カブスからFAとなった今永(C)Getty Images 日本人左腕の真価が問われている。今オフにカブスからのFAを決め…

カブスからFAとなった今永(C)Getty Images

 日本人左腕の真価が問われている。今オフにカブスからのFAを決めた今永昇太だ。

 ビジネス社会を物語るような決定だった。まず、現地時間11月4日にカブス側がトレード拒否権も付帯する3年総額5700万ドル(約87億7800万円)の契約延長オプションの権利行使を破棄。これに今永側も即座に対応するような形で来季年俸1500万ドル(約22億9000万円)の単年契約締結の権利行使を拒否し、FAの流れとなった。

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 今永との3年契約について「我々は価値があるとは考えられなかった」(ジェド・ホイヤー編成本部長談)としたカブスは6日に今季の規定額である1年2202万5000ドル(約33億9000万円)のクオリファイング・オファー(QO)を提示。再契約に向けた動きを見せたが、いまだ契約合意には至っていない。

 決して数字が極端に落ち込んだわけではない。25年シーズンの今永は25先発で9勝(8敗)を記録。ルーキーイヤーとなった24年シーズンからはやや数字を落としたものの、防御率3.73、WHIP0.99、奪三振率7.28とまずまずの値を残していた。

 それでもカブス側は4シームの平均球速がリーグ平均から約3.1マイル(約4.9キロ)も低下するパワー不足の面や来年9月に33歳となる年齢も加味し、複数年での契約延長を固辞。ついには交渉が決裂となった。

 もっとも、カブス首脳陣は、今回の交渉によって懸念される関係性の“こじれ”を指摘する声は意に介していない。目下、ラスベガスで開催中のGM会議に出席したカーター・ホーキンスGMは、地元スポーツ専門局『Marquee Sports Network』の取材に対して「(軋轢が起きた可能性は)ゼロだ。なぜならこれはビジネスだからだ」と断言。互いに理解をしあっての決断であると強調した。

「我々は難しい決断を何度も下さなくてはいけない。そのことは、選手たち、特にショウタのようなレベルに達した選手たちは理解している。今回の件はチームメイトとして、そして組織の一員として、彼に対してどう感じているかとは別の話だ。全く違うんだよ。この状況がどうなるかはこれから決まるが、私たちとショウタの陣営との間には、間違いなく良い雰囲気しかないよ」

 今永との契約状況を伝えた同局は、「再契約の可能性が閉ざされたわけではない」と指摘。「ショウタとは素晴らしい2年間を過ごした。未来を見据えて、もしも、彼が『1年契約』で我々と契約してくれるなら素晴らしい」とするホーキンスGMのコメントを伝えた上で、「カブスは依然としてこの左腕に価値を見出している。結局のところ、カブスは10月のプレーオフで先発投手陣が明らかに枯渇していた」と今永との“共闘”が大きな補強になるという見解を示した。

 果たして、今永は単年契約に応じるのか。来オフに選手会との労使協定が切れるMLBがロックアウトとなる可能性を考慮すれば、やはり今冬にFAとなって複数年契約を模索するメリットも小さくないが……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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