◇日米女子ツアー◇TOTOジャパンクラシック 最終日(9日)◇瀬田GC 北コース (滋賀)◇6616yd(パー72)◇雨…

ずっと求めてきた優勝がようやく手に入った

◇日米女子ツアー◇TOTOジャパンクラシック 最終日(9日)◇瀬田GC 北コース (滋賀)◇6616yd(パー72)◇雨(2696人)

2mのパーパットを沈めて両手を上げて歓喜した後、畑岡奈紗の目から涙がこぼれた。雨によるコースコンディション不良で54ホールの短縮競技が決定し、最終日は前日までのスコアで並んだ荒木優奈とのプレーオフに。パー5からパー3に変更された18番をボギーとした荒木に対し、畑岡はパーとして日米通算12勝目を挙げた。米ツアーでは、2022年「DIOインプラントLAオープン」以来となる3年6カ月16日ぶりの7勝目。「すごく苦しかった」とキャリアで最も長くタイトルから離れた時期を振り返った。

プレーオフはパー5だった18番をパー3に変更して行われた

前回の優勝から今回までに何度も悔しい思いをした。特に印象に残っているのは、2023年の「全米女子オープン」(カリフォルニア州・ペブルビーチゴルフリンクス)だ。首位で最終日を迎えるもバックナインでショット、パットともに苦戦を強いられ、「76」と悲願のメジャー制覇を逃した。「悔しかったことはたくさんあるけど、ペブルビーチで勝てなかったのが、ここ最近では一番悔しかった」

自身が勝てない中、古江彩佳をはじめ、西郷真央山下美夢有竹田麗央岩井明愛岩井千怜らの優勝を見てきた。「もちろん焦りみたいなものはあった。3年勝てなくて、どこか忘れられているような気持ちも。なかなかつらい時間はあった」という。

昨年3月には首を寝違え、4月「JMイーグルLA選手権 presented by プラストプロ」で短い距離から3パットをしたのをきっかけに悩み出したパッティングも、調子を回復するのには今年の夏まで時間を要した。

緊張の中で打ったウィニングパットはまっすぐカップへと向かっていった

「寝違えてから半年ぐらいは体の面でもうまくいかないし、技術的にも思うようにいかない時間があって。本当、何をやってもうまくいかない一年だった」。パリ五輪の代表争いの最中に、まさかの失格という事態も起きた。

パッティングはクラブを変えただけではなく、握り方、スタイルと試行錯誤を重ねて乗り越えた。そして復活優勝を遂げるのに“最後のピース”として見つけたのが「グリップのちょっとした握り方」だった。

「右手をずっと下から握るようにしていたけど、それが自分の体の心地良さには合っていなくて。コーチが気付いてくれて、ちょっと上から握るようにしたらショットも、パッティングも全体的に良くなった」

一つずつ不安要素を潰して練習に取り組んできた

不安要素をつぶし、少しずつトップ10入りの回数を増やして今週を迎えた。ウイニングパットは緊張から「どうやって打ったかよく覚えていない」と笑うが、「この一年取り組んできたように、スピードだけを意識することに集中できた」と苦手の克服を証明する一打となった。

2018年に続く大会2勝目を手にし、「また勝てたんだ、とすごく自信につながった。(米ツアーで)2桁勝利を目指していきたいし、メジャー優勝もまだできていない。今年はもうメジャーはないけど、来年以降でしっかりチャンスをつかんでいきたい」と力を込めた。

今シーズン残すはあと1試合

次週の「アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン」はスキップをするため、今シーズンは残すところ20日開幕の最終戦「CMEグループ ツアー選手権」(フロリダ州・ティブロンGC ゴールドコース)だけ。今回の優勝で所属先が冠スポンサーの来季開幕戦「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」に出られるのが、何よりうれしい。(滋賀県大津市/石井操)