■「狩る」姿勢が先制点につながった【J2リーグ第36節 11月9日 14時03分キックオフ 水戸 0ー2 大宮 ケーズ…
■「狩る」姿勢が先制点につながった
【J2リーグ第36節 11月9日 14時03分キックオフ 水戸 0ー2 大宮 ケーズデンキスタジアム水戸】
J1昇格争いの結末は、ラスト2試合に託された。
J2リーグ第36節が11月8日、9日に開催され、4位のRB大宮アルディージャは9日、首位の水戸ホーリーホックとのアウェイゲームに挑んだ。冷たい雨が降りしきる一戦には、RB大宮のサポーターが数多く詰めかけている。
0対0のスコアレスで後半を迎え、両チームのベンチが交代カードを切っていく。まずは63分に、両チームが同時に2枚替えをした。RB大宮はMF豊川雄太とFWオリオラ・サンデーが下がり、MF谷内田哲平とFW杉本健勇が投入された。
水戸も攻撃的なカードを切った。どちらも先制点をつかみにいった。そして、スコアを動かしたのはアウェイのRB大宮なのである。
77分だった。カプリーニの右CKを、杉本がヘディングで合わせたのだ。水戸はマンツーマンの対応で、杉本には左SB大森渚生がついていたが、杉本は187センチで大森は177センチである、サイズのミスマッチもあり、杉本はマンマークを振り切ってヘディングシュートを突き刺したのだった。
この先制点につながったCK獲得の流れを巻き戻すと、カプリーニのチェイシングをきっかけに全体が前からプレスを仕掛け、相手にロングボールを蹴らせてCB市原吏音が跳ね返し、セカンドボールをアンカーの小島幹敏が収めて攻撃へつなげている。
RB大宮の宮沢悠生監督は水戸戦へ向けた取材対応で、「相手がどういうふうにやってきて、どこがストロングでどこがウィークなのかはもちろん確認します。でも、自分たちがやることは基本的にこれまでと変わりません」と話していた。「ホントにチャレンジャーの気持ちで、自分たちが狩りに行く姿勢は変えずにやりたいと思います」とも語っていた。
試合が終盤へ差し掛かろうとしている75分過ぎの時間帯で、前からプレッシャーをかけて相手の選択肢を限定し、ボールを回収してCKを獲得した。杉本が「個」の力を発揮したのと同時に、チームに通底する「狩る」メンタリティが先制点を生み出したと言っていいのだろう。
■次節は首位と2位が直接対決
1対0とリードしたRB大宮は、87分に貴重な追加点をあげる。途中出場の谷内田哲平の右CKから、杉本が右足シュートでネット揺らしたのだった。この場面でも杉本は相手のマークを振り払い、シュートできる空間を作り出している。日本代表経験を持つ32歳の経験者が、先制点に続いて「個」の力を見せつけたのだった。
後半は左サイドの津久井匠海も存在感を発揮した。彼は6月に水戸からRB大宮へ完全移籍した選手である。かつてのホームへ乗り込み、得意のドリブル突破で前への矢印を太く強くした。
2対0のまま試合終了のホイッスルを聞いたRB大宮は、勝点63として3位に浮上した。宮沢監督の就任後(31節~)は、これで5勝1分である。シーズン終盤での監督交代というカンフル剤は、チームを明確に変えたのだった。
今節の結果を受けた順位は以下のとおりである。
1位・水戸(勝ち点67)、2位・V・ファーレン長崎(勝点66)、3位・RB大宮(勝点63)、4位・ジェフユナイテッド千葉(勝点63)、5位・徳島ヴォルティス(勝点61)、6位・ベガルタ仙台(勝点61)、7位・ジュビロ磐田(勝点60)、8位サガン鳥栖(勝点57)。
7位の磐田は残り2試合に連勝しても、勝点は66だ。このため、水戸はJ1昇格プレーオフ圏内の6位以内が確定している。2位の長崎も、得失点差を考えると6位以内はほぼ確定済みと言っていい。
次節は11月23日に開催される。ラスト2試合は全試合が同日開催だ。
その次節で、首位の水戸と2位の長崎が激突する。舞台は長崎のホームで、5月から12戦負けなしの強さを誇っている。
3位の大宮は、5位の徳島をホームに迎え撃つ。ゲームキャプテンの市原吏音が出場停止で、最終ラインの人選に注目だ。
29日の最終節にも、上位チームの直接対決が組まれている。徳島対長崎、鳥栖対磐田だ。
最終節を終えた景色は、果たしてどうなっているのか。最後まで予断を許さない。