◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 初日(13日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70…

中野麟太朗はド緊張のプロデビュー戦(C)JGTOimages

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 初日(13日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇曇り(観衆4569人)

前夜はよく眠れたけれど、朝になって“おなかに来た”。「ちゃんと健康的なものを食べたはずなのに…」。これまでに経験したストレス性の腹痛とはまた違う。きょうは記念すべきプロデビューの日。11日に22歳になったばかりの中野麟太朗は緊張感いっぱいに新たなステージに立った。

ナーバスになる要素は他にもあった。出だしの10番ティ。眺めた景色が壮観だった。「(ティイングエリアの)両脇からどこまで人がいるんだろうというくらいギャラリーさんがいて。やっぱり石川遼さんってすごいんだな…と思いました」。通算20勝のディフェンディングチャンピオン、現在賞金ランク1位の生源寺龍憲とのペアリングに緊張感は膨らんだ。

プロとしての第1打は2Iで左のラフへ。2打目がグリーン奥のペナルティエリアに消え、処置に時間がかかり焦りが増幅した。「頭が真っ白になるくらい」の瞬間を経て、4オン2パットのダブルボギー。「やっぱり力が入っていたんだろうなと。その後の4ホールくらいは1番手くらい短めに打っても飛んだ。アドレナリンみたいなものがいつもよりも多かった」と距離感のアジャストに苦しんだ。

4バーディ、2ボギー2ダブルボギーで回った

「なにが起こってもおかしくないのがデビュー戦かなと思った。そこは割り切ったというか」と考えられたのが、トップアマとしてならしてきた証でもある。3ホール目の12番で6mを沈めプロ初バーディ。「本当に速いですね。今までプレーしてきた中で一番」というグリーンに苦労し、後半1番でもダブルボギーを叩きながら「72」で2オーバー70位と大幅な出遅れは免れた。

河本力選手や出利葉太一郎選手クラスのフィジカルがある選手だとまず思ったんですけど、アイアンショットの精度が本当に高い。(弾道が)高くて、ほとんどピンから外れない」と中野を見たのは隣でプレーした石川だった。本人は高評価にも冷静。「きょうはアイアンに助けられた。僕が得意なのはどちらかと言えばティショット、ドライバーだったりするんです。過信せずやりたい」と修正すべき点を見定める。

早大ゴルフ部出身者として2023年に初めて「日本アマチュア選手権」を制覇。卒業論文の執筆を控えた4年生は、初ラウンドを「ようやく単位取れたぐらい」の出来と振り返った。「あしたは自分のプレーをやり抜くのをモットーに、とにかくパッティングをどうにかして、たくさんのギャラリーの方に僕のゴルフを見ていただければなと思います」。プロとして、まずは週末を試合会場で迎えたい。(静岡県御殿場市/桂川洋一)