◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(15日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー7…
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(15日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇晴れ(観衆1万1611人)
快進撃は「入るわけがない」と思ったパットから始まった。インスタート4ホール目の13番(パー3)、バーディパットは下りの7m、大きなフックラインが残った。カップから3m近く右に打ち出したボールは傾斜を伝い、古川龍之介の視界から消える。「きょうはイイことがあるかも」。予感は、見事に的中した。
14番では2.5m、15番で60㎝、16番は4mとグリーンを狙ったショットが立て続けにピンに絡み、あれよあれよと4連続バーディ。17番(パー3)で3mのチャンスを外した後、折り返しの18番(パー5)でカラーからのイーグルトライが10m先のカップに沈んだ。自身のハーフベストを1つ更新する「29」。後半インでさらに2バーディを奪い、ツアーでの自己ベストを2つ縮める「62」をたたき出した。
全面的なコース改修に伴い、パー設定が72から70に変更された2018年以降、金谷拓実(19年)らが記録した大会コースレコードを1打更新した。イーブンパー39位から通算8アンダーの6位に急浮上。賞金ランキングは35位で、来季の初シード入りをすでに決めている。今季の優勝者ら30人によるシーズン最終戦「日本シリーズJTカップ」(東京よみうりCC)出場に向けたチャンスを手繰り寄せた。
日大ゴルフ部でキャプテンを務めた24歳にとっても、御殿場コースは「ちょっと特別感がある」ゴルフ場と言って間違いない。大学時代の合宿でお世話になり、部員同士でドライビングレンジの球拾いもした思い出がある。
当時のプレースタイルは「セーフティな攻めが“売り”だった。『パーでいいや』みたいな感じで、順位を上げることよりも落とさないことの方が大事だと思っていた」というもの。それではプロの世界で上に限界がある。なにせ、観る人を喜ばせられない。6月に下部ツアーで初優勝を飾ってからも、「攻めきれないウィークポイント」を克服しようと必死でいる。
海外ツアーの常連になった中島啓太、平田憲聖、蝉川泰果といった同世代からの刺激が「本当にありがたい」と感じる。「世界のトップの人たちは『62』も狙って出していると思う。きょうの僕は正直、そうではなかったので。それは越えていかなきゃいけない壁だなとは思います」。名門コースで打ち立てた金字塔にも決して満足していない。(静岡県御殿場市/桂川洋一)