11月26日〜29日にサウジアラビア西部のジェッダを拠点として開催される今季のWRC最終戦ラリーサウジアラビア(グラベル…
11月26日〜29日にサウジアラビア西部のジェッダを拠点として開催される今季のWRC最終戦ラリーサウジアラビア(グラベル)に、トヨタはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2のサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンという、合計5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリーする。現在、ドライバーズ選手権では依然としてエバンス、オジエ、ロバンペラがタイトルの可能性を残しており、このサウジアラビアで最終決戦を迎える。
なお、サウジアラビアはこの時期でも最高気温が30度を越える日があることから、GRヤリス・ラリー1は、サマーバージョンのシルバーのカラーリング仕様となる。
また、トヨタGRヤリス・ラリー2は9台がエントリー。来季からトヨタでラリー1をドライブすることが発表されたオリバー・ソルベルグはすでにWRC2タイトルを決めており、このサウジアラビアには選手権外でエントリー。WRC2部門には、WRC2チャレンジャータイトルを狙うヤン・ソランス、前戦ジャパンでWRC2初優勝をマークしたアレハンドロ・カションがノミネートしている。さらに、かつてトヨタでWRCに参戦した経験を持つアブドゥラ・バカシャブを父に持つ地元サウジアラビアのハザム・バカシャブがトヨタGRヤリス・ラリー2で登場する。
(以下、チームリリース)
WRC 第14戦 ラリー・サウジアラビア プレビュー
WRC初開催となる2025年最終戦ラリー・サウジアラビアで
エバンス、オジエ、ロバンペラが王座獲得の最後の戦いに挑む
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、11月26日(水)から29日(土)にかけて、中東のサウジアラビアで初開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第14戦「ラリー・サウジアラビア」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。ドライバーズおよびコ・ドライバーズタイトルの決定戦となるファイナルラウンドで、今シーズン13回目の優勝を目指します。
前戦のラリージャパンではオジエが優勝。エバンスが総合2位で、パヤリが総合3位でフィニッシュし、TGR-WRTはホームイベントで表彰台を独占しました。その結果、ドライバー選手権で首位を守ったエバンスと2位オジエの差は3ポイントに縮まり、選手権3位のロバンペラを含むTGR-WRTの3名のドライバーがタイトル獲得の権利を持って最終戦ラリー・サウジアラビアに臨みます。今シーズンのWRCは開催イベントが昨年よりも1戦増え、新たに3つのイベントがシリーズに加わりましたが、ラリー・サウジアラビアもそのひとつです。サウジアラビアでのWRC開催は今回が初となるため、TGR-WRTの5人のドライバーにとっては新たなるチャレンジとなります。
今シーズン全てのラリーで総合6位以内に入り、2回の優勝を含む8回の表彰台を獲得してきた選手権首位のエバンスは、ラリージャパンまでに4戦連続で総合2位フィニッシュを果たすなど、非常に安定したシーズンを送っています。そのエバンスを3ポイント差で追うオジエは、今シーズンもパートタイムでの参戦ながら出場した10戦のうち9戦で表彰台に立ち、そのうち6戦で優勝するなど、ここまで高い勝率を誇っています。そして今年、通算9回目のドライバーズタイトルを獲得した場合、WRCでの王座獲得回数はセバスチャン・ローブと並び歴代トップとなります。また、コ・ドライバーのランデにとっては初の戴冠となります。
ラリージャパンで総合6位となったロバンペラにも、タイトル獲得の可能性は残されています。選手権3位のロバンペラとエバンスの差は24ポイントとギャップは拡がりましたが、ロバンペラは今季4勝目を獲得することでキャリア3度目のタイトル獲得を目指します。来シーズンはサーキットレースに転向し、全日本スーパーフォーミュラ選手権にも出場する予定のロバンペラにとっては、WRCから良い形で卒業するためにも非常に大切な一戦となります。また、来シーズンもTGR-WRTのドライバーとしてWRCに挑むことが決まった勝田と、ラリージャパンでトップカテゴリー初表彰台を獲得したパヤリも、シーズンベストの結果を得るべくサウジアラビアに挑みます。なお、TGR-WRTは既に第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーで5年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを決めており、ここまで13戦で12勝を挙げるなどWRCの年間最多優勝回数記録でも歴代トップに立っています。
ラリーのホストタウンとなるサウジアラビア西部の大都市ジッダは、11月の下旬でも最高気温が30度を越える日があるため、クルマには熱対策が求められます。その一環として、第10戦ラリー・パラグアイでブラック基調のリバリーに戻されていた4台のGR YARIS Rally1は、中盤戦のヨーロッパラウンドでも採用されていた、夏仕様のシルバー基調のリバリーでサウジアラビア戦に臨みます。シルバーカラーのボディは太陽の熱をより多く反射するため、ステージとステージを繋ぐリエゾン(移動区間)でもクルマと選手たちの温度上昇を抑える効果があります。
ラリー・サウジアラビアのステージの路面はその大部分がグラベル(未舗装路)となり、山岳地帯、火山地帯、そして砂漠地帯など様々なエリアの道を走行します。ステージの一部は比較的路面が硬くスムースで、ハイスピードな区間もあると予想されます。一方で、砂漠エリアの道は軟らかく、岩が転がる荒れた路面もあります。そのようなキャラクターはステージによっても変わるため、クルマのセットアップとドライビングの両面で、スピードと信頼性のバランスをとるアプローチが求められます。
ラリーは他のWRCイベントよりも少し早く、26日の水曜日から走行がスタート。まず午前11時過ぎから全長4.29kmのステージでシェイクダウンが行なわれ、その日の夜8時35分からSSS1としてサーキットの近くで5.22kmのターマックステージ「ジャミール・モータースポーツ・スーパースペシャル1」が行われます。グラベル路面での本格的な戦いは27日(木)の朝から始まり、デイ2としてサービスパークの北側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。一日の終わりには、SSS1の再走ステージをSSS8として走ります。競技3日目、28日(金)のデイ3は、サービスパークの東側エリアが舞台に。3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走り、その合計距離は141.72kmと4日間で最長です。ラリー最終日となる29日(土)のデイ4は、サービスパークの北側エリアで3本のステージを走行。そのうち、SS15の再走ステージとなる最終のSS17は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。ラリーは4日間で17本のステージを走行し、その合計距離は319.64km。リエゾンも含めた総走行距離は1221.45kmが予定されています。
なお、今回のラリー・サウジアラビアには、他のRally2車両よりも多い全9台のGR Yaris Rally2が出場。そのうち今シーズンのWRC2王者であり、来季はTGR-WRTのドライバーとしてGR YARIS Rally1のステアリングを握るオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、WRC2ポイント獲得枠外でのエントリーとなります。サポート選手権であるWRC2クラスに関してはローペ・コルホネン(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)、テオ・マルティン・モータースポーツが用意するクルマで出場するヤン・ソランス(スペイン)とアレハンドロ・カチョン(スペイン)とディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ)の3名、カイエタン・カイエタノヴィッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)、ファビオ・シュワルツ(ドイツ/アルミン・シュワルツ・ドライビングエクスペリエンス)、1998年から2002年にかけてトヨタのクルマでWRCに出場したアブドゥラ氏の息子である、地元のハザム・バカシャブ(サウジアラビア)、ミゲル・ディアス-アボイティス(スペイン/カルム・コンペティシオ・チーム)がGR Yaris Rally2のステアリングを握ります。
ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
チャンピオンシップの最終戦として、ラリー・サウジアラビアはとても興味深い戦いになるでしょう。エルフィンとセブのポイント差は非常に接近しており、彼らが激しい戦いを繰り広げることは間違いありません。カッレにもまだチャンスは残されていますし、このような新しいラリーでは何が起きても不思議ではありません。我々は今年、中東ラリー選手権として開催されたイベントから情報を得ていますが、ステージはかなり多様で、ギリシャの道に似た区間もあれば、より開けた砂漠の道を走る区間もあるようです。また、ラリー期間中にはチームとドライバーが適応しなければならない、多くの新たな要素にも遭遇するでしょう。私たちの目標は、全ドライバーが戦うことができる強いクルマを提供し、その上で誰が世界チャンピオンになるか見届けることです。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
サウジアラビアに向けてはまだ何も決まっておらず、チャンピオンシップの行方はまったくの白紙状態で臨むという認識です。セブは手強い相手ですし、非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮しています。また、カッレも現段階ではまだタイトル獲得の可能性を残しています。きっと厳しい戦いになると思いますが、もちろん私たちは全力を尽くします。このイベントがどうなるかは、誰にも予想がつかないはずです。どのドライバーも経験がなく、多くのステージが完全に新しいので、基本的に私たち全員にとって白紙の状態です。現地を訪れたらできる限りベストな戦いをすることに集中し、あとは結果を待つのみです。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちの力だけでチャンピオンを決めることはほぼ不可能な状況ですが、まだ可能性は残っているので、サウジアラビアでの展開を見守りたいと思います。ステージは岩が多く非常にトリッキーに見えるため、どのドライバーにも何かが起こる可能性はかなり高いと思います。自分たちにできるのは良い仕事をし、自分たちにとって良い結果を得ることに集中するだけです。その上で、他のドライバーが良くない結果に終わることを待つしかありません。どのようなことがあっても、このチャプターを良い形で締めくくるために、良い戦いをしたいと思います。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
ラリージャパンではエルフィンと激しく優勝を争いましたが、最終戦を前にチャンピオンシップの差を縮められたのは良かったです。今シーズンは調子が良く、パフォーマンスにも満足していますし、このクルマの運転を本当に楽しんでいます。今回の全く新しいラリーが、チャンピオンシップにとって素晴らしく、そしてエキサイティングなフィナーレになることを願っています。どのような特徴のステージなのか、実際に経験している選手は皆無に等しいので、多くのサプライズが生まれる可能性があります。岩だらけの荒れたセクションもあるようですが、全ドライバーにとって公平なコンディションであること、そしてベストなドライバーが勝利を掴むことを願っています!
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
初めて挑戦するラリー・サウジアラビアが楽しみです。誰も出場したことがないラリーですが、入手した情報によると非常に過酷なステージになりそうです。一部はケニアに似た特徴を持っているようなので、ケニアと同じようなアプローチが必要かもしれません。過去そのようなアプローチは自分に合っていましたが、実際に現地の状況を見て判断する必要があります。来年に繋げられるような、ポジティブなフィーリングで今年を締めくくりたいので、いつも通りベストを尽くします。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
ラリージャパンでは初めて表彰台を獲得することができて、本当に嬉しかったです。Rally1で臨んだ最初のフルシーズンで、自分たちが正しい方向に進んでいることを証明できたと思います。そして今、完全に新しいイベントであるサウジアラビアで一年が終わろうとしています。何が起きるかは誰にもわからないですが、それでも楽しみです。堅実なアプローチが最終的に良い結果につながった、ケニアと似た部分があるかもしれません。しかし、どのようなチャレンジが待ち受けているかは、実際に走るまで分かりません。