五輪の女子マラソンで2大会連続メダルを獲得した岡山市出身の有森裕子さん(58)に7日、市民栄誉賞が授与された。 有森さ…
五輪の女子マラソンで2大会連続メダルを獲得した岡山市出身の有森裕子さん(58)に7日、市民栄誉賞が授与された。
有森さんは同市北区出身。就実高で陸上を始め、1992年バルセロナ五輪で銀、96年アトランタ五輪で銅メダルを獲得。2015年からはおかやまマラソンのスペシャルアンバサダーを務め、今年6月には日本陸上競技連盟の会長になった。
大森雅夫市長は「市民の誇りとして改めて功績をたたえる」とあいさつ。北区特産の万成石で作られたオブジェを手渡し、副賞にはコーヒー好きの有森さんのためにと備前焼の碗を贈った。
オブジェを制作した彫刻家の松村晃泰さんは「両手を上げたゴール姿など、有森さんの逆境にめげない強さなどをイメージした」と説明した。
岡山産のデニムで仕立てたスーツで訪れた有森さんは「これをしたからこの賞がもらえるというものは自分ではまだまだない。来年で還暦になりますが、改めて気を引き締めるスタートとして、いただいたオブジェのように輝いていきたい」とあいさつした。
おかやまマラソン前日の8日は、発着点となる県総合運動場でのオープニングイベント(午前10時から)で、トークショーなどに出演する。(大野宏)
■「なにも残せなかった岡山」で見つけた原風景
有森さんは「岡山にはランナーとしては何も残せなかった」という。
小学生で走る楽しさに目覚めたのに、中学には陸上部がなかった。
高校ではさんざん頼み込んで入部させてはもらったものの、大会には3年間ほぼ出られずじまいだった。
そんな有森さんに「岡山の原風景はどこですか?」と尋ねると「実家近くの旭川!」と即答が返ってきた。中学の校内大会の800メートル走に出場する準備で、最初に走ったコースだ。
「中原橋周辺を上流や下流へ行ったり来たり。当時は全然余裕がなかったですけど、今は実家に戻ったときに走ると『こんなに素敵な場所だったんだ』と」。川面に映る朝日、百間川との分岐近くにある草木の生い茂った中州、遠くの山々……。改めて見えてきた景色の中を走るのが、帰省の楽しみという。(大野宏)