時期的なものもあって、エリザベス女王杯は実力牝馬のラストランとなることも珍しくない。一昔前で印象的だったのは00年。…

 時期的なものもあって、エリザベス女王杯は実力牝馬のラストランとなることも珍しくない。一昔前で印象的だったのは00年。2冠牝馬のファレノプシスが復活を果たすとともに、有終の美を飾った一戦を振り返る。

 ファレノプシスは父ブライアンズタイム、母キャットクイル、母の父Storm Catの血統。3歳時に桜花賞と秋華賞を制覇。しかし、古馬となって以降はまさかの7連敗。とりわけ5歳となって以降はマイラーズCが10着、札幌記念が7着と見せ場なく敗退していた。そして迎えた一戦がラストランのエリザベス女王杯だった。

 単勝6.4倍の3番人気で迎えた一戦、ファレノプシスは近走の不振が嘘のような走りを見せた。松永幹夫騎手に導かれ、絶好2番枠からいつもより前での立ち回り。終始ロスなく運んで脚をためた。そして直線で末脚を爆発させる。逃げ粘る2番人気のトゥザヴィクトリーを捕らえると、番手から押し切りを図るフサイチエアデールも捕らえ、堂々と先頭でゴール。2年1カ月ぶりのGI・3勝目を手にするとともに、現役最後の一戦を勝利で飾ったのだった。

 この13年後には、半弟のキズナが日本ダービーを制覇する。きょうだいでのGI制覇は珍しくないが、2頭の年齢差は15。これは84年のグレード制導入後の記録だった。