（16日、明治神宮野球大会高校の部準々決勝 英明2―1北照） 北照（北海道）のエース・島田爽介（2年）は神宮球場での登板…
（16日、明治神宮野球大会高校の部準々決勝 英明2―1北照）
北照（北海道）のエース・島田爽介（2年）は神宮球場での登板を「今年イチ楽しみにしていた」。
1点ビハインドの五回に2番手で登板すると、緩いカーブやチェンジアップを打者の内角へ次々と投げ込んだ。相手の勢いを止めて接戦に持ち込んだ。
東京都出身で、小学6年生で東京ヤクルトスワローズのジュニアチームに選抜された。神宮球場は「NPB12球団ジュニアトーナメント」の決勝で先発し、優勝した場所だった。「マウンドに懐かしさを感じながら、絶対に明日に試合をつなげる気持ちだった」
その年に星稜（石川）からドラフト1位でヤクルトに入団した奥川恭伸が憧れだった。
快速球で鳴らす投手を夢見たが、なかなか球速が上がらない。厳しい環境を求めて進学した北照では、スタミナ不足や守備の詰めの甘さが露呈し、「みんなに置いていかれていた」。
自らに厳しい目線を向け、食事制限や投げ込みから改めた。
現在の最速は139キロ。奥川をめざすのではなく、自分の良さを見つめた。体力と制球力をつけ、今秋の北海道大会は4試合すべてで完投。そのうち準決勝と決勝は完封勝利だった。
この日は最速149キロの中谷嘉希（2年）が先発していただけに、「中谷の真っすぐを見た後なら、自分のボールが生かせる」と緩い変化球で攻めた。
七回に1点を失い、試合には惜しくも敗れた。「高校でチームについていけなかった自分が、ここに戻ってこられるまでになれた」と島田。
起伏のあった2年弱。「ここまでやってきたことは間違いじゃない」。そう思えるマウンドだった。（平田瑛美）
