岸田は昨季チーム最多のスタメンマスクで台頭も甲斐加入で苦戦 来年3月の第6回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)…
岸田は昨季チーム最多のスタメンマスクで台頭も甲斐加入で苦戦
来年3月の第6回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を見据え、15、16日に東京ドームで「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国」に臨む野球日本代表「侍ジャパン」。現在4人選出されている捕手陣の中で、最も若いのが29歳の巨人・岸田行倫(ゆきのり)捕手だ。“日本の正捕手”の座を射止めるべく、猛アピールを目論む。
「巨人でプレーしている時とは、また別の緊張感があります」。侍ジャパンのユニホームに身を包んだ岸田の表情は、心なしか少し硬いように見える。
兵庫・報徳学園高、大阪ガスを経て、2017年ドラフト2位で巨人入り。7年目の昨季、チーム最多の72試合でスタメンマスクを被り、今年3月の「日本 vs オランダ」で初めて侍ジャパンのトップチームに選出された。
ところが、今季の巨人はソフトバンクから甲斐拓也捕手がFAで加入。3月28日の開幕戦から5月3日まで、甲斐が29試合連続でスタメンマスクをかぶり、岸田はベンチを温める日々が続いた。それでも、チームで7年間培ってきた信頼は伊達ではない。徐々に出場機会を増やし、甲斐が右手中指を骨折して8月25日に戦列を離れたこともあって、最終的に捕手でチーム最多のスタメン出場を記録したの(69試合)。甲斐は64試合で、他に小林誠司捕手が6試合、大城卓三捕手が3試合、山瀬慎之助捕手が1試合だった。
そして岸田は今、今季両リーグで三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した阪神・坂本誠志郎捕手とオリックス・若月健矢捕手、2023年の前回(第5回)WBCを経験しているヤクルト・中村悠平捕手と出場機会を争っている。「僕は去年から巨人で何とか試合に出られるようになりましたが、前回のWBCの頃には、まさか自分がこういう場に来られるとは思っていませんでした」と顔を紅潮させる。
昨季リーグトップの盗塁阻止率誇った強肩、定評のある打撃も持ち味
昨季セ・リーグトップの盗塁阻止率.475、今季も同2位の.419を誇った強肩が持ち味。打撃にも定評があり、今季は規定打席には足りなかったものの、打率.293(266打数78安打)のハイアベレージをマークした。「侍ジャパンでは周りの捕手を見て勉強になることばかりです」と謙虚に語るが、今季開幕当初巨人でベンチを温めていた男が、主戦捕手として日の丸を背負いWBCに臨む可能性も十分ある。「狙っていきたいところではあります」とうなずいた。
トップチームでの経験は浅い岸田だが、報徳学園高3年の9月には侍ジャパンU-18代表に選出され、タイで行われた「BFA 18Uアジア選手権」に出場。後に巨人でチームメートとなる4番・岡本和真内野手(当時・智弁学園高)の前の3番を打ち、捕手と一塁手を兼務して大会準優勝に貢献している。
ところで、巨人では背番号27の岸田だが、侍ジャパンでは今回「10」を背負っている。「(ヤクルトで『27』の)中村悠平さんがいらっしゃるので、他の空いている番号から選びました。(巨人・小林)誠司さんが『10』を付けていたイメージがありました」と説明。巨人で「22」の小林は、2019年のWBSCプレミア12の日本代表メンバーに選出されると、年上の中日・大野雄大投手に「22」を譲り、「10」を付けて優勝に貢献した。巨人で背番号10といえば、阿部慎之助監督が現役捕手時代に付け、今季から甲斐に継承された番号でもある。
10月10日生まれの岸田にとっても、WBCで改めてラッキーナンバーとなるかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)