◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日(16日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70…

金子駆大(右から2番目)は昨年から目澤秀憲コーチ(同3番目)に師事する

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日(16日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇晴れ(観衆1万1256人)

大会前のドライビングレンジで、金子駆大はスイングコーチとバックスイング時の動きについて話し合っていた。「あまり右肩が上がり過ぎないように、と。フェードヒッターだと、どうしてもそうなりやすいので」。腹圧を逃がさずにインパクトしてボールに力を加える。目澤秀憲コーチとのそんな日々の取り組みを始めてから、もうすぐ2年が経つ。

3歳でゴルフを始めた金子はジュニア時代、名古屋の天才ゴルファーという呼び声高い少年だった。クラブ、ボールの製造事業から撤退する前のナイキが早くから見初めたほど。高校3年時の2020年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格し、大学に進学せずにツアー入りを決断。目澤コーチとはその年に初めて顔を合わせた。

当時抱えていたいくつかの悩みの中で、「フェードボールの精度を高めたい」という課題に取り組むべく、シード1年目の昨シーズンに契約した。コーチは金子の、物理的なスイング理論の理解力に驚いたという。ゴルフ場で口数は決して多くない。それでいて「ゴルフへの取り組み方が真っすぐで真面目」(目澤氏)。

安定感いっぱいのショットが魅力

クラブがスイングプレーンを外れず、インパクトゾーンも長い。ボールを無理に飛ばしにいくことなく、安定感のあるショットで狭いコースでもクールに攻められる。テークバックからダウンにかけて長い時間、顔が右を向く動きが独特だが、目澤コーチはそういったカタチよりも、心身の強さを長所と見る。

「一番の良さは常にスイングの力感がほとんど変わらないところ。プレッシャーがかかったときでも、そうでなくても、朝イチだろうが、極端に言うとプライベートラウンドだろうが、あまり変わらない」。緊張感いっぱいの場面でもペースが乱れない。「その質が年々、高まっている」とさえ思う。

フェードボールを打ちにいくアドレス

ドライビングディスタンス279.72ydはツアーで90位。それでいて平均ストローク(69.924)、賞金ランキング1位に躍り出るのは、89.61%というツアートップのパーキープ率があってこそ。「ちょっと古いですけど、リー・トレビノみたいな感じでしょうか」。メジャー通算6勝のレジェンドの名を挙げて将来を期待した。(静岡県御殿場市/桂川洋一)