11月14日から第56回明治神宮大会が開幕する。今年は目玉投手は不在であるが、一発長打が期待できる大型スラッガーが例年よ…
11月14日から第56回明治神宮大会が開幕する。今年は目玉投手は不在であるが、一発長打が期待できる大型スラッガーが例年よりも多い。大会は打ち合いで盛り上がりそうだ。今大会を象徴する注目選手を紹介したい。
大会を盛り上げる8人のスラッガーたち
目玉となるのは、山梨学院の菰田 陽生投手(2年)だ。この夏の甲子園では最速152キロをマークし、投打ともに活躍してベスト4入りに大きく貢献。準決勝で肘を痛め、復帰登板は関東大会からだった。最速は144キロとまだ試運転状態だったが、打撃が本格化している。関東大会初戦となった準々決勝の浦和学院戦では詰まりながらもバックスクリーン弾。関東大会では12打数7安打7打点、打率.583と大当たりだった。打てるコースが広がっており、簡単に抑えられない打者へ成長している。
スカウトから評価が高いのは九州国際大付の牟禮 翔外野手(2年)だ。180センチ89キロと屈強な肉体を生かしたフルスイングで高校通算23本塁打を記録。ヘッドスピードが非常に鋭く、打球にトップスピンをかけるのが上手い。巨人の若手スラッガー・浅野 翔吾外野手(高松商)を彷彿とさせる逸材で、九州大会では15打数6安打のうち、5本が長打で内容も良い。この大会で評価を高めていきたい。
4年ぶり出場となった花巻東。古城 大翔内野手(2年)、赤間 史弥外野手(2年)の両スラッガーに注目だ。今年の選抜、夏の甲子園を経験し、計5試合を戦った。2人とも木製バットを使い、古城は180センチ94キロ、赤間は180センチ98キロと共通点が多い右のスラッガーだが、フィジカルの強さを活かして、木製バットでも本塁打性の打球を飛ばせる。
赤間は以前よりもヘッドが走るスイングとなり、進化が見える。古城は木製バットに苦しんでいるが、捉えた打球は非常に鋭い。
16年ぶりの神宮大会出場となった帝京は4番エースの安藤丈二投手(2年)、大型スラッガー・目代 龍之介外野手(1年)が牽引する。安藤はコンタクト力が高く、17打数7安打、2本塁打6打点。ボールがしっかりと見える落ち着いた構えからレベルスイングで広角に打ち分ける打撃が持ち味。目代は188センチ92キロと恵まれた体格を活かし、都大会で2本塁打を記録。まだコンタクト力に課題はあるが、MLBのスラッガーのような縦振りのスイングで豪快に打球を飛ばす。フィジカルの強さもあり、2年後のドラフト上位候補になりそうな逸材だ。
同じく16年ぶり出場の神戸国際大付にも強打者が多く揃うが、その中でも4番川中 鉄平外野手(2年)の技量、パワーが抜けている。182センチ92キロとガッシリした体格をしており、初戦の金光大阪戦で豪快な本塁打を放った。懐が深い構えから、ヘッドの重みを利かせた豪快なスイングはスラッガーらしい技術を備えており、今大会も豪打が期待できる。
5年ぶりの出場となった中京大中京は大型スラッガー・荻田 翔惺外野手(2年)が打線を牽引する。東海中央ボーイズ時代は、エース&4番打者として活躍。当時から130キロ台の速球を投げ込み、打者としても本塁打を量産していた。1年生のときからベンチ入りしていたが、この秋から打撃が本格化。東海大会では13打数6安打、打率.462を記録した。コンパクトなスイングでも広角に強い打球が打てるのが強みだ。
どのチームにもチームを支える好左腕たちが登場
一方で、今大会は左腕の好投手が多い。夏の甲子園ベスト4入りに貢献した山梨学院の143キロ左腕・檜垣 瑠輝斗投手(2年)は出場校の左腕ではNO.1の実績を誇る。140キロ台をコンスタントに出していた甲子園と比べるとやや調子を落としているが、それでも130キロ前半のカットボールは一級品だ。
花巻東の左腕・萬谷 堅心投手(2年)は春夏連続で甲子園を経験し、130キロ中盤の速球、スライダー、チェンジアップの投げ分けが巧み。ボール先行になることも多く、四球も多い。逆にそれが狙い球を絞りにくくしており、走者を背負っても勝利に導く投球術は光るものがある。
英明の最速141キロ左腕・冨岡 琉希投手(2年)は四国大会優勝の原動力となった。軸がブレず、安定したリリースポイントで腕が振れる完成度の高いフォームから常時135キロ前後の速球を両サイドにしっかりと投げ分けて打ち取る。四国大会準決勝の明徳義塾戦では1失点完投勝利を収めた。
崇徳の徳丸 凜空投手(2年)は中国大会で全試合完投勝利を収めた本格派左腕。180センチ76キロと上背があり、しなやかな腕の振りから繰り出す最速140キロの直球は切れ味がある。
初の北信越大会優勝を収めた帝京長岡はエース左腕・工藤 壱朗投手(1年)が鍵を握る。元プロの芝草宇宙監督から投球のイロハを学んだ。まだ細身であるが、スムーズな腕の振りから繰り出す常時130キロ台中盤の速球、115キロ前後のスライダーのコンビネーションで打たせて取る投球が持ち味。北信越大会では4試合を投げ、防御率0.67と優勝に貢献した。
九州国際大付の1年生左腕・岩見 輝晟投手は188センチの長身から最速144キロの速球、大きく曲がるスライダーを武器に、九州4試合で防御率0.95の好成績を残した。打撃でも5番を打ち、九州大会では15打数6安打を記録した。
神戸国際大付の宮田 卓亜投手(2年)は近畿大会でノーヒットノーランを達成した左腕。130キロ中盤の速球、チェンジアップ、カーブを巧みに投げ分ける投球スタイルが持ち味だ。
帝京の仁禮 パスカルジュニア投手(2年)は都大会準々決勝の日大三で完封勝利を挙げた技巧派左腕。なかなか腕が出てこない変則的な投球フォームで、球速も120キロ台だが、チェンジアップとのコンビネーションが絶妙で、一発長打を秘めた打者が揃う日大三打線を手玉に取った。準決勝、決勝で登板はなかったが、神宮大会初戦では山梨学院と対戦する。強力打線相手にどこまで通用するのか。
左腕が多い中、スカウトから注目度が高いのは北照の149キロ右腕・中谷 嘉希投手(2年)だ。今春の浦和学院との練習試合で149キロをマーク。ネット裏から見た破壊力抜群のストレートには誰もが目を惹く。制球力、試合を作る能力が課題で、全道大会では強豪校との戦いが続いたため、登板はなかった。支部予選でショートイニングを投げているが、選抜が有力となった立場で臨む明治神宮大会では登板する可能性は十分にありそうだ。