば優勝も自力で決まる。負けた場合、昇格や優勝の行方は水戸と千葉の結果次第だ。

 高木監督はセレモニーで、「しっかり勝利し、(優勝の証しの)シャーレを持ち帰ることをみなさんに約束したい」と力を込めて宣言した。

 勝利に沸くスタンドのサポーターから、記者は手製の大きな「J1ゆき」切符を託された。最終戦にどうしても行けないため、思いを徳島に運んでほしいという。J1に初参戦した2018年が最下位に沈んで1年で降格したことを踏まえ、「片道」とも記されていた。長崎の今季の挑戦の結末を現地で見届け、歓喜のなかで入鋏(にゅうきょう)できればと思っている。(寿柳聡)