◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー…

亡くなった菅谷大介アナウンサーへの思いを語った石川遼

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

どんな返答も、真顔で受け取ってくれるような真摯(しんし)さが好きだった。男子プロゴルファーの石川遼が今月8日に亡くなった日本テレビの菅谷大介(享年53)アナウンサーをしのんだ。同局でゴルフ中継も担当した菅谷アナは2週前の国内ツアー「フォーティネットプレーヤーズカップ」でも実況したばかり。多くのプロが突然の別れを惜しんだ。

16歳でプロの世界に飛び込んだ石川にとっても、長く信頼するアナウンサーの一人だった。2022年にすい臓がんを公表しながら、今季も試合会場で顔を合わせていただけに「現場にも復帰されて、すごく安心して、良かったと思っていた矢先のことだったのでショックでした」と驚きを隠せなかった。

取材現場では立ち振る舞いこそ控えめだったが、多くの選手に熱心かつ丁寧に話を聞く姿が印象的だった。「本当に真剣な眼差しでいろんなことを聞いてくださった。どこまでも純粋に、真面目に言葉を受け止めてくださって。僕が冗談で返し過ぎているのにその反応も真面目で、苦笑いされることが多かったです」。行き過ぎたジョークを石川が自ら訂正する“ノリ”も、ふたりならではのやり取りだった。

プロスポーツが未曽有の事態に追い込まれたコロナ禍で、石川は日本テレビのゴルフ中継関係者と、より良い番組作りを目指すためオンラインで意見交換を行った。若手のアナウンサーを集め、その中心を担ったのが菅谷アナだったという。「解説者の方よりも、実況アナウンサーの方はゴルフについて多くを知らなくてもいいはずなんです。でも菅谷さんは本当に勉強熱心で、選手にもリスペクトがあった」と、取材される側にとっても最大限の敬意を持って向き合う相手だった。

プロツアーの舞台に立って以来、あらゆるメディアに登場し続けてきたキャリア。雄弁な石川であっても、「カメラの前って心を開きにくいんです。構えてしまうというか…。(記者を相手にする)囲みのときとは口調が変わる」のが正直なところだ。

「でも、関係性が長いアナウンサーの方は、選手の思いに真剣に耳を傾けてくださるので、『ここまで言うつもりじゃなかった』ということを引き出される。カメラが回っているところで選手の本音を引き出すのは(聞く側の)人間力なのかなと思います」。菅谷アナは優れたそれを持つ人だった。(静岡県御殿場市/桂川洋一)