オリックス・横山楓「支配下の電話が来た時は、家で2人で泣きました」 心強い味方が、ずっとそばにいる。オリックスの横山楓投…
オリックス・横山楓「支配下の電話が来た時は、家で2人で泣きました」
心強い味方が、ずっとそばにいる。オリックスの横山楓投手が、さらなる飛躍に向けて高知秋季キャンプで充実の時間を過ごしている。今年7月30日に再びの支配下選手登録を勝ち取った27歳右腕は、愛妻への感謝を忘れない。
「支配下の電話が来た時は、家で2人で泣きました。(7月)29日の夜に携帯が鳴ったんです」
横山楓は2021年ドラフト6位でセガサミーからオリックスに入団。プロ2年目の2023年は4試合に登板したが、2024年は1軍登板なし。2軍では47試合の登板で14セーブをマークして最多セーブのタイトルを獲得したが、戦力外通告を受けた。
「育成で契約して頂けるというお話だったので。ずっと見てくださっていた方(岸田護監督)が監督になるというタイミングだったので、チャンスがあるのかなという気持ちではありました」
通告を受けた直後、妻に本心を打ち明けた。「家族と相談して『もう1年だけ……』と話をしました。お給料が減るということになって……。妻は『私が働くよ』と言ってくれたんです。『続けていいよ。減った分は仕事するね』と。今までにはなかったエンジンの掛け方というか、(自分にとって)そういう瞬間でもありましたね」。涙は隠さなかった。
家庭に入っていた妻が“新しい職場”に選んだのは「ヤクルトレディ」だった。5歳の息子は幼稚園、3歳の娘は託児所に預けての共働き。再びの支配下選手登録を伝えられ、今季は1軍で14試合に登板。2勝4ホールド、防御率1.10と結果を残した。「1試合1試合という感じでしたね。先のことは見ずに目の前の1日を精一杯、過ごしていました」。活躍を続けたある日、妻に相談した。
「僕としては(妻は仕事を)辞めていいと思ってるんです。でも……。『私が頑張ってないと、あなた頑張れないでしょ?』という感じで。支えてもらっているな……とすごく感じています」
「なかったかもしれないチャンス。気負わずにいきたいと思っています」
高校時代に出会った最愛のパートナー。練習試合の対戦相手のマネジャーだった妻とは出会って10年近くになる。「大学は寮生活、社会人からプロのタイミングも単身赴任だったので、一緒に住んでいる時間はまだそこまで長くないですね」。2人の子どもとの生活をかけて、懸命にマウンドに向かう。
「2軍生活だったので、試合を観に来てくれることはそこまで……という感覚ではありました。恥ずかしいというか、もっと頑張らないとって。でも、やっぱり1軍の試合を観に来てもらえると、胸が張れますね。息子も野球を少し理解してきた年頃ですし。なかったかもしれないチャンス。気負わずにいきたいと思っています」
家族の思いを背負って、1球に力を込める。(真柴健 / Ken Mashiba)