常松はカブスとのマイナー契約を「前向きに検討」しているという(C)産経新聞社「ゴールドマン・サックス内定辞退」というパワ…

常松はカブスとのマイナー契約を「前向きに検討」しているという(C)産経新聞社

「ゴールドマン・サックス内定辞退」というパワーワードに、野球ファンだけではなく、一般の人々も強い関心を寄せました。

 慶大の4番も務めた右の強打者・常松広太郎外野手が下した決断です。米国で育った帰国子女でもある常松は、慶応湘南藤沢高校から慶大野球部に入部し、長打力に磨きをかけました。

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 就職活動においても難関とされる外資系の金融大手ゴールドマン・サックスから内定をもらいながら、プロ志望届を提出し、10月23日のドラフト会議を待ちました。しかし、結果は指名漏れ。野球競技から引退し、ビジネスの世界へ――と思いきや、MLBのカブスからマイナー契約のオファーが届きます。ここで常松は野球継続を決断。自身のSNSに「私のアメリカ挑戦、たくさんの方に応援していただけると嬉しいです!」と記したのです。

 アマチュア野球の取材歴が長いスポーツライターは言います。

「ここまでの常松の実力を考えると、メジャー昇格への道は極めて厳しいというのが正直なところです。東京六大学野球リーグ戦の成績から見ても、ドラフト1位で指名された明大の小島大河捕手や法大の松下歩叶内野手らに比べると、能力的にはまだまだというのが、関係者の共通した見解でしょう。しかし、常松が米球界に挑戦する価値は、そんな凡人の尺度で測れるものではないのです」

 そして、こう続けるのです。

「常松は卓越した語学力とコミュニケーション能力を持った若者です。確かにゴールドマン・サックスは就職先として難関ですが、日本と違い、米国では新卒でなくても目を引くキャリアがあれば、一流企業への就職は可能です。そして、MLB球団への入団は今しかできない。マイナーとはいえ、カブスの一員として自ら体験できたことは、一生において最高の宝物になるでしょう。ビジネスの世界には、現役を終えてからでも十分間に合う。常松のような能力のある若者だからできる、『最高の決断』なんです」

 そして、卒業後は「慶大野球部」のネットワークが、常松をサポートしてくれる点も、見逃せません。

「慶大は野球部に限らず、卒業生の結束が固く、ビジネスの上においてもプラスに作用していきます。今回、スポーツ新聞がその進路を大々的に報じたことで、常松は慶応の卒業生の中でも『希望の星』となりました。この知名度はビジネスの世界でどんなに頑張っても、なかなか獲得できるものではない。いろんな意味で、よき決断をしたのではないでしょうか」

 正式契約は来年1月中旬以降と報じられています。その奮闘に、たくさんの声援が注がれそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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