(9日、秋季東京都高校野球大会決勝、帝京8―4関東第一) 16年ぶりに秋の都大会を制した瞬間、帝京の選手たちはマウンドで…
(9日、秋季東京都高校野球大会決勝、帝京8―4関東第一)
16年ぶりに秋の都大会を制した瞬間、帝京の選手たちはマウンドで抱き合った。ベンチで見守った金田優哉監督の脳裏に浮かんだのは、これまでの教え子たちだった。
「長くかかりました。泣くつもりはなかったですが、がんばってくれていたOBの顔が浮かんで……」。あふれる涙を、何度も手で拭った。
春夏の甲子園で計3度の優勝を誇る伝統校は、2011年夏を最後に甲子園から遠ざかっていた。明治神宮大会の出場権をつかむとともに、来春の選抜大会出場を確実とした。
21年秋に前田三夫前監督が勇退。金田監督は、約50年間チームを指導した恩師からバトンを引き継いだ。「前田さんがつくった強い帝京を取り戻す」
23、24年の春季都大会を連覇するなど着実に力をつけてきたが、24年夏の決勝では関東第一に敗れた。
この日は過去のうっぷんを晴らすような攻撃を見せた。
0―0の三回。2死満塁から蔦原悠太が走者一掃の3点適時二塁打を放つなど、打者一巡の猛攻で8得点。大量リードを奪い、試合を優位に進めた。
この回の7安打のうち3安打は内野安打。中軸の選球眼も光った。強打のチームカラーは変わらないが、今年は粘り強さも意識してきたという。
選手たちは強豪復活を自らの手で成し遂げたいと、進学してきた。主将の池田大和は力強く語った。
「長年帝京高校が甲子園に出られない中で、自分たちの代でこそ出たいと思ってやってきた。自分たちの目標は日本一なので、ここからもう一回スタートです」(大宮慎次朗)