不安、そして苛立ち。角田はそうした感情を何とか抑えながら自身の心境を語った(C)Getty Images陣営のミスに「簡…

不安、そして苛立ち。角田はそうした感情を何とか抑えながら自身の心境を語った(C)Getty Images
陣営のミスに「簡単に回避できるトラブルだった」
F1残留を目指す角田裕毅(レッドブル)にとって、思わず嘆きたくなる結果と言えよう。
現地時間11月22日に行われたラスベガスGP決勝で、ピットレーンスタートを選択した角田は14番手と低迷。同僚のマックス・フェルスタッペンが優勝を果たす中、チームの“大バクチ”と言える戦術にも振り回される形で巻き返しは果たせなかった。
【動画】これが見たいんだ! 高速レースで見せたドライビング! 角田裕毅の快走シーン
前日の予選で、クルーがタイヤの空気圧設定を間違えるという“凡ミス”を犯して19番手に沈んでいた角田は、最後まで自陣営に翻弄された。迎えた決勝も1週目を終えた直後に異例のピットストップ。ここでチームはタイヤをミディアムからハードへ変える戦術に出る。
キミ・アントネッリ(メルセデス)も同様の策を講じ、5位まで浮上したため、「失敗」とは言い切れないが、直後のアクシデントが全てを変えた。複数マシンによる接触が発生してバーチャルセーフティカー(VSC)が出動。これによってレッドブルと角田にとってはイチかバチかの策はふいになった。
その後の28週目に2度目のピットストップ。ここで角田はハードからミディアムにタイヤを変更したが、すでにポイント圏を争う集団との差は大きく、巻き返しの余地はなかった。
フリー走行で全体3位に食い込むなど上々の滑り出しを見せていた今GP。それだけに陣営に足を引っ張られる結果には無念さがにじむ。決勝後、F1公式インタビューで角田は「今日は思い通りに事が運ばなかった。予選でタイヤ空気圧の問題が発生していなければ、もっと上位につけていたと思う」と漏らした。
「予選で起きたことは明らかなミスで、自分のコントロールできる外の出来事だった。それまでは良い週末を過ごせていたから、本当に悔しい。あれ(タイヤの空気圧を巡るトラブル)は比較的に簡単に回避できるトラブルだったと思うし、自分が良いレースをする機会を逃してしまった」
無線で漏れた「なんで…」
チームへの苛立ち、そして結果を残せない現状への不安にも聞こえる。そんな複雑な心境をのぞかせる25歳の日本人ドライバーは、「チームとしてこの経験から学ぶ」としながらも、無線で「なんで……」と言葉を振り絞るしかなかった決勝への想いも語る。
「2周目に入ってきたVSCのタイミングがうまくいけば、非常に効果的な戦略をとることができたはず。だけど、結局は不運な形になった。その直前にピットインしてしまったからね。最近は何もかもがうまくいっていないように感じるし、この週末は計画通りに進まなかった。
前の晩にマシンに変更を加えたことも、期待していたほどの影響はしなかった。最近は自分のコントロールできる範疇ではない事が多く起こっている。それでもペースは確実に良くなっているし、マシンに対する感覚も前よりも快適で、自信が持てるようになってきた。今のまま続けていくだけだ」
角田が「自分のコントロールできる範疇ではない事が多く起こっている」としたように、陣営がキッカケとなった“トラブル”が起きたのは、このラスベガスだけではない。
10月26日のメキシコGP決勝では、タイヤ交換で通常より約12秒も余計な時間を要して11位と低迷。完走したマシンの内で最下位の17位に終わった11月6日のサンパウロGPでは、10秒のタイムペナルティ中に迎えたピットストップ中にクルーが作業を開始。不要なタイムペナルティ(10秒)を加算され、大きく後退する形となった。
毎GPごとにミス、それも凡ミスと言える水準の失態が繰り返されている。ローラン・メキース代表は、ラスベガスGP決勝後に「ユウキにとって、昨日の出来事の代償を払ったんだ。それだけのこと」と前を向いたが、角田との反応の違いを見ると、どこか開き直ったかのように聞こえなくもない。
来季のドライバー陣容が決定するのは、12月7日のアブダビGPとされている。それだけに角田に残されたアピールの機会は、11月28日に開幕する第23戦のカタールGPが事実上最後と言える。文字通り崖っぷちに立たされた25歳は、最後まであがけるか。
少なくとも、味方であるはずの陣営に翻弄するような流れだけは避けたいところだろうが……。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】何をやっているんだ 角田裕毅にレッドブル陣営が前代未聞の失態 代表が異例謝罪をする騒動が波紋「必要のない悲惨な悪夢」
【関連記事】なぜ陣営の“不可解ミス”は繰り返されるのか 角田裕毅の「不遇」を英記者が糾弾「本当に疑問だ。ドライバーの問題ではない!」
【関連記事】生き残るのは角田裕毅か、ローソンか 混迷深めるレッドブルの来季構想に元F1戦士が持論「すべてにおいてリアムの方が正しい」