現代の生活習慣の中には、睡眠の妨げとなる原因があふれています。朝起きたときや仕事中、職場と家の往復時などに、睡眠不足を感じている人も多いのでは? そこで、東京・千代田区飯田橋にある『飯田橋健美整体院』の黒木康郎院長に、快眠のためのセルフケ…

 現代の生活習慣の中には、睡眠の妨げとなる原因があふれています。朝起きたときや仕事中、職場と家の往復時などに、睡眠不足を感じている人も多いのでは? そこで、東京・千代田区飯田橋にある『飯田橋健美整体院』の黒木康郎院長に、快眠のためのセルフケアを教えていただきました。

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▲骨を持って体の歪みについて解説する黒木院長

 先生曰く、実は、睡眠不足じゃないと思っている人の中にも、“隠れ睡眠不足”が潜んでいるとのこと。「ジョギングなど日頃スポーツをしていて健康だと思っていても、睡眠不足の人はいる」という驚きの話も! インストラクターとライターの二足の草鞋を履く私も、実は隠れ睡眠不足かも? そんな疑いを持ちつつ、早速お話を伺ってみることに。

現代人の不眠のワケと隠れ不眠チェック

 睡眠不足の原因のひとつは“緊張”。脳が休めていないのが大きな原因です。「脳の疲労は、実感しにくいです。ここには仕事の前後や合間に来られる方が多いんですけど、『疲れていない』と言う方でも、施術で横になってもらうと30秒で寝息を立てることもあります。実際はそれほど疲れているのに、疲れているかどうか自分では気づきにくいんです」と黒木院長。

 自分自身では実感しにくい脳の疲労。気づくための3つのポイントをチェックしてみましょう。

●朝起きたときに、すっきり目が覚めない
 寝ている間に身体が回復できないと、疲労が蓄積して、すっきり目覚めることができない。寝つきが悪い人も同様。

●日中ボーッとしてしまう
 注意力が散漫、集中しなければいけないときに集中できない、など。身体は脳の支配下にあるので、脳が疲れて正しい状況判断ができなければ、その信号はうまく伝わらない。

●いつも明るく元気
 自分では気づかないが、周りから「いつも元気だよね」と言われる。朝起きたときからテキパキ動いて、寝る直前まで何かやってないと落ち着かない。限界までいくと、いきなりスイッチがオフになったようにリバウンドで落ち込む。頑張りやすい人、責任感が強い人、リーダーシップを発揮しやすい人に多い傾向。

「特に睡眠不足に気づきにくいのは、日ごろ運動をしていない人。不定愁訴(頭が重い、イライラするなど、なんとなく体調が悪い症状)などの症状が出やすいし、身体の変化に気づきにくいです。しかし、運動をしていても油断はできません。例えば、夜9時くらいまで仕事をして帰宅し、軽く食事をとったら、夜12時とか1時くらいからジョギングしている人。副交感神経が優位になっている時間にアクティブに活動していると、脳は休まらないんです」(黒木院長)

 健康に見える人の中にも、脳疲労が隠れているとは! 「いつも元気ですね」と言われる私も要注意かも?

最大の原因は姿勢の悪さ! 姿勢改善で睡眠も改善

「パソコンやスマホなど、目からの刺激が脳を活性化させてしまいます。これも、脳を疲れさせ、緊張させる原因のひとつ。仕事で必要な場合以外にも、SNSに誰かが投稿してないかとか、皆さんマメに画面を見ていますよね。寝る前の30分~1時間は見ないようにするとか、日常生活の中で変えられるところは変える。何も変えずに症状だけよくすることはできません」(黒木院長)

 一般的に22時就寝がよいと言われていますが、そもそも帰宅が22時だったりと実現が難しい方も多いですよね。その場合は、日中の活動モードから夜の回復モードに脳のスイッチが切り替わるように、自分の生活サイクルの中で休ませる時間を決めていいそう。確かに、このくらいゆる~い方がストレスにならないし、続けやすそうですよね。

 また、質のよい眠りのためには、日ごろの姿勢を改善することも重要。姿勢が歪むことにより、脊髄の中の髄液の流れなどが滞り、疲れやすくなったり、体にさまざまな不調を引き起こします。現代人が1日の大半を過ごす、イスに座った姿勢のポイントをご紹介します。

・左右の坐骨を均等につけ、骨盤を垂直に立てる
・その骨盤の上に背骨~頭をのせる

「中心軸に身体がちゃんとおさまっていることが大事。パソコンに向かうときは、猫背になりがちです。背中を丸めないよう、上体をまっすぐのまま骨盤ごと少し斜めに倒せばいい。キーボードを打つときは、前腕を浮かせずに机に置けば肩への負担も減ります」(黒木院長)

 また、タオルを丸めたものや空のペットボトルなどをイスと腰の間に挟むのも、猫背対策に効果的とか。

 実践したことで、腰が痛くて仰向けで眠れなかった方が、仰向けで寝られるようになったという事例もあります。

身体がカタくても大丈夫! 関節ほぐし

 睡眠の質を向上させるためには、就寝前に姿勢をリセットすることが重要。寝るまでが勝負です!

「そのためには、大腿四頭筋など大きな筋肉を伸ばす一般的なストレッチではなく、関節を小さく動かすのが有効です。背骨を中心に関節を動かし、筋肉の緊張をとっていくことで、良い姿勢で起きていられる、良い姿勢で眠れるようにしていきます」(黒木院長)

 過緊張は、身体の使いすぎ、使わなすぎ、どちらにも現れます。それをリセットして、眠りやすい身体にしてあげることが大事。今回は、腰と肩のリセット法を教えていただきました。

●イスに座って骨盤リセット体操
 
 イスに座った状態で職場でもできる、簡単な骨盤のリセット体操です。

1. 膝を90度、かかとを合わせてイスに座る。

2. 両手の人差し指を伸ばして、膝の一番出ているところに置く。

3. 膝が出ている方の足を伸ばし、反対の足を上にのせて足首でクロス。
下の足側に太ももからゆっくりねじり、戻す。

4. 15回を目安に繰り返し、最初と同じように膝に人差し指をあてて確認。この時、左右揃っていなくても大丈夫! 繰り返していくうちに揃ってきます。

「座っているときの骨盤の傾き、坐骨の圧のかけ方の偏りなどで、ズレている骨盤のゆがみをリセットします。骨盤がゆがむことで、その上にある背骨もゆがみます。ですから、その土台の骨盤を整えてあげればいいわけです。1度行ったら1時間半~2時間ほど間隔をあけ、また腰がつらくなったら行う程度で結構です」(黒木院長)


●仰向けの骨盤リセット体操

 今度は、自宅で布団や床の上で寝ながらできる骨盤リセット体操。狭いところでは手をお腹の上に、床や広いスペースでは腕を体側に開いて置きます。骨盤の緊張をとり、左右のバランスを整えます。

1. 仰向けになり、両膝を立てる。

2. 両膝を離さずに、右に倒れるところまで倒す。腰からお尻のストレッチ感など、骨盤周りの感覚を覚えておく。

3. 真ん中に戻し、同様に左に倒す。こちらも骨盤周りの動き具合などを感じて、戻す。

4. 左右で倒しにくい方にもう一度倒し、今度は5秒キープ。一度戻し、あと2回繰り返す。脱力しながらキープすることがポイント! 最後に、左右に倒して動きをチェック。同じくらい違和感がなければOK。

「まれに、骨盤ほぐしをした方の骨盤が緩みすぎて、反対側が気になる人も。倒しにくい方にあと2、3回くらい行って、左右を整えましょう。仕事中に腰がつらいと感じたら前者のイスに座った骨盤リセット、家で寝る前や朝起きる前にするならこちら。この2つを合わせて行うとよいでしょう」(黒木院長)

●横向きの肩甲骨ほぐし

 横向きに寝て、肩甲骨を小さく動かすリセット法です。まず、事前に腕や肩の動きをチェックするために、立った姿勢で腕を天井に伸ばし、手の甲を合わせて二の腕が耳につくくらい上げます。上げにくい、動かしづらいなど気になる方から行いましょう。

1. 気になる方の肩を上にして横向きで寝て、下側の肩甲骨を開いて前に腕を伸ばし、両腕を揃える。手を合わせたところから、肩甲骨を開くように上の腕を前に押し出すようにして、戻す。これを繰り返す。

2. 腕が空中に浮いていると力が入りやすいので、床など腕が浮かないところで行う。(狭いベッドでは、上の腕を下ろし、だらんと脱力して行う。)上の腕を肩甲骨からすーっと押し出し、戻す。力任せに動かさず、リラックスして1、2mmくらい動く範囲でOK。

●ペットボトルで肩甲骨ほぐし
 
 ペットボトルや筒状の海苔の缶など転がるものを使った、肩甲骨ほぐしです。

1. 机などの上にペットボトルを置き、その上に腕をのせる。

2. 手を遠くに伸ばし、自然と肩甲骨が開くのを感じる。力任せに腕を伸ばしすぎないようにするのがポイント。

3. 肩甲骨が少し開くくらいで、戻す。左右共に緩んで緊張がとれるまで繰り返す。

「これらを行う際に重要なことは、意識をその部位に向けて、できるだけ力を抜いて小さく動かすこと。不眠解消には、副交感神経の働きをよくしてあげた方がいいので、大きい動きはNGです。続けることで小さな動きが自然とできるようになり、効果が得られるようになってきます。左右や回数は特に決まりはなく、楽になるまで続けてください」(黒木院長)

 私もレッスンのときはよい姿勢を意識しても、長年のライター業でパソコンに向かっているとついつい猫背に。今回は、睡眠不足の改善はもちろん、仕事に家事に趣味に忙しい方々の疲れた身体をケアするのに役立つことばかり。体がしっかりケアできるので、仕事のパフォーマンスもアップしそうです。毎日頑張ったあとは、自分の身体に早速ほぐしを!

 また、普段から緊張している人、身体の力を抜くことができない人もいます。自分では気づけないところもありますし、セルフケアと合わせて、プロに見ていただくのも大事ですね。

[取材協力]
飯田橋健美整体院

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<Text:大熊美智代/Edit&Photo:アート・サプライ(服部桃子)>

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