松葉の残留にファンも胸をなでおろしたことだろう(C)産経新聞社 まずは一安心といったところか。海外FA権を行使していた中…

松葉の残留にファンも胸をなでおろしたことだろう(C)産経新聞社

 まずは一安心といったところか。海外FA権を行使していた中日・松葉貴大が11月22日、残留することを表明。同日に行われたファンフェスタで竜党にも報告し、「来年も皆さんの期待に応えます」と改めて決意を示した。

 先だって柳裕也もFA権を行使せず残留を決めており、2026年シーズンに向けて先発陣の骨格が見えたきた格好だ。本稿では現状の先発投手の陣容をまとめておきたい。

【写真】中日残留の柳裕也が投稿した細川成也との破顔2ショットを見る

■エースクラスは「若き同級生コンビ」

 まず、エースクラスには2人。高橋宏斗と金丸夢斗の同級生コンビだ。

 高橋宏は今季開幕から苦しんだが、それでも年間通してローテーションを守り切った。勝ち星こそ8勝と伸びなかったものの、リーグ2位の171回2/3イニングは立派。3年連続規定投球回に達しており、先発の軸、そしてエースと呼んで差し支えないだろう。

 2年目を迎える金丸にもぜひ高橋宏に続いてもらいたい。ルーキーイヤーは腰痛の影響で出遅れ、デビューは5月にずれ込んだ。初勝利は10試合目の登板、シーズンを通してわずか2勝と結果は残らなかったが、QS率80%はリーグ3位相当の数字。4球団競合の実力を示している。

 この2人には規定投球回到達、2桁勝利、そして5つの勝ち越しを期待したい。

■4人のベテランが脇を締める

 次に挙がるのがベテラン陣。彼らに脇を締めてもらいたい。

 ドラゴンズ一筋15年・大野雄大は今季11勝を挙げ、カムバック賞に輝いている。かつての豪速球は鳴りをひそめるが、球のキレと投球術は健在だ。

 松葉と柳もベテランの領域に入っており、松葉は35歳シーズンでキャリアハイの数字をマーク。来季も状態の良さをキープしたい。柳は来季が捲土重来を期す1年になる。

 そして、来季で40歳になる涌井秀章の「もう一踏ん張り」にも期待だ。

■若手の大化けはあるか

 ローテ定着を狙う若手は多い。このカテゴリーの中からエースクラスに匹敵する投手が現れると、ドラゴンズの未来は明るくなる。

 草加勝と仲地礼亜の「ドラフト1位右腕コンビ」はその最たる例だ。草加は1年目にトミー・ジョン手術を受け、2年目の今季最終戦で1軍デビュー。来季が勝負の年だ。仲地はファーム日本選手権MVPの実績を胸に、飛躍を目指す。

 松木平優太は昨季プロ初勝利を挙げるも、今季は足踏み。同級生の高橋宏、金丸に置いていかれないよう、食らいついていきたい。それは吉田聖弥も同様だ。

 移籍1年目を終えた三浦瑞樹も含めて、20代前半〜中盤の投手がどれだけ戦力になれるか。

■去就微妙な外国人たち

 外国人に目を向けると、残留を決めている投手は不在だ。

 今季100イニングを投げたカイル・マラー、途中リリーフに回って存在感を出したウンベルト・メヒア、巨人との最終戦で好投したナッシュ・ウォルターズ。3人いずれも決め手に欠けているといったところか。

 計算できる投手が少ないだけに、この中から最低でも2人は残した方が良いと思われるが、果たして。12月頭に出る予定の保留者名簿で今後の方針が見えるはずだ。

■ドラフト指名選手は戦力になるか

 今秋のドラフト会議で、中日は上位2枠を即戦力投手に使った。

 1位の中西聖輝(青山学院大)、2位の櫻井頼之介(東北福祉大)ともに大学屈指のスターターで、「勝てる投手」でもある。今持っている実力を出しきれば、ある程度1年目から戦力になるかもしれない。

 ただ、金丸でも2勝&100イニング弱、吉田は1軍での先発なしだったことを考えれば、期待を寄せすぎるのは禁物。温かい目で1年目の奮闘を見守りたい。

[文:尾張はじめ]

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