固いデ…
固いディフェンスを是とする両クラブの攻防
11月12日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われた「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON」第10節のアルバルク東京対宇都宮ブレックス戦は、A東京が67-65で勝利した。開幕節で連敗を喫した相手に競り勝ち、ホームでリベンジを果たした。
A東京は司令塔のテーブス海が欠場する中で、大倉颯太、小酒部泰暉、安藤周人、ライアン・ロシター、セバスチャン・サイズが先発に名を連ねた。宇都宮はD.J・ニュービル、比江島慎、高島紳司、アイザック・フォトゥ、ギャビン・エドワーズがスターターとしてコートに立った。
試合は立ち上がりから互いに激しいディフェンスが続き、ロースコアで推移した。堅いディフェンスを是とする両クラブ同士の攻防は、第2クォーターで宇都宮が遠藤祐亮の3ポイントで主導権を握ると、ニュービルが11得点を挙げてリードを拡大。前半を35-29で折り返した。第3クォーターも宇都宮ペースは変わらず、第4クォーターは53-43と宇都宮リードで始まった。
しかし、A東京の反撃はここから始まる。安藤のレイアップで先制すると、サイズがフリースローの2本も含めて6連続得点で猛追。さらに中村浩陸の3ポイントが決まり、3分14秒の間に54-53と逆転に成功した。つまりA東京は11-0のランを決めたわけだが、その裏には強度を一段と上げたディフェンスがあったことも見逃せない。宇都宮にタフショットを打たせ、イージーに攻めさせなかった。
ただし、そのまま試合が終わるほど宇都宮はやわではない。A東京に主導権を握られることはなく、一進一退の展開となった。残り時間が1分を切った場面で比江島が右のレイアップをバスケットカウントで決め、65-65に追いつく。その後、サイズのシュートが外れ、続くニュービルのショットがリングに弾かれてラインを割ると残り時間は8秒。A東京のデイニアス・アドマイティスヘッドコーチはタイムアウトを請求した。
タイムアウト後のA東京のプレー――フォスターのスローインからサイズとフォスターがパス交換を行い、ボールマンのフォスターへのシュートチェックを宇都宮がダブルチームで強めた瞬間、フォスターからリングにダイブしたサイズへアシストが入り、そのまま右のレイアップを沈めて67-65。これが決勝点となり、A東京が接戦に終止符を打った。
ニュービル、比江島への守りが逆転勝利のもう1つの要因
試合後の会見でアドマイティスHCは、終盤に見せた粘り強さを評価した。
「第4クォーターのプレーは非常に良かった。選手たちはタフな時間帯でも我慢し、相手よりも強度を保つことができた。今シーズンは接戦が多いが、こうした展開を勝ち切る力を身につけつつある」
決勝点を決めたサイズについては、信頼を持って任せたと明かす。
「最後のプレーは事前に準備していたもの。サイズはフィジカルが強く、相手にとってミスマッチになる場面が多い。冷静に決めてくれたことでチームを救ってくれた」
決勝のプレーをアシストしたフォスターは、笑顔でその場面を振り返った。
「前の試合では最後にターンオーバーをしてしまったので、今回はボールをコントロールして正しいプレーをし、チームの勝利に貢献できたことをうれしく思います。あのプレーができて良かったですし、開幕カードの2試合で敗れたことからの改善を示していると思います」
敗れた宇都宮は、終盤に得点が伸びず悔しい結果となった。比江島慎は後半のオフェンスについて課題を口にした。
「前半は自分たちのペースでできていたが、後半はボールが止まってしまった。A東京の守備が良かったこともあり、攻め急いでしまった場面が多かった。もっとシンプルに動かしていれば流れを渡さずに済んだと思う」
また、リバウンドやルーズボールといった細かい部分の徹底度でも後れを取ったと認めた。
「ワンポゼッションの勝負になると、一つのミスが勝敗を左右する。終盤は相手の方がアグレッシブだったし、こちらが弱気になった部分があった」
A東京は試合終盤、残り3分の局面で高い守備強度を保ち、宇都宮の外角シュートを連続して阻んだ。この時間帯のディフェンスについて、アドマイティスHCは具体的な狙いを明かした。
「特に3ポイントラインでの対応が勝負を分けた。宇都宮はアイソレーションからニュービル選手が左サイドでステップバックの3ポイントを打つ形や、比江島選手が同様の形から得点するパターンを得意としている。そこで、その場でシュートを完結させるのではなく、あえてドライブさせてペイント周辺の密集地帯に誘導し、そこで判断させることを狙った。プルアップやステップバックの3ポイントを打たせないことが、ディフェンスの明確なポイントだった」
さらに、終盤の連続ストップが選手の集中力を一段と引き上げたと語った。
「選手たちは非常にアクティブで、足もよく動き、手も出ていた。全員が助け合っていた。1回止めると自信がつき、2回連続で止めるとさらに深まる。3回連続になると“もう大丈夫だ”という気持ちになる。選手たちがこうしたメンタリティを見せてくれたことを本当にうれしく思う」
終盤の守備で主導権を握り、最後はサイズの決勝弾で締めたA東京。開幕節での連敗から一歩成長した形で、ホームの観客の前で重要な1勝をつかんだ。
文=入江美紀雄
【動画】残り8秒からA東京のサイズが決勝シュートを決める