<第50回社会人野球日本選手権大会:NTT東日本6-1王子>8日◇2回戦◇京セラドーム大阪 今年の都市対抗野球を制した王…

<第50回社会人野球日本選手権大会:NTT東日本6-1王子>8日◇2回戦◇京セラドーム大阪

 今年の都市対抗野球を制した王子が敗退。楽天からドラフト6位指名された九谷 瑠投手が先発したが、4回を投げ、7安打4失点と打ち込まれた。

 150キロ前後のストレートにカットボールやチェンジアップなど多彩な変化球を操る九谷。都市対抗野球では先発、リリーフにフル回転して、MVPにあたる橋戸賞を受賞している。

 この日も初回は三者凡退と立ち上がりは順調に見えたが、「全体的にボールが浮いていて、ストレートとチェンジアップのコンビネーションが発揮できなかった」と2回表に5安打を浴びて2失点。4回にも2本の長打を打たれて追加点を許し、立て直すことはできなかった。

 滋賀の堅田では3年夏の県8強が最高成績。近畿学生リーグ2部の大阪大谷大を経て、昨年まで矢場とんブースターズで3年間プレーした。

 矢場とんブースターズは味噌カツ専門店の「矢場とん」が運営するクラブチーム。平日は午前中に練習して、夕方から店舗でホールスタッフとして働くというハードな生活を送っていた。

「しんどいというのは特になかったですし、そこで成長すると自分で決めて入社したので、それが成長に繋がって良かったかなと思います」と矢場とん時代を振り返る九谷。昨年でチームを離れる決断をすると、王子からオファーが届き、即戦力として活躍した。

「彼なくして優勝は間違いなくなかったので、よく1年過ごしてくれたと思います」と九谷を労った湯浅 貴博監督。在籍は1年だったが、貢献度は計り知れないものだった。

「クラブチームだからといってプロになれないわけではないですし、こういう選手が増えていけるようにお手本になれるようになっていきたいと思います」と語った九谷。異色の経歴を持つ右腕は様々な境遇の選手の希望になるはずだ。