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今シーズン、2シーズンぶりにB2のステージで戦う岩手ビッグブルズ。岩手の中心ポイントガードとして、開幕からプレータイムを確保しているのがプロ1年目の山際爽吾だ。
「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON」B2第8節、岩手は神戸ストークスと対戦。結果は連敗となったが、兵庫県の関西学院大学で4年間を過ごした山際にとって、GLION ARENA KOBEでの試合は今節が初めてとなった。試合後、アリーナの感想について笑顔で話した。
「本当に試合が楽しみすぎて、ワクワクしていました。もちろん勝ちたかったですが、このアリーナで試合をできたことは嬉しかったです」
2024-25シーズン途中から岩手と特別指定契約を結び、デビュー2戦目の岐阜スゥープスとの試合では25得点を記録。B2昇格に大きく貢献すると、今季はほとんどの試合でスターター出場を果たしている。プロ1年目を戦う中、B2でのプレーについてこう語った。
「B2に上がって感じたのは、フィジカル面も戦術面もB3とはまったく違うということ。B3で通用していた戦術が、B2では通用しないことがあります。その面では勝つ難しさを感じています」
チームは負け越しているが、山際自身は平均得点が2ケタを超えており、1試合8アシスト以上を記録したゲームも多い。あらためて、自身のガード像をどう捉えているのだろうか。
「自分は得点を取るのもアシストを重ねるのも、両方目指したいと考えています。結果として2ケタ得点の試合もありますが、どちらかにこだわることはしていません。例えば自分の得点が伸びると、その分マークが厳しくなりがちです。そういった場合には周りの選手が活きるように、アシスト重視に切り替えるケースもあります。相手のディフェンスによってアジャストしています」
試合の状況、自身のパフォーマンスなどを冷静に分析し、状況に応じたプレースタイルを選択している山際。自身のストロングポイントについて、2つ挙げてもらった。
「ピックアンドロールからのエルボージャンパーと、早い展開でのボールプッシュからのコースト・トゥ・コーストです。この2つは自信がありますね。ただ、3ポイントをもっと狙いたい気持ちもあります」
3ポイントへの意欲を見せつつ、ポイントガードとして求められる自身の役割は明確だ。
「自分の役割は、チームメートにきっかけをつくること。その延長線上として、3ポイントを打てたらラッキーという考えなんです。まずはチームメートが得点を挙げるきっかけをつくり、その中でさらにボールムーブが発生することもあります。結果として、自分が3ポイントを打つことがベストの状況になれば、どんどん打っていきます。ただ、何よりも優先するのはチームへのきっかけづくり。この点は変わらないです」
岩手のPGで言えば、琉球ゴールデンキングスから平良宗龍が期限付移籍で加入した。すでに出場機会も獲得している中、意識する部分はあるのだろうか。
「誰もが認めるスーパースターで、ドライブもシュートもピカイチの存在です。同じポジションだからこそ、負けたくない気持ちは持っています。ただ、自分の良さと平良選手の良さがマッチしたら、岩手はもっと強いチームになれるはずです。何より11月に加入したばかりで、まだ慣れていない部分もあると思います。もっと彼本来の力が発揮できるよう、可能な限りでサポートしていきたいです」
シーズンはこれから中盤に差し掛かる。
「チームとしては、地区2位以内に入ってのプレーオフ出場が目標です。その目標を達成するために、個人では平均得点2ケタ、アシストランキング1位を目指します。すべては、味方を活かすためです」
そう力を込めた山際は、これからもチームメートにきっかけをつくり、周りを活かしていく。若き司令塔の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。
文=西本友