高橋周は意地を見せられるか(C)産経新聞社 中日・高橋周平は、来季でプロ15年目のシーズンを迎える。「気づけば……」とい…

高橋周は意地を見せられるか(C)産経新聞社
中日・高橋周平は、来季でプロ15年目のシーズンを迎える。
「気づけば……」という感覚もあれば、「紆余曲折を経て……」と思う人もいるはず。奇しくも彼が入団してからチームは優勝を果たせていない。それゆえか、プロ入り後、一貫して背負う「3」番にはさまざまな声が届いてきた。
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今季の場合は称賛、そして悲鳴の声が届いたように思う。
春季キャンプで右手人差し指に打球を受け、開幕には間に合わず。1軍昇格は4月12日のことだった。昇格後は同日の阪神戦(甲子園)でいきなり二塁打を放つなど、勝負強い打撃で三塁のスタメンや代打で活躍。得点圏打率が3割超と持ち味を発揮していた。
アクシデントが起こったのは6月11日、仙台での楽天戦(楽天モバイル)だった。三塁ベース上で相手選手と交錯し、そのまま負傷退場。捕球体制に入った状態でスライディングをモロに受け、左肘があらぬ方向に「持っていかれる」状態に。痛々しい姿でベンチ裏へ下がっていった。
この試合を最後に1軍からフェードアウトしたわけだが、衝撃の告白は11月9日の契約更改でなされた。
左肘の脱臼に加え、内側靱帯ならびに外側靱帯の損傷――。
本人が「野球人生一番の大けが」「左肘で爆弾が破裂した感じ」と表現した通り、かなりの大けがを負った。手術を選択せず、保存療法で2軍の実戦復帰まで持ち直したのは、幸運だったかもしれない。今はトレーニングも行えているようで、来季に向けて準備を整える。
2025年シーズンにおいて、中日の三塁は受難続きだった。高橋周以外にも、石川昂弥、福永裕基が不振や故障で長期離脱。補強した佐藤龍世やマイケル・チェイビスも定着せず、佐藤に至ってはオフに戦力外通告を受けている。高卒ルーキーだった森駿太のデビューが数少ない光明か。
おそらく来季は、三塁のレギュラーは不在の状況から始まる。順当にいけば石川昂と福永が軸と考えられるが、高橋周だって状況を理解しつつ「遠慮はしない」と話す。
1年間同じ選手が守りつづけるのは困難なこと。最初は一番手でなくても、必ず背番号「3」を必要とする場面が訪れる。そこに向けて刃を研ぎ続け、時が来たら動くのみだ。
[文:尾張はじめ]
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