現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグ…

 現在、サッカーのU-17ワールドカップがカタールで開催されており、若き日本代表も世界を相手に奮闘している。日本代表はグループステージを突破したが、ここまでの戦いぶりと、ここから先の道筋を、どうとらえていくべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■日本チームの「大きな失敗」

 さて、話をU-17ワールドカップに戻そう。シュート35本を打ちながらスコアレスドローに終わったニューカレドニア戦である。

 たしかに、GKニコラ・クトゥランをはじめ、ニューカレドニアの守備陣の健闘は称賛すべきものがあった。あれだけゴール前を固められれば、難しい試合になる。

 だが、いずれにしても90分の間にあれだけチャンスをつくりながら決めきれなかったことは日本チームの大きな失敗だった。

 最大の原因はメンタル面だろう。

 おそらく(いや、間違いなく)試合前から「相手は格下だ」という意識があったのだろう。人間としてそういう考えになるのは仕方のないことだし、実際、あらゆる意味で日本の選手とニューカレドニアの選手の間にはサッカー・スキルの面で大きな差が存在した。

 その結果として開始早々からボールを持つ時間も長くなったし、パスも回せる。そして、さらにシュートチャンスもつくることができた。そのことによって、「いつでも点が取れる」といった意識が生まれてしまったのだろう。

■カウンター特化型の「弱点」?

 しかし、チャンスはつくれていてもなかなかゴールが奪えない……。そうなると、今度は逆に「焦り」の気持ちが強くなってしまう。「早く決めなくては」という意識が高まるとともに攻撃が強引になり、精度が落ちていってしまう。

 そうしたメンタル的な動きが、この“失態”の最大の原因だった。

 若い選手たちなので仕方がないことなのかもしれない。逆に考えれば、彼らにとっては良い経験だった。明らかな格下を相手に、どのような気持ちを持って試合に入るのか。なかなか点が取れない中で、どのように気持ちをキープするのか……。

 そして、もう一つ、指摘することができるとすれば、「カウンターに特化した」今回のU-17日本代表にとって自分たちがボールを保持し、パスを回してビルドアップして相手を崩すというのが難しかったのかもしれない。

 攻め込んでくる相手の裏を取ってロングボールから起点をつくる。あるいは、相手がパスをつなごうとするところでプレッシャーをかけてミスを誘発し、奪ったボールを素早く回して得点につなげていく。

 モロッコ戦、ポルトガル戦で日本チームが決めた得点はすべて、このどちらかのパターンだった。

■ニューカレドニア戦の「経験」を生かせ

 もちろん、決勝トーナメント(ラウンド32以降)ではニューカレドニア戦のような展開になるはずはない。従って、カウンター狙いの日本にとってやりやすい試合になるのかもしれない。

 だが、相手が「日本対策」として、わざと日本にボールを持たせてくる可能性はある。もし、日本がラウンド32でも素晴らしいカウンターで相手を仕留めてみせたりしたら、年代別の戦いであっても「対策」を打ってくるチームもあるかもしれない。日本は、今では世界のサッカー界からもそれだけリスペクトされている存在なのだ。

 そういう展開になったときに、ニューカレドニア戦の経験を生かして、ビルドアップからの攻撃で相手を崩すことができるのか? それができるようになれば、チームのプレーの幅が大きく広がることになる。

「さまざまなスタイルの相手と戦うこと」。それこそが、U-17ワールドカップという大会の最大の目的なのだ。すべての経験が、選手たちの未来につながる。

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