まさかのミスが重なり、順位を落とした角田(C)Getty Images ミスにミスが重なる苦しい展開を最後まで打破できな…

まさかのミスが重なり、順位を落とした角田(C)Getty Images
ミスにミスが重なる苦しい展開を最後まで打破できなかった。現地時間11月9日、F1の今季第21戦となるサンパウロGPの決勝がブラジルのインテルラゴス・サーキットで行われ、レッドブルの角田裕毅は完走した中で最下位となる17位でフィニッシュ。欲しかったポイント獲得とはならなかった。
【動画】一体なぜ? グリップ不足に不満が爆発した角田のクラッシュシーン
最初から最後までフラストレーションが募る週末となった。
グリップに課題を残したマシンコンディションも相まって7日のフリー走行から低迷していた角田は、迎えた決勝も苦心した。17番グリッドからスタートするも、開始間もない6周目に混戦状況を抜け出そうとオーバーテイクを狙った際にランス・ストロール(アストン・マーティン)に追突。ここで10秒のタイムペナルティを科される。
さらに陣営のミスが角田に追い打ちをかける。一時的に8番手にまで浮上し、ポイント圏進出への希望も見え始めていた25周目に課された10秒のペナルティを解消すべく、2度目のピットストップを行った時だった。レッドブルのクルーがタイムペナルティ内で左後輪のナットを緩める作業を開始してしまったのだ。
FIA(国際自動車連盟)のF1レギュレーションでは、タイムペナルティが科せられている間はマシンに対するいかなる作業(物理的な接触)も行えないと定められている。当該スタッフは1秒でも早く出走させるべく、タイヤ交換を焦ったのかもしれないが、あまりに痛恨のミスだった。
手練れの集うクルーによる初歩的なミスよって再び10秒のペナルティを取られた角田は、万事休す。終盤の51周目には全車中で最速ラップをマークしたが、すでに17番手まで後退。16番手から表彰台(3位)に立った同僚マックス・フェルスタッペンとは真逆で、巻き返しの望みは絶たれていた。
単純計算ながら仮に計20秒のタイムペナルティがなければ、ポイント圏内の7位にフィニッシュも可能だった。それだけに角田もどこかやりきれない。決勝後のF1公式のフラッシュインタビューに応じた際には「自分にとって厳しい週末だった」とポツリ。そして、「まだ諦めない」と言葉を振り絞りながらも、“本音”にも似た想いを漏らしている。
「本当に残念。何もかも全然上手くいかなかった。むしろ、何かがうまくいっても、別の何かで失敗する感じ……。本当に最悪の週末の一つだ。正直に言えば、理由はよくわからない。だけど、全体的にグリップが不足していた」
マシン調整を含めて陣営への鬱憤は募るばかりだ。一方でレッドブルのローラン・メキース代表は「ユウキは接触のペナルティでタイムを失い、さらに我々のミスで再びタイムを失ってしまった。思い通りにいかないのは残念だ」と弁明。「最後のスティントは力強かったし、あの2つのペナルティがなければ、ポイント争いに加わっていた。ラスベガスではもう少し静かな週末になれば良いんだけど……」と言葉を濁した。
来季の去就がいまだ不透明の角田。レッドブルはドライバー構想の公表を第23戦のカタールGP以降まで延期しており、今後も結果を求められる立場は変わらないが、果たしてどこまでアピールを続けられるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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