2022年より甲子園を舞台に全国大会を開いている大学準硬式。2025年も第4回全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲…

2022年より甲子園を舞台に全国大会を開いている大学準硬式。2025年も第4回全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲子園大会(以下、甲子園大会)を開催。東西合わせて選手50人が、当日は甲子園でプレーする。

 それぞれが強い思いを持って甲子園にやってきたが、中京大・加藤匠翔は特に強い思いを持って戦おうとしている。

 「秋季愛知県大会で準優勝して、東海大会に進みました。結果はベスト4で終わりましたが、あとアウト1つでセンバツが当確に大きく近づくところから負けました。最後の夏も上位進出することなく終わったので、不完全燃焼で高校野球を終えました」

 高校は愛知県を代表する強豪・至学館で3年間を過ごした。最後の1年はチームの主将にも就任し、言葉通りチームの大黒柱として支えてきた。夢舞台を目指して戦ってきて、目前まで迫ったところで、その道は消えていったのだ。この敗戦はすぐに拭えるものではない。

 「試合後、2時間くらい球場に残るくらい動けなくて。自宅に帰るまでの車内でも、一言も両親と話すことなく、自宅についた瞬間に現実に戻りました。でも大会後1か月くらいは上の空だったと思います」

 その時の悔しさがあったから、「春以降にホームラン7本出せるようになった」と成長に繋がったと振り返るが、ではどうして大学では硬式野球でリベンジをしなかったのか。

 「もちろん選択肢には入っていました。でもとにかく日本一になりたい。そんな大きな目標を叶えるため、と考えたときに中京大の準硬式という選択肢がありました。人としても成長したかったので、進むことを決めました」

 中京大の準硬式は全国大会に毎年出場するような強豪校。しかし専用グラウンドを持っていないため、練習は硬式野球部と同じグラウンド。ただ時間が被らないように、朝5時45分から練習をするハードな環境だ。

 「学生主体で活動するので、自分次第でどれだけ成長出来るか。そこが大事になるので、主将としてチーム全体を見たり、メニューを考えたりします。それが精神的には負担になるときがあって、1、2時間くらいしか寝られないときがありました。それでもこんなことは滅多に出来ないと思って、何とか乗り越えることが出来ました」

 先輩たちの姿も加藤を刺激した。全国大会に出場し、負ければ先輩たちは涙を流す。勝てば喜びを爆発させる。最初は「熱くなれないかもしれない」と準硬式への不安があったが、共に戦う中で先輩たちの本気の姿勢に感化され、今は主将として全国制覇を目指している。

 そんななか、甲子園でプレー出来る機会がやってきた。2年生の秋、目の前で甲子園の道が途絶えた加藤にとって願ってもないチャンスだ。

 「正直、甲子園大会というものがあったのか、という感覚でした。しかし高校の時に本当に悔しい思いをして、もういけないと思っていたので、こんな素晴らしい大会に絶対に選ばれたいと思って頑張ってきました。なので、選ばれたことは凄く嬉しいです」

 偶然にも、母校は春のセンバツに出場。甲子園で戦った。その姿をスタンドから見ていたとのことで、「羨ましい。嫉妬心の方が強かった」と苦笑い。後輩からも刺激を受けたからこそ、「試合では盗塁を決めたい」と加藤は誓った。

 「夢と希望に満ち溢れている球場だと思っています。そんな舞台で持ち前の足を生かして盗塁を決めたいと思っています」

 幻と消えていった夢舞台・甲子園。今度こそその舞台に足を踏み入れるが、その景色は加藤の目にどう映るのか。そしてどんなプレーを見せてくれるのか。