◇国内女子◇伊藤園レディス 最終日(16日)◇グレートアイランドC(千葉)◇6769yd(パー72)◇曇り(観衆4325…

◇国内女子◇伊藤園レディス 最終日(16日)◇グレートアイランドC(千葉)◇6769yd(パー72)◇曇り(観衆4325人)
プロ8年目、待ちに待った喜びは少し遅れてやってきた。最終組の2組前、後続に3打差をつけてホールアウトした時、好プレーに微笑む脇元華に実感はなかった。18番グリーンでこの日、初めてリーダーボードを見たが、どうにもピンと来ない。スコア提出でクラブハウスに向かう途中、群衆の中から原英莉花が抱きついてきた。
「英莉花ちゃんがまるで自分のことのように泣いて喜んでくれていて。その時“勝ったのかな?”って」。プロテスト同期で1歳下の“後輩”を手始めに、同郷・宮崎で1歳上の山内日菜子、8歳下の菅楓華…ほかにも世代を超えた十数人の仲間が迎えてくれた。もらい泣きはだんだん、号泣に変わっていった。

今季開幕前に始まった腰痛との戦い。「全然頑張れなかった」と前週時点のメルセデスランキング58位(シードは50位まで)で、2度目のシード落ちを半ば覚悟したシーズン。12月中旬にはヘルニアの手術を受けることが決まっている。そんな中でも「腰の調子がいい」と感じていた練習ラウンドで、後ろを回る渡邉彩香に「華ちゃん、ほんとに腰がつらそうだね」と心配された。「自分では10割で振っているつもりでも、周りには7割ぐらいに見えるんです」と苦笑いした。

ところが、最終日に文句なしのスコアを作った。2打差8位から出て、1番で121ydを9番アイアンで手前4mにつけてバーディ発進。パー5の5番からは3連続バーディ。まずはウェッジで2mにつけ、6番は6mを入れ、実測183ydの7番(パー3)は3番ユーティリティで2mにつけ、強い下りを触るだけのタッチで流し込んだ。
後半13番(パー5)からの4連続バーディも、パットの距離は5m、1m、2m、3m。8個の大量バーディは全部、無理なく力まないスイングから堂々たるチャンスを作ったものだ。

2018年度プロテストに3度目の挑戦で合格した。同期に原、渋野日向子、河本結、稲見萌寧…。「こゆ~い顔ぶれ」の仲間が派手な活躍を見せる中、鳴かず飛ばずの日々を送った。コロナ禍の2020年-21年頃はパターのイップスに悩み、「私はこのまま消える選手なんだ」と大会会場の練習グリーンで泣いたこともあった。永峰咲希、柏原明日架、山内、菅ら同郷の先輩・後輩が次々とツアーで優勝。「宮崎で私だけ勝ってなくて」と、宮崎空港が地元選手の優勝のたびに掲げる「おめでとう」の垂れ幕を見るたびに寂しくもなった。
「体がボロボロなのに…。自分でもビックリ。ほんとにまさかです」。ツアー出場210試合目(アマチュア8試合含む)の初優勝は、1988年ツアー施行後では12番目のスロー記録。苦労を重ねた脇元が、ツアー制施行後のシーズン最多記録を更新する29人目の優勝者、11人目の初優勝者になった。(千葉県長南町/加藤裕一)
<国内女子ツアーの年間優勝者数>
1/2025年/29人
2/1991年&92年/28人
<年間初優勝者数>
1/2025年/11人、2/19年&22年/10人