現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグ…

 現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグループステージを突破したが、ここまでの戦いぶりと、ここから先の道筋を、どうとらえていくべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■48か国が参加する「U-17W杯」の実情

 さて、48か国参加のU-17ワールドカップである。

 従来、2年ごとに開催されていたこの大会(2023年にインドネシアで開かれた大会は24か国参加だった)、FIFAは2025年からは48か国参加で毎年開催し、さらに2029年大会までの5年間はすべてカタールで行われることを決めた(最近のFIFAは、巨額の資金をサッカーに投資するサウジアラビアやカタールと完全に癒着している)。

 会場はアスパイア・ゾーンの8面のピッチである。

「アスパイア・ゾーン」は、かつては「ドーハ・スポーツシティ」と呼ばれたスポーツ・コンプレックスで、ハリファ・インターナショナルスタジアムをはじめとして水泳プールや体育館などのスポーツ施設がある。そして、若手選手育成のためのアスパイア・アカデミーが設けられ、アカデミー用に8面のピッチが存在するのだ。

■近くて遠い「輝かしい思い出」のスタジアム

 所在地は正確にはドーハ市ではなく、隣接のラヤーン市である。

 ハリファ・インターナショナルスタジアムは、2022年のカタール・ワールドカップで日本代表がドイツ、スペインを破ったスタジアムであり、さらに2011年のアジアカップ決勝で日本が延長戦の末にオーストラリアを破って優勝を決めたのもここだ。さらに、1993年のアメリカ・ワールドカップ、アジア最終予選の舞台となったのもこのスタジアムだった(日本がイラクと引き分けてワールドカップ出場権を失った「悲劇」は、同時刻開催のためにアルアリ・スタジアムで行われた)。1993年当時は、ドーハ郊外の砂漠のような土地にスタジアムだけがポツンと建っていたのだが……。

■「少年大会」を突破して「栄光の地」を目指せ!

 しかし、48チームが集まって、半径250メートルほどの中に隣接する8つのピッチを使って同時に試合が行われている光景を見ると、とても「ワールドカップ」であるとは思えない。どこかの少年サッカー大会とかJヴィレッジで集中開催される高校総体といった趣だ。

 モロッコの、同じような環境で行われていた女子のU-17ワールドカップは準々決勝以降はラバトのオリンピック・スタジアムで開催された。だが、男子のU-17ワールドカップでは、ハリファ・インターナショナルスタジアムで行われるのは決勝だけなのだ。

 アスパイア・ゾーンの8つのピッチからは、わずか数百メートル先にスタジアムが存在するが、選手たちにとっては非常に遠いスタジアムなのである。

 先に述べたように、ハリファ・インターナショナルスタジアムは日本にとっては輝かしい思い出のあるスタジアムだ。U-17日本代表にも、ぜひそこを目指してもらいたい。

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