現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグ…
現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグループステージを突破したが、ここまでの戦いぶりと、ここから先の道筋を、どうとらえていくべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■若き日本代表が示した「実力」
カタールで開催されているU-17ワールドカップで、日本代表がグループステージ突破を決めた。
初戦ではアフリカ・チャンピオンのモロッコと対戦して57分に瀬口大翔のコントロールショットで先制。98分には前線へのロングボールをトップに入ったマギージェラニ―蓮が追い、相手DFがコントロールミスしたところに飛びこんだ平島大悟が決めて突き放した。
U-20ワールドカップでアルゼンチンを破って優勝を決めたばかりで盛り上がっているモロッコを沈めた日本は、最終戦ではヨーロッパ王者のポルトガルにも勝利して、グループBでの首位突破を決めた。
35分に前線からのプレスで相手のミスを誘ってショートカウンターを発動。和田武士が浅田大翔とのワンツーで抜け出して、DFとの駆け引きに勝って自らシュートコースをつくって決めた。
そして、前半終了間際にも野口蓮斗がパスカットして前線の平島に付け、平島の落としを瀬口が25メートルほどの距離から右下隅に決め切った。
後半はポルトガルの強力な攻撃にさらされ、さらに、71分に長南開史の一発退場で1人少なくなって1点を奪われたものの、GKの村松秀司の好セーブや体を張ったシュートブロックで守り切った。
2戦目には実力差のあるニューカレドニアと対戦し、日本は前後半で35本ものシュートを浴びせたもののゴールを奪うことができずに引き分けとしてしまったが、強豪と言ってよいモロッコ、ポルトガルに勝利したことは素直に評価すべきだろう。
■得意の形は「ロングカウンター」
今大会の日本代表は、カウンターに特化したチームのようだ。
モロッコ戦の1点目は瀬口のシュート技術が際立ったが、攻撃は平島が前方のスペースに出したボールを浅田が受けてドリブルで一気に持ち上がって、右を走る吉田湊海やフォローしてきた平島に相手DFが引き付けられた裏を取って、左サイドでフリーになっていた瀬口にパスを通した得点だった。
そして、追加点は吉田が出したロングボールをサイズとスピードのあるマギーが追ったことによって相手のミスを誘ったもの。2ゴールともにロングカウンターである。
ポルトガル戦も同じ。
先制ゴールは、浅田がポルトガルのGKロマリオ・クーニャにプレスをかけたためGKのキックが長南にわたり、そこから和田、浅田、和田とパスがつながった。そして、2点目も浅田のプレスによって相手ボールがメンディーサイモン友に入ったところからの攻撃だった。
■廣山望監督が選んだ「適材適所」
実際、廣山望監督が選んだU-17日本代表にはそうしたカウンターを仕掛けるのに適した人材が豊富だ。トップの浅田やシャドーの平島、吉田はいずれもハードワークをいとわない選手たちだし、運動量豊富なボランチの和田や野口、川本大善。最終ラインにはフィジカル的な強さのある選手がそろって相手の攻撃を跳ね返し、また、正確に前線の選手にパスを届けるだけの技術力もある。
FC琉球U-18所属でこれまで無名だったマギーという、サイズとスピードを兼ね備えた選手も後半、相手が消耗している時間帯に投入されると、そのフィジカル能力が非常に有効だった。