<第50回社会人野球日本選手権大会:ヤマハ2-1日本生命>12日◇決勝戦◇京セラドーム大阪 12日、日本選手権決勝戦が行…

<第50回社会人野球日本選手権大会:ヤマハ2-1日本生命>12日◇決勝戦◇京セラドーム大阪

 12日、日本選手権決勝戦が行われ、ヤマハが2対1で日本生命を破り、8大会ぶり2度目の優勝を決めた。

 左腕の佐藤 廉投手(修徳)が全試合に登板する大車輪の活躍で最高殊勲選手賞を受賞。打線もかなり強力で、5試合で4本塁打33得点と力を発揮した。

 打線を牽引したのが、相羽 寛太内野手(静岡)、網谷 圭将内野手(千葉英和)、森川 凌内野手(神戸国際大付)のクリーンナップトリオ。歓喜を味わった彼らにそれぞれ話を聞いてみた。

 相羽は静岡時代から好守の遊撃手として活躍。今年で入社5年目を迎えた。

「バッティングになると、気持ちが引いてしまうところがありました」とこれまでの課題は打撃。打たないと試合に出られない中で、今年の前半戦はベンチスタートになることが多かった。

「インパクトで自分の力を100%伝えられるようなドリルをしてきました」とコーチや先輩に教わりながら打撃を改良。都市対抗では全試合で6番を任され、首位打者賞のタイトルを獲得した。

 今大会は初めて3番を任され、20打数8安打1本塁打8打点の活躍で打撃賞のタイトルを獲得。完全に「打てる遊撃手」の地位を確立した。

 今年のドラフト会議では2球団から調査書が届いたものの指名漏れ。「プロという目標もあるので、達成できるように頑張っていきたい」と来年のドラフト指名を目指している。

 昨年の日本選手権では大卒2年目ながら指名漏れしたトヨタ自動車の増居 翔太投手(彦根東)が最高殊勲選手賞に輝き、今年はヤクルトからドラフト4位指名を受けた。相羽も来年に同じような道を辿る可能性は十分にありそうだ。

 4番の網谷は準決勝のNTT東日本戦で9回表に決勝の3ラン本塁打を放つなど、2本塁打の活躍。主砲としての役割を全うした。

 網谷は千葉英和から2015年の育成ドラフト1位でDeNAに入団。一度も支配下契約を結ぶことはできず、3年で戦力外となった。

 その後、2019年にヤマハへ入社。以来、長く中軸打者として活躍している。

 昨年にはソフトバンクから育成契約のオファーもあった。心は揺らいだが、「監督や色んな人の声を聞いて、やっぱりここで育ってもらったので、恩返しをしたい」と残留を決意。「みんなが凄く高いレベルで野球をしているチームなので、本当に良かったです」と結果で自身の選択を成功にした。

 その一方で、相羽や森川などプロを目指している若手もいる。彼らの挑戦的も網谷は肯定的に捉えていた。

「やっぱり野球をやる以上、プロの世界で1億円以上もらうというのが誰しも夢だと思います。結果がもし出なくても挑戦しているということはすごくカッコイイことだと思います」

様々な世界を知る網谷だからこそ、語れる話だった。

 5番の森川は神戸学院大時代に強打の捕手として活躍。「まだプロに行っても活躍できない。社会人の強豪チームで結果を出せた先にプロがあると思いました」と大学ではプロ志望届を提出せずにヤマハへ入社した。

 ルーキーながら都市対抗で2本塁打を放つと、今大会も6安打のうち長打が4本と打棒を発揮した。

 当時の関西六大学リーグには1学年上に大阪商業大の上田 大河投手(西武)や高 太一投手(広島)、同学年に大阪経済大の林 翔大(ENEOS)など好投手揃い。「良いピッチャーと対戦出来て、社会人でもやっていけるんじゃないかと思いました」と社会人のレベルにも物怖じする必要がなかったことが、今季の結果につながった。

 また、森川は入社したから一塁守備に挑戦中。決して捕手失格になったわけではなく、「プロは打てる選手はあまりいなくて、ポジションも不足している。そこを目指すと可能性は高くなるよ」とコーチから前向きな転向を勧められたことがきっかけだった。

「キャッチャーへの未練はないです」と語る森川。打撃で突出した結果を残すことで、来年のプロ入りを目指す。